第百十話 携帯を調整、ダンジョンで実験!
「やぁやぁお持たせ」
シェダルがお盆の上に4人の携帯電話を乗せ、ようやっと戻ってきた。
いやぁ辛かった、翔琉と悠里による2人のイチャイチャ話や俺とシェダルの関係について、そして仲良さげに会話する愁と薫。
普段からかってくるシェダルが、救済の手を差し伸べる天使に見えた。
「調整って一体何をしたの?」
「別に変な細工はしていない、安心しろ」
「あ、いや、疑ってるわけじゃないんだよ!?」
翔琉はシェダルの行動に少々疑心暗鬼になっているようだった。
大丈夫だ、その態度が正しい。
「まぁここじゃあ狭いから外に出よう、時間大丈夫か?」
「おう! 皆もいいか?」
「もちろん!」
「お、おう……」
「……大丈夫……です」
……なんか愁と薫が残念そうな顔になった。
なんか2人、この数分で距離縮まってない? そう見えるだけか?
「よし、では再びダンジョンに行こう! あぁゆっくり食べていいぞ」
俺たちは残っていたアップルパイと紅茶の器を空にし、転移スキルでダンジョンへ向かった。
◇
おえぇぇ……そろそろ慣れなきゃいけないのは分かるが、やっぱ慣れないわこれ……
さっき腹に入れた紅茶とアップルパイを戻しそうになったが、我慢した。
「昇……お前もしかして、酔いやすい?」
「あぁ……車とか電車乗るだけでももう……」
「お前……真剣に病院行った方がいいぞそれ……俺も昔乗り物酔い頻繁にしてたが、小学校高学年には回復してたぞ……」
「そうなのか……今度行くわ……」
翔琉は本気で心配しているような顔だった。
こいつの仲間思いには脱帽する、ほんとに。
「まぁそんな三半規管が小学生レベルのゲロ吐きは置いておいて、行くぞ!」
「ゲロ吐きとはなんだ! おえぇ……」
「ほら、吐くなら隅で吐け」
「大丈夫だっての!」
シェダルが俺を抱えて隅へ誘導しようとしたが、その腕を振り払って、入口へ全力前進した。
「おい! 待たないか!」
「仲いいねぇ2人とも、会話の内容はアレだけど……」
俺たちの会話に悠里が感想を述べるが、後者については同意する、前者は否定したいが。
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