第二十四話 謝罪する、何故庇う?
1年2組、いわば俺の教室だ。
中では、小声でこんな声が聞こえた
「ねぇ……あの鍵スキル、大丈夫だと思う?」
「大丈夫でしょ? きっと適当にどっかしらの鍵を開けて休憩でもしてるんじゃない?」
この程度の陰口はもう聞きなれていた。
相手にするだけ無駄だ。
思い切って、戸の持ち手に手をかけ……開けた。
開けると、それまで帰りの支度をしてたであろう同級生たちが、一斉に俺の顔に注目した。
無理もない、いなくなった奴が突然前触れもなく目の前に現れたら、誰だってこうなる。
沈黙になった教室の中を、俺は静かに歩き、自分の椅子に座った。
「金剛……?」
「こ、金剛!?」
「金剛くん!?」
「……!?」
班メンバーの4人中3人が、第一声を放った。
そして、その3人を遮るように、部外者である同級生が俺に言った
「おい金剛! お前、翔琉たちに謝れよ!」
「そうよ! それに翔琉くんたちだけじゃなくて、私たちにも迷惑かけたんだから、そのことについても謝罪してよね!」
「それにしても、翔琉にあんなこと言わすなんて、ほんととんでもねぇ奴だな!」
あんなこと? 意味は分からないが、俺は小松たちに迷惑をかけてしまったらしい。
小松たちだけではなく、俺は同級生みんなに迷惑をかけた、これに関しては、俺が100悪い。
あいつらは俺を逃がそうとしていたのに、変な見栄を張って混乱させてしまった。
立ち上がって頭を下げようとしたその時だった。
「みんな! 今日は本当にごめん! すべては俺の責任だ!」
班リーダーの小松が、教壇の前に立って頭を下げた。
「おい翔琉……お前が謝る必要なんて……」
「そうだよ翔琉くん、貴方が謝る必要は微塵も……」
「いや! 俺が的確に指示を出していたら、もっと早くモンスターの群れを退治できたし、金剛を逃がすことだってできた! 全ては班リーダーである俺の責任だ!」
小松は頭を下げながら、そう言った。
すると、三沢、羽田、岩国の3人も小松に並んで頭を下げた。
「お、俺も! 俺が不甲斐ないせいで……それに岩国さんに頼りっぱなしで……」
「ウ、ウチも! 足引っ張りすぎだったし!」
「わ、私も……」
……なんでこいつらが頭を下げる? なんで俺なんかを庇う?
あんなこと言った、あんな行動をとった俺を……なんで?
「……翔琉くんたちがそこまで言うなら」
「わかったよ、翔琉」
同級生たちは謎の納得をして、解散した。
訳が……分からない。
すると、小松がこちらに近づいて、俺の肩を叩いた。
「金剛、次は頑張ろうな!」
「……」
俺は……何も言えなかった。
……俺が沈黙をする中、教室の扉が開いた。
「さぁ席に着けー! って金剛!? お前どうしてここに!? 早く先生方に連絡を……」
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