第2話

「じゃあな。」

「うん。じゃあね」

茜と瑞希は隣のクラスだ。

教室の前で別れを告げると、それぞれ自分の教室に入っていった。


「茜!おはよー!」

真っ先に挨拶をしてきたのは、同じクラスの倉科舞。

高校で出会った、1番仲のいい友達だ。

「おはよ、舞。」

茜は自分の席につき、荷物を置いて椅子に腰かけた。


「ねえ、ちょっと!あんたまた速水くんと登校してたでしょ。付き合ってんの?」

舞は茜の元まで走ってくると、前の席に後ろ向きに腰かけた。

「違うよ、そんなんじゃないし。速水とは、ただの幼なじみ。腐れ縁。」

茜は冷静に舞に返事をした。

舞は目を丸くして、茜に詰め寄る。

「えーっ?!ほんとにあんたたち何も無いの?!速水くんって、今学年でもめちゃくちゃモテてるのにずっと茜といるから、てっきり・・・」

「それは、何となく知ってるけど――。

ほんと、幼馴染以外のなにものでもないよ、断じて。」

そう。瑞希は、容姿端麗で背も高く、さらに成績優秀・運動能力も抜群。

所属するサッカー部では、期待の新人として一目置かれているほどだ。

「もーっ、気をつけなよ。速水くんのこと狙ってる女の子、いーっぱいいるんだからね。」

「うん、ありがとう。」

「茜さー…、まだ例の彼の事引きずってる?こんなに可愛いんだから、つぎの恋に進んだらいいのに。」

舞の茶色くて大きな瞳が、茜を覗き込んでくる。

染められた明るい髪の毛は、陽の光に当たりキラキラと輝いている。

触れたら折れてしまいそうなほど華奢な体。

「可愛いのは舞の方でしょ。引きずってないし。ほら、ホームルーム始まるよ?」

チャイムの音がすると、舞は渋々自分の席に戻っていった


次の恋、か―――。



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