第十七話 少女出てきた、生まれたての姿!
「うぉ!?」
まるで、炊飯器のボタンを押して、炊き立てのご飯が露になるような……何考えてるんだ俺は。
ともかく、そんな感じで棺が開き、俺は再び後ずさりをした。
果たして女の子を無事なのか……?
「くぅ~……ふぁ~……」
白い何かが、伸びをして、あくびをしているように見えた……
まさか、あの女の子か!? 無事なことに安堵していると、予想もしなかった言葉を吐いた。
「あぁ~……よく寝た……何年たったかな? ……まぁどうでもいいか」
何年たったかな? という台詞の後に、「どうでもいい」……どうでもいい!? はい!?
そんなことを考えていると、女の子はゆっくりとこちらを向いた。
「ん~? おぉ! 君が私を起こしてくれたのか! いやぁありがとう! ここまで来たということは君は鍵スキル持ちか!」
「え!? えぇ~と……はい」
突然陽気に話しかけてきたので、敬語で答えてしまった。
「と、いうことは、私が用意した仕掛けも突破したということか! 難しかったか? いや、ここにいるということは簡単だったかな? ははは!」
「……」
私が用意した仕掛け……? というかこの声……まさか!?
「あんたまさか……あの時の!?」
「うむ! 私があの声の主だ! 君みたいな人が来ると思ってあらかじめ録音していたんだ! 再現してやろうか? 『では、健闘を祈る!』てな!」
「ふざけんなよ! こっちは死にかけたんだぞ!」
俺は思わず怒りを露にしてしまった。
あんな状況になったら、誰だって怒りたくもなる。
突然サプライズゲストの如くモンスターが現れて、殺されそうになって……。
「だが突破できたんだろう? それで」
女の子は腕輪を指さしてそう言った……事実は事実なので何も言い返せなかった。
「とまぁ、ここではアレだし、場所を変えよう」
女の子は棺に脚をかけて外に出た。
だが、その姿は……
「ちょっと! 服着ろ! 服!」
生まれたての姿だった。
俺は咄嗟に腕で目を覆った。
「おっと、失礼……ええっと、着替えはどこかなー? ここかな?」
女の子は棺の中を探り始めた。
「あぁ、準備するからいったん外に出てくれたまえ、ちょうど階段上がった先の向かいの部屋が客間だから、そうそう! 外した鍵もついでだから持って行ってくれ!」
女の子は、恐らく、俺に向かってそう言う。
俺は指示通りに鍵を取って部屋を出た……目を抑えながら。
顔が熱いと同時に、変な感情が芽生える。
先ほどまでの恐怖と好奇心と驚きとは違う感情。
その感情を抑えながら、階段を駆け上がった。
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