『今日から魔界の中学生!』(5)

目の前は道路でも住宅街でもなく、並木道。

その木々は真っ白な葉を付けていたり、逆に真っ黒な木も並んでいる。

様々なカラフルな木々の果てしない向こう側には、青空をバックに巨大な城が見える。

童話に出てくる、お姫様が住んでいそうな城だ。


まるで異世界へワープしたかのような感覚。

いや実際、その通りであった。

真菜は唖然として、ただその壮観な景色を眺めていた。


「すごいだろ?あれが魔王の城だぜ」


コランが誇らしげに言うが、この状況に疑問だらけだ。

真菜は、確かに自宅マンションから徒歩で登校したのだ。

いつ、どのタイミングで魔界の学校に来てしまったのだろうか。


「でも、さっき私が一人で校門を出た時は、大雨で…あれが人間界なんでしょ?」


校門の内側が魔界。外側が人間界であると、さっきコランが言っていた。


「校門に転移魔法がかけられているんだ」


コランが説明するに……

あの校門には、真菜だけに発動する『転移魔法』がかけられている。

あの学校は、実際には魔界に存在している。

真菜が『外側の人間界』から校門を通過すると魔法が発動し、魔界の学校に転移される。

帰りも同様、『内側の魔界』から校門を通った瞬間に、真菜だけが人間界に転移される。


これが、人間界に住みながら魔界の学校に通学できるシステム。

校門の『内側が魔界、外側が人間界』の種明かしである。

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