第九章 寒すぎる、悪夢見る

第百六十四話 今日も休校、ダンジョンへ行こう

『続いてのニュースです。横目市の航空自衛隊横目基地が襲われた事件で、同市在住の蜂谷姫子容疑者が、冒険者有志によって現行犯逮捕されました、蜂谷容疑者は、所謂モンスター化する携帯を使用し、横目基地内に所属する自衛隊員を殺害しようとした罪に問われています、調べに対し蜂谷容疑者は、「夫を迎えに行こうとした、殺すつもりはなかった」と容疑を一部否認している模様です、警察は……』


 暗闇の中、ヒースはいつものようにテレビを観ていた。


「ふふふ……もうすぐだ……もうすぐ完成する……」


 ヒースは、ヒューモンスターの携帯を持ってそう言った。


「あと少しで……『魔王の携帯』が……」


 テーブルの上には、紫色の携帯電話が、二つ乗っていた。


「そろそろシェダルくんとその仲間を止めないとな……だが」


 ヒースは自身の携帯を取り出し……アプリを開く。

 アプリには、「白いカブトムシのような戦士」が描かれていた


「次はこいつの開発を進めるか……もうすぐ……終わる……ふふふ……」


 ヒースは暗闇の中で高笑いをした。



『翔琉、昇くん、シェダルちゃん、昨日はありがとう! ウチはもう大丈夫だから心配しないで!』


 朝起きると、そんなメッセージが届いていた。

 悠里……立ち直ったみたいで良かった……ひとまず安心だ。

 そんなこんなで、俺は颯爽と着替え、居間へと向かう。

 叔父さんとシェダルがいつものように談笑をしていて、朝食がテーブルの上に並べられていた。

 犠牲になった命に感謝をし、俺たちは朝食を食べ始めた。


『速報です! 政府は今日、モンスター化する携帯電話の所持及び使用した者が罰せられる法律が可決したことを公表しました! 政府によりますと、モンスター化する携帯電話を使用した者は最大で懲役5年の刑が処されるとのことです! 国会前では、この法律に反対するデモが展開されており……』


「ついにできたか」


「らしいな」


 朝ごはんを食っていると、ニュースで衝撃的な速報が入った。

 ヒューモンスターの携帯を根絶やしにするべく法律ができたとのことだ。

 これで多少はマシになればいいのだが……。


「叔父さん、不安だなぁ……」


「どうして?」


「だって被疑者の人ってみんな覚えてないって言ってるんでしょ? ということは、無意識のうちに使ってるってことじゃないのかな?」


 ……そういえば、シェダルが携帯を解析した時、こんなことを言っていたな。


『これは相手の感情を極端に増幅させるものが埋め込まれている、記憶が飛ぶ原因は恐らくこれだろう』


『あのヒューモンスターの3人は、各々恨みの感情で変身した、記憶が飛ぶほど感情を極度に高ぶらせ、あの強大な力を生み出せたのだろう』


『恐らく、変身者ではない何者かが、その『突然』にあたる数秒の間に付けた……というのが私の推理だ』


 ……これが本当だとしたら、付けられた瞬間に最大で懲役5年が確定する。

 そう考えると……怖いな。

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