09 家
王城でお金を貰った日から3日後
オワリカ王城市シュウ邸 23時
俺は自室のベッドにてこんなことを考えていた。
__________________________
俺の懐には裸の10万円がある。
…この世界の通貨では10アース銭というべきか。
まぁそんなことはどうでもいい。
とにかく、これから貰う予定の20万アース銭(約20億円)をどこにしまうべきか。
今はクリアムさんらの手で、世界一安全な、王城の金庫にあるが…
ずっとそこに置いておくわけにはいかない。
だから、自分で金庫をなんとかしなければならない。
したがって、金庫を買うのだ。
だが、市販の物であると、その道のプロにしてみたら、いとも簡単に開けられるだろう。
ならどうするのか。
自分で作るのだ。
DIYだ。
日曜大工だ。
問題は、何で作るか…だ。
木材なんかは脆くて以ての外、金属は加工がしにくいかつ、魔剣なら簡単に壊される。
なら、石か?いやいや、金属よりは弱いから却下。
どうしようか…
……あっ!いいことを思いついた。
これでこの問題は解決した。
そして、2つ目の問題。
これが厄介だ。
作った金庫をどこに置くか…だ。
まだ家を持ってない俺にとっては、作った金庫はものすごい厄介物なのだ。
決して持ち運びが出来るようなものではない。
……どうしようか…
…ひとまず考えよう。
前の世界では、お金はどこに置いてあった?
俺はどこに置いていた?
………そう、銀行だ。
だが、銀行を作るとなると莫大な労力が必要だ。
人件費が馬鹿にならないだろう。
ならば一部分だけ再現してやればいいのだ。
何を再現してやるかって?
窓口?入口の観葉植物?
いや、違う。
ATMだ。
Automatic Teller Machineの略だ。
そのATMを再現してやるのだ。
これなら無人で運用できるからコストはかからない。
即実行だ。まずは資材を店で買ってくる…いや、自分で取りに行こう。
そしてそのあとは彼女の出番だ。
彼女…そう、かつての仲間、ロムーリ=ダランシアだ。
彼女は土魔術なら何でも出来る。
どこかの、トラックに轢かれた元無職の男性のように、土魔術でフィギュアを作ることだって、地面を泥沼化させることも出来るはずだ。
そんな彼女に…
遠くの山奥の地面を直方体に掘って貰う。
↓
地面に中々の大きさの四角い穴ができる。
↓
そこに転移魔法陣の描かれた紙を2枚用意する。
↓
1つを俺が、もう1つを山奥に置いとけば
どこでもATMの完成だ!
魔法陣の上に金を置けば自動で転移する、という画期的な貯金箱だ。
…まあとにかく必要なものをまとめよう。
·ロムーリ氏
·魔法陣2枚
·山奥
·入れるお金
くらいかな。
まずは、拠点を作るところからだ。
クリアムさんに相談したところ、ある不動産を紹介してくれることになった。
紹介状を持って不動産に行ったら、家賃が2ヶ月タダ・敷金礼金無しという素晴らしい物件を手に入れられた。
まぁそんなこんなで拠点づくりは終わり。
借りた家について、話しておこう。
今回俺が借りた家は、「出る」。
あれが出るのだ。
夜中、階段で歩く音がしたり、扉が閉まる音がする…とかだ。
今度調べておかなければ…
まあそんなことは置いておいて、
俺が借りた家は3階建ての9LDKに、クリーム色の外壁、オレンジの屋根の大きい家。
多分、オワリカ王城市内で最も大きい家だと思う。(そんなことはないと思うが)
玄関を入ると、吹き抜けの広いロビーがあって、中央に階段が、左手にリビングルーム、右手にトイレ・風呂・洗面所等々がある。
リビングルームに入ると、中央に大きなソファが、右手奥にダイニングキッチンが、左手に書庫がある。
2階は5つ部屋があり、3階は4つだ。
ぶっちゃけ全て倉庫と化している。
使う必要がないからね。
ちなみにこの家の家賃は7アース銭/月だ。
日本円で月7万円。
中央広場から徒歩3分という好立地かつ、こんなに広い家なのに安いのは、ここが幽霊屋敷だからだろう。
こんな感じでお家の紹介は終わり。
明日はロムーリに会う日だ。
そろそろ寝るか。
おやすみなさい。
__________________________
朝だ。
おはよう。
今日はロムーリに会う日。
もちろん報酬は用意してある。
サクッと着替えて、ロムーリに会う。
アポは一昨日取ったから大丈夫だろう。
カジュアルな服装で行こうかな…
20分ほどで支度を終えて家を出る。
待ち合わせ場所は「神風軒」とかいう場所だったかな?
神風軒に着くと既にロムーリはいた。
「ごめん、待った?」
「いえ、今来たところです…」
なんて付き合いたてのカップルのような会話をして、
店の中に入る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます