第5話 5年生①
ところで、授業のはじめと終わりには「号令」をする決まりがある。私はこの毎回ある号令を、大切にしている。
というのも、一つ一つの授業に対するやる気や休み時間後への切替を号令によって耳や体で感じさせるためでもある。何より、私自身もこれからの授業への気持ちをこの時作り出すことができるからだ。
大切にするとはどういうことかというと、「はっきりしっかり発言し、そしておじぎをする」である。
まぁ、まずは日直さんがこんな感じで発言する。
***
「きりーつ。
きょうつけー。
これから、1時間目の授業を始めます。」
そして、クラス全体が「はい!」。
日直が最後に「ちゃくせき。」といって終わりである。
***
がしかし、うまくいかないわけである。
毎回毎回ある号令なんて、なんの意味があるのか。立って座って、あーだりぃーくらいになってくるものである。まぁ正直、理解もできる。
まぁ、クラス全体はだいたい日直の号令に影響されて「はい」の大きさもテンションも変わってくる。おばけのように小さな声で日直が言えば、それと同じような「はい」にしかならないし、ちょーはいぱーテンションたけぇと、
「はいっ!!!!!!!」
となるわけだ。
なので、私はゲーム感覚のように合格ラインを決めている。
さて、前置きが長くなってしまったがうちの学校の5年生は、とびきり精神年齢が幼い。ゆえに、この号令がなんとも気持ちいいのである。
チャイムがなるとまっさきに、私が言う。
「よっしゃ!素敵な号令で日直さん、頼むNE!」
するとむっちゃ元気な声で言う。
すまん、5年生はめっちゃ明るくて最高なんだ。
抑揚つけて、みんなの声「はい!」がそろうように言えるようになってくる。
あの時の空気感、結構最高なんです。
勝手に感動に、痺れるのだった。
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