第百十三話 いざ実験、俺は拝見
「それじゃ、このノリであの魔物を倒してみろ!」
「え?」
シェダルは頭で向こう側を差した。
見つめる先には、ゴブリンの集団がこちらに向かって走ってきていた。
「おいおい……その馬鹿デカい音声で引き寄せたんじゃないか?」
「それを言ったら私たちの腕輪だって大概だろ? 偶然だ、偶然」
「ほんとかよ? ……とにかく、俺らも行くぞ!」
俺はケースから鍵を出して変身しようとした……が、シェダルが鍵を持つ俺の腕を抑える。
「いやいや、ここは奴らだけで十分だ」
「いや、いくら第一階層とはいえあの集団は……」
「大丈夫だって」
まぁ、確かに行けそうな雰囲気は出してはいるが、ここはシェダルの装備を信頼しよう。
「行くぞ! 3人とも!」
「おう!」
「任せてよ!」
「……はい!」
翔琉の号令で、4人はゴブリンに突撃した。
……が、女子2人が途中で止まってシェダルへ駆け寄る。
「ってちょっと待って! これ矢はどうやって装填すんの!?」
「あぁ矢は装備する必要はない! そのまま弓を引けばいい、あとその弓は斬撃も可能だ、接近してきた敵に有効だぞ! だが接近戦に向かないのは変わらないからな!」
「ありがとう! シェダルちゃん!」
斬撃って……弓の意味なくないか? まぁでもシェダルが言う通り、ただ接近してきた敵を処理するための言わば応急処置用なんだろう。
「あの……呪文……どうすれば?」
「呪文は唱える必要はない! イメージだ! ……だが、詠唱魔法は一応できるようにはしてある、好みで使い分けると良い」
「ありがとう……ございます!」
なんと、無詠唱が可能らしい、そして例によってイメージである。
ただ薫的には詠唱する方がいいのだろうか? 「呪文を唱える必要はない!」って聞いた瞬間に残念な顔をしていたな。
話を聞いた2人は早速言われた通りに攻撃を始めた。
悠里は遠距離から弓を何度も弾き、薫は無詠唱で炎の球を何度も出していた。
その攻撃がゴブリンに命中していき、矢が刺さって絶命したり、炎にもだえ苦しんでいた。
「うわぁ……やっぱこれは変わらないか……」
悠里はやはりグロ耐性が無いようだった。
大丈夫だ、俺もあんま慣れてない。
前線に立つ男2人に目をやると、見事なチームワークで斬撃と打撃を繰り返していた。
「すげぇ! めっちゃ切れる!」
「なんかこの鎚、めっちゃ軽く感じる!」
2人とも、前見た時よりもかなり戦いやすそうに見えた。
「ふふふ、凄いだろう? 私の発明品は」
「……正直、俺も感心しちゃったよ、腕輪の時点で凄いと思ったけど」
「そうだろう? もっと褒めると私は嬉しくなるぞ?」
シェダルは自身の発明品の凄さを語り、仁王立ちをした。
確かに全員、武器で無双を繰り返している……が。
「おわぁ!?」
「やばい!」
前線の2人が押され始めた、どうやらゴブリンどもは、集団で抑え込む作戦に変更したようだ。
遠距離にいた2人にも……。
「いやぁ! キモい! こっち来ないで!」
「……くっ!」
ゴブリンが集団で襲い掛かってきた。
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