第百六十五話 目標は100、足を踏み入れる
「まぁなんにせよ、怪しい人から物を受け取らない事! だね! しつこいようだけど、2人とも気を付けてね! 叔父さん仕事行ってくるからね!」
そう言って叔父さんはいつものように外に出た。
受け取らない事……。
「なぁシェダル」
「なんだ?」
「付けられた時に抵抗したら……自らの意思で腕輪を外すとかありえるかな?」
「うーん……難しいだろうな、前にも言ったが、あの腕輪を付けられると自然と感情が高ぶってしまう」
それなんだよなぁ……。
何かの拍子でそれが抑えられたりしないものだろうか?
何かの拍子……。
『お前は真面目で、仕事熱心で、凄い奴だ、社会を守ることなんて、そんな変なものを使わなくてもできる!』
……そういえば。
「商店が襲われた事件で……ラーメン屋の店主さんが、ヒューモンスターに変身してた人を説得しようとして、上手く行きかけたことがあったな」
「ほう、私はあの時途中で奴を蹴り飛ばしていたが、そんなことがあったのか」
よくよく考えたら、あの時シェダルはいなかったな。
「もしかすると……」
「……親しい間柄なら成功する可能性があるかもな」
親しい間柄……俺の場合は叔父さんかシェダルかな?
「まぁ、そんなこんなで、今日も学校は休校だろう? ダンジョンでも行こう! 新たなヒューモンスターと戦うためにも、まずは修行だ!」
「お、おう!」
「さぁ、そうと決まればさっさと飯を食おう!」
俺たちは飯を食って、準備をすることにした。
◇
「よし! 到着!」
歯を磨いて、酔い止め薬を飲んで、気合十分だ。
「まずはステータス確認だ!」
「おう! ステータスオープン!」
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金剛 昇
NOBORU KONGO
国籍 日本国
スキル 鍵
レベル 92
在籍 県立祇園高等学校
所属 冒険者ギルド
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92……目標は100にするか。
それにしてもあっという間にこのレベルまで来たか。
なんだろう……実感がない。
これも腕輪のおかげだ。
「昇! すごいな! もうすぐ100だぞ!」
「あ、あぁ……」
「お前、男に近づいたな!」
「男に……?」
「あぁ! すごいぞ!」
シェダルは笑顔で俺の頭を撫でた。
……嬉しい。
「よし! 今日は第14階層まで行こう!」
「……あぁ!」
俺は男に近づいたことに歓喜しつつ、神殿から出た……シェダルの後を追って。
俺は行くぞ! このまま最終回層まで行ける気がする!
燃えてきた!!
◇
「おい昇! 早く来い!」
「ちょ、ちょっと待って……」
……燃え尽きた。
めちゃくちゃ疲れる……ヒューモンスターの事件のせいでダンジョンに入るとかなり辛く感じる。
例によって9階層はめちゃくちゃ暑いし、モンスターも強い……ここから10階層は大丈夫なのだろうか?
「よし! 前回までの道まで着いたな!」
「おう……」
俺たちは第10階層の入り口まで着いた。
俺は息切れ状態……。
「おい! こんな所でへばってたら先で死ぬぞ!」
「わ、わかってるよ!」
えぇい! シェダルにこんな姿いつまでも見せてられるか!
俺は男になるんだ! シェダルに認めてもらうために!
「よし! いざ第10階層へ!」
俺たちは未知の空間へと足を踏み入れた。
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