06 お金

「それで…シュウは?」




改めてシュウに問いただす。








「褒美ですか……」








 褒美とか言われても……


 やはりここは重要な、金と時間を選ぶべきか…


 悩むなぁ…名誉とかもいいかもしれない…この世界の生活にも慣れてきたし奥さんもそろそろ欲しいな… 


 でも、ここはやっぱり…金か時間??


 権力も欲しいな…けど、魔力とかも使ってみたいし…


 いや…もうとりあえず、一番安牌な『お金』にしておくかな?




シュウは『 お金 』を選んだ。










「金?そんなものでいいのか?ほら、爵位とか、領土とか…美しい我が娘たちとか、そんなもんじゃなくて?」








「ええ、お金でお願いします」




「んん〜、お前らは皆、欲がないな…物をあげても、つまらんわい」




「…まあよい、魔王を倒し、褒美は…今週中に届けさせる。えっと…『金』を選んだ奴…貴様だ…」


スーワ3世はシュウを指差す。




「あ、えっと…シュウです。」




「シュウ、後でこっちに来い。希望の金額を答えろ。もっとも、この国が転覆しない程度の金額にしてくれ」

「ふぅ…よし、これで勇者団の役目も終わりだ。これまでの任務ご苦労だった。以上、解散!」




「はっ!」




4人の応答が重なった。




6年という月日はバラバラだった心すらも一つにまとめ上げる。




ハミらとは王城の玄関で別れた。




「シュウ。これまで、ありがとね…」



「シュウ、じゃあな。」



「シュウさん…ありがとうございました…」


 


 仲間っていいなぁ…




大きな扉が音を立てて閉まった。




一人でトボトボと玉座の方へと向かう。




「他の仲間は帰ったか」




「ええ」




「そうか。仲間がいなくなるのは寂しくなるな」




「ご経験がおありで?」




「若い時に、少しな」


 若い時に、ってこの人は今何歳なんだろうか?


 顔からして60代半ばくらいかね?


「まぁ、それで…どのくらい欲しい??」


スーワ3世の顔がニヤリと笑う。金が絡んだときの悪い笑みだ。


 …さてと、どのくらいの金額がいいかな…

 一生、ここで暮らしていけるだけの財産。

 それがどのくらいなのかがわからない…

 どうしよう…


「とりあえず…大きな屋敷が買えて、一生お金に困らないほどの金額を…」


「具体的にいうと??」


 まずい…この国の金銭の相場がわからない…

 どうしたものか…

 

「このお城の10分の1ほどの金額ということで…」


「というと…?」

スーワは近くにいたクリアムに目配せをした。

気づいたクリアムはこちらへと歩いてきて、スーワに耳打ちする。

「ほぉ…わかった。へぇ…」

一通り聞き終わったスーワは、ウンウンと頷く。

そしてこちらを向くと

「わかった。大体20万アース銭くらいだそうだ。今、クリアムを金庫に向かわせている。少し待たれよ」


クリアムはいつの間にか消えていた。

 さすが騎士団長…


「ありがとうございます」


「…貴様はその金で、何がしたい?」

スーワが突然聞いてきた。


「……なにがしたいんでしょうか…」

「自分でもわかりません」


「…いいか、人というものは、大金を持ってしまうと激変する。そいつ自身の性格だけでなく、周りの環境もだ。これだけは覚えておきなさい」


 ものすごい説得力だな…もしかして、実体験??

 スーワさんの謎は深まるばかりだ…



しばらくして、クリアムと他の執事らが大量の木箱を持ってきた。


「木箱1つ当たり1000アース銭入っています。それが200個で、20万アース銭です。」

クリアムが詳しく説明してくれた。

・保管場所が見つかるまで、この城で預かっても良い

・大金なので人攫いに注意すること

・信用できる人にも、このことは話さないこと


なんか宝くじ1等が当たった人の気分になれた気がする。


とりあえず今日は一箱だけ開けて、10アース銭だけ持って帰ることにした。

アース銭って意外にも重かったりする。

このお金は純金らしい。だからか。



後々分かったことだが、1アース銭はこの世界での1万円に相当するとか。


20万アース銭って……一体何円なの………?


A.200000×10000=2000000000円(20億円)

…は?

…年末ジャ○ボの2倍??

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る