『今日から悪魔と友達!』(2)

その日から、魔界の学校での授業が始まった。

事前に教科書を見て思った通り、全てが魔界基準の内容だ。

そこはまぁ、魔界の学校なのだから当然だ。

何よりも理解し難いのが、我らが魔王が担当する『歴史』の授業だ。


「知っての通り、オレ様の妃は人間だ。出会いは人間界で……」


教壇の上で熱弁を振るう魔王先生。

その授業の内容は、魔界の歴史というか……奥さんとの馴れ初め話だ。

周りを見ると、みんな真剣に魔王の発言を聞きながらノートを取っている。

真菜にとっては、ちょっと笑えてしまう。


(魔王先生の奥さんって、人間なんだ!どういう経緯だろう?)


周囲の雰囲気につられたのか、真菜も真剣に聞き入ってしまった。

その時、ある事に気付いた。


(魔王と人間の息子って事は、コランくんって……)


「はーい!!父ちゃん、質問!!」


真菜の隣の席のコランが突然、元気よく手を挙げた。

そう。何故か今日、教室に入ったら、コランが隣の席になっていた。

やはり生命力の関係で近くにいたいから、だろうか。

……いや、ここは魔界だから関係ないはず。

真ん中あたりの席なので、コランの元気な声は余計に教室全体に響き渡る。

それにしても、堂々と『父ちゃん』って……そろそろ笑いを堪えるのが限界だ。


「なんだ、息子!!」


魔王も、『息子』って呼んでるし……さすがに息子はしもべではないらしい。


「プロポーズの言葉はなんですかー!?」

「おっ、いい質問だ!!」


ブッ!!


真菜は思いっきり吹き出してしまい、開いた教科書で顏を隠した。

魔王もコランも、恥ずかしくはないのだろうか……。

ただ、真菜もちょっと興味はある。


「よーく聞けよ。『結婚しよう』だ!!これ、テストに出るからな!!」


おお……意外とシンプルだ……。

って、テストに出るんかいっ!!

と脳内でツッコミを入れつつ、真菜はノートに書き込む。

黒い文字で『結婚しよう』と書き、赤丸をして『テストに出る!』と書き加えた。

冷静になってみると……なんだこれ。

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