第百十一話 いざ変身! レッツフィットイン!
「さて、各々武器は持ったか?」
「もちろん!」
「準備OK!」
「いつでも行けるよ!」
「……大丈夫です」
全員指定された武器を持っているかどうか、第一階層を入ってすぐの所で、持ち物確認を行っていた。
「よし! じゃあ先ずは各々の武器で、携帯が嵌められる箇所を確認しろ!」
「えぇ!? そんなんあんの!?」
「あ、もしかしてここか!?」
シェダルが指定している箇所を4人は探している。
悠里は上手く見つけられなかったが、翔琉はすぐわかったようだ。
携帯を嵌められる箇所……言わば、授業の時でも使った冒険者用の変身アイテムみたいな感じなのだろう
「俺も見つけた!」
「私も……」
「薫ちゃん、どこにあるかわかる?」
「……ここ」
薫の助けを借りて、悠里は場所を理解したようだった。
各々確認したところで、シェダルは4人に指示を出した。
「よし! 確認したら携帯に向かってこう唱えろ! 『スキル実装』! とな!」
……スキル実装? どういう意味だそれ?
「こうか? スキル実装」
『イェーイ! レッツフィットイン!』
「うわぁ!?」
翔琉が言われた通り、不思議な呪文を唱えると、携帯から謎の音声が鳴りだした。
そしてノリのいい音楽とハンドクラップと共に「レッツフィットイン!」という掛け声が繰り返しループしている。
「ちょちょちょっと、シェダルちゃん! これどうすんの!?」
翔琉は状況に追い付いていない様子だった。
他の3人も、恐れているのか、困惑しているのか、何とも言えない顔で翔琉を見つめる。
「掛け声の言う通りにしてみろ」
「掛け声? フィットイン……嵌めるのか!」
翔琉は先ほど確認した差込口に携帯を嵌めた。
なるほど、この待機音声は言わば急かしてるわけか、なんかアンコールを叫んでるみたいだな。
『剣スキル、アームド!』
「うわぁ!? なんだ!?」
謎の音声と共に、翔琉の体が赤い閃光に包まれた。
俺らは思わず、その光を腕で遮る。
『チャンチャンバラ! レッドセイヴァー!』
……そしてこれまた謎の音声がダンジョン内に鳴り響いた。
音声の後に、まるでそれを待ち望んだ客がいるような大歓声が、携帯から鳴った……コンサート会場かよ。
翔琉がどうなってしまったのか、恐る恐る見てみると、その姿は……。
「翔琉?」
「赤い……やば! かっこいいんですけど!」
悠里が大興奮するくらい、その姿は先ほどまでの翔琉ではなかった。
全身が赤い装甲に包まれており、顔も特撮ヒーローのような、大きいツリ目の複眼に、ロボットとはまた違う、硬いマスクに覆われていた。
その姿はまるで、レッドセイヴァーという武器の名前の通り、真っ赤な騎士……いや、侍のようだった。
俺が翔琉に話しかけようとした……その時。
「レッドセイヴァー!」
「……は?」
突然、翔琉がポーズを決め、武器の名前を唱えだした。
俺は思わず困惑の声を上げてしまった。
「変身したら、名乗りを上げる仕様になっている! 凄いだろう!」
……なんでそんないらない機能を付けるんだ!
まぁ、シェダルらしいと言えばそうとも言えるが……。
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