第4話

「えっ、茜。まさかあれが例の・・・?」

舞が目を丸くしてこちらをみている。

「うん、そう、あの優斗くんだった・・・。」

「ちょっ、本気で言ってる?九条先輩って、めちゃくちゃ有名だよ?!」

「えっ、そうだったの?」

「もうっ、茜って本当にそういうの疎いよね。

九条先輩はバスケ部の部長でエースなの。ファンクラブもあるぐらい女子人気すごいんだよ。

しかも、超頭いい国立大学の指定校推薦ももらってる、って噂だよ。」

「そ、そうなんだ。全然知らなかった・・・。」


ずっと忘れられない彼が、まさかの同じ高校の生徒だった。

茜はその事実を、いまだに受け止められずにいた。

「なんで気が付かなかったんだろ・・・」

「いや、まさかあの九条先輩だったとはね。苗字聞いておけばよかった」

舞もかなり驚いた様子だった。

「でも、ま、よかったじゃん。本当はまだ、好きなんでしょ?茜の顔見てたらわかるよ」

「えっ?!」

突然自分の気持ちを言い当てられ、戸惑ってしまう。

確かに、耳まで赤く、熱を持っているのが自分でもわかる。

だって、まさか、こんな身近にいたなんて。まさか、こんな場所でまた会えるなんて。

「こうしてまた会えたのもさ、運命なんじゃない?アタックしてみなよ。」

舞はポン、と茜の背中を押した。

「うっ、うん、わかった。頑張ってみる。」

「よっし!今日は学食おごってあげるよ。再会記念!!」

「なにそれー!」

二人でクスクス笑いながら、食堂へと向かっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る