第十六話 箱の少女、蓋を解放
「う、うわぁぁぁぁ!?」
予想もしなかったものを見て、俺は扉に背中をぶつけた。
これは間違いない……
「ひ、人が……人が入ってる!?」
『幽霊よりもリアルなほうが怖い』、どっかの誰かがそんな事言っていたが、まさにそうだった。
箱の小窓を覗くと、白い髪の女の子が目を閉じた状態で入っていた。
この箱はまさか……
「まさか……棺!? てことはこの子……」
死んでいる。最初はそう考えた。
だが今一度冷静になり、確かめてみることにした。
胸を手で押さえ、深く呼吸をする。
通路を歩いた時のように、慎重に近づいた。
中を覗くと、この少女は見た目的に12歳から15歳くらい、髪は白で、雪のような肌をしていた。
よく見ると、わずかながら息をしているように見え、見た目も衰弱しているようには見えなかった。
「もしかしたら……」
機械のようなものに目をやる……この際機械でいいか。
機械はモーター音を小さく鳴らし、その見た目は、SF映画でよく見るようなサーバー(?)のように見えた
機械には鍵が無数に刺さっていた……もしや。
「これ……この腕輪と同じで……
鍵で動いている……そんな馬鹿な、とも考えた。
しかしこの腕輪は鍵を使うことでパワーが漲った。
もしかしたらウトピアかどこかの新技術かもしれない。
そしてこの機械は棺を繋がっている……
「これが生命維持装置とか? そんなことあるのか?」
……まぁこの際何でもいい。
とにかくこんな施設で幽閉されていると、モンスターが襲い掛かって死ぬかもしれない。
試しに棺を開けてみた……が、開かない。
次は生命維持装置を見た。
「鍵を抜けば……でも鍵を抜いて装置が止まり、この子が息をしなくなったら……」
死ぬかもしれない……が、こんなところにいてもどの道死ぬ可能性がある。
「背に腹は代えられない、行くか!」
鍵を一つずつ抜いた。
抜いていくたびに、モーターの音が弱まっていく。
「まずいことをしたか? ええい! この際全部抜いてしまえ!」
好奇心に負けてしまった、俺はもしかしたらこの歳で人を殺してしまうかもしれない。
そんな事を考える暇もなく、すべての鍵を抜いた。
すると棺のロックが解除されたのか、気体が抜ける音とともに、開き始めた。
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