第九十七話 連絡する、助けを求める
「クソ……! どうすればいいんだ!」
俺はその場に立ち止まっていた。
何をすればいい? ……どうすればいい?
もしもシェダルだったら、助言や指導をしてくれる……だが、肝心のシェダルはこの場におらず、巨大な蜘蛛に連れていかれてしまった。
『あ、すまん、捕まった』
なんであんな軽い口ぶりだったんだ!? あんな状況で何故俺をからかう余裕があったんだ!?
『お前の腕も上がったな! 私は嬉しいぞ!』
『この調子で腕輪を使いこなせ! お前ならできるぞ!』
『というか昇、お前随分と達者になったな!』
……あの調子、俺ならできるということなのだろうか?
いや、あのモンスターは無理だ! あのモンスターは……
色々考えていると、携帯に通知が来た。
『そうだ、連絡先を交換しよう、迷子になった時に便利だ』
もしかしてシェダルか!? そうだよな、あんな相手、シェダルなら余裕で……
『ダンジョン入ったぜ! お前もしかしている?』
なんだよ、御曹司様か、今一番見たくない奴を見てしまった。
今はこいつの相手をしている場合じゃない、早くシェダルを助けなきゃ……
こいつと話す理由なんて……。
『いつまでも変に意地を張っていると、永遠に引き摺って後悔するぞ? 伊達に150年生きてないからな私も、そうやって後悔したことが何度もある』
……変な意地、後悔。
……俺って、変な意地、張ってるのかな?
……今は頼りになる人はいない……今頼れるのは、こいつらだけ……なのか?
『……お前らここで死んどけ!!』
……ダメだ、あいつらにどの面下げてお願いすればいいんだ。
今の俺にそんな価値が……。
『こいつは俺と同じ班の仲間だ! こいつを馬鹿にしたということは俺や悠里、愁に岩国さんを馬鹿にしたのと同じことだ!』
『やっぱりあいつらと友達なんじゃないか』
仲間、友達。
俺はそうは思っていなくても、あいつらは俺をそう思ってくれている。
……ここは勇気を出そう! 俺はもう、後悔なんてしない!
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