『今日から魔界の中学生!』(6)

「でも今、私が門を通ったのに、人間界に転移されなかったけど?」

「それは、オレと手を繋いでいたから!」


誰かと手を繋いで通ると、門のセンサーが反応しないらしい。

仕組みは分かったが、そこまでする理由が分からない。


「一体なんで、こんな手の込んだ事を私にするの?」


そこまでして、真菜を『悪魔の学校』に通学させたい意図とは何か。

しかも魔王の『しもべ』として……。


「それは、真菜が『選ばれた最強の人間』だからだ」

「何なのよ、それ!私、普通の中学生になりたいのに……」

「え?普通じゃないから楽しいんだろ?」


何を言ってるんだ、みたいな顏でコランに笑われてしまった。

悔しいが、この純粋無垢な笑顔は、どうも憎めない。


「とりあえず帰りたいんだけど、どうやったら帰れるの?」

「もう一回、内側から門を通ればいいんだ」


二人は校門の内側、魔界の学校側に入る。

今度は手を繋がずに門の外に出れば、真菜だけが人間界に転移される。

コランはそのまま、魔界の自宅へと帰るのだろう。

門の外には人間界の景色が見えていて、雨は止んでいる。

校門の前で、真菜はコランと向かい合う。


「コランくん、色々と教えてくれてありがとう」

「うん!また明日な!!」


そうか、また明日もあるのか……と、真菜はこの先の学校生活を思って遠い目をした。


「真菜、一緒に一人前の悪魔になろうな!!」


「一人前の人間になりたいんだってば……」

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