第3話『今日から悪魔と友達!』

『今日から悪魔と友達!』(1)

次の日の朝。

制服姿の真菜が登校しようと玄関のドアを開けると、目の前に『彼』がいた。


「真菜、おはよう!!一緒に学校行こうぜ!!」


朝日のように眩しい笑顔、今日も元気いっぱい。

悪魔には見えない無邪気な少年、コランだ。

待ち伏せをしていたようには見えない。

お隣さんだし、同じ学校に通うのだから家を出る時間が同じなのは当然。

真菜はコランに対して、少しも疑いの目は向けていなかった。

むしろ、まだ学校に友達がいない真菜にとっては、コランは頼れる悪魔だ。


「うん、いいけど……え、なんで、そんなにくっついて歩くの!?」

「オレ、真菜の近くにいると元気になれるんだ!!」


真菜の近くにいればいるほど、コランは元気になる。

それは、契約によって真菜の生命力を常に吸収しているからだ。


「ちょっと!!もうちょっとだけ、離れて!!」

「え〜!!いいじゃん!ほら、手繋ごうぜ」

「はぁっ!?ダメよ!!」

「じゃあ、腕を組むのは?」

「もっとダメ!」


これでは、初々しいカップルのデートのようだ……。

コランは言動は子供っぽいが、今の制服姿を見るだけでも、かなりのイケメン。

そんな彼に好意を持たれるのは嬉しいが、それはきっと『生命力』が目当てだから。

真菜は、なんとも複雑な気持ちであった。


マンションから学校までは、徒歩で10分くらい。

学校が近付くと、次第に同じ制服を着た中学生の姿を多く見かけるようになる。

でも、この中学生達は普通に『人間の学校』に通っているのだ。

真菜がもし普通の中学に通っていたら、同級生になっていた人もいるかもしれない。

同じ校門を通るのに、真菜だけが魔界の学校に転移されてしまう。

そんな『普通の』中学生を横目に、真菜は今日も覚悟を決める。

校門の前で、真菜とコランは立ち止まった。


「校門を通ると転移するのは私だけって聞いたけど、コランくんは?」

「大丈夫、オレも転移するようになってる」


という事は、コランの事も学校側は承認済み。

さすが、魔王の息子だ。


真菜とコランは一緒に校門を通り、魔界の学校の校舎へと歩いていく。

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