05 時間

03、04は今週公開

〜『時間』選択篇〜





「それで…シュウは?」


改めてシュウに問いただす。




「褒美ですか……」




 褒美とか言われても……

 やはりここは重要な、金と時間を選ぶべきか…

 悩むなぁ…名誉とかもいいかもしれない…この世界の生活にも慣れてきたし奥さんもそろそろ欲しいな… 

 でも、ここはやっぱり…金か時間??

 権力も欲しいな…けど、魔力とかも使ってみたいし…

 いや…もうとりあえず、一番貴重そうな時間にしておくかな?


シュウは『 時間 』を選んだ。





「時間?そんなものでいいのか?ほら、莫大な金とか、爵位とか、領土とか…美しい我が娘たちとか、そんなもんじゃなくて?」




「ええ、時間で」

きっぱりと言い切った。



「んん〜、お前らは皆、欲がないな…物をあげても、つまらんわい」


「…まあよい、魔王を倒し、褒美は…今週中に届けさせる。えっと…『時間』を選んだ奴…貴様だ…」

スーワ3世はシュウを指差す。


「あ、えっと…シュウです。」


「シュウ、後でこっちに来い。貴様の寿命を長くする魔法をかけてやろう。よし…これで勇者団の役目も終わりだ。これまでの任務ご苦労だった。以上、解散!」




「はっ!」


4人の応答が重なった。


6年という月日はバラバラだった心すらも一つにまとめ上げる。


ハミらとは王城の玄関で別れた。


「シュウ。これまで、ありがとね…」


「シュウ、じゃあな。」


「シュウさん…ありがとうございました…」

 

 仲間っていいなぁ…


大きな扉が音を立ててしまった。


一人でトボトボと玉座の方へと向かう。


「他の仲間は帰ったか」


「ええ」


「そうか。仲間がいなくなるのは寂しくなるな」


「ご経験がおありで?」


「若い時に、少しな」

 若い時に、ってこの人は今何歳なんだろうか?

 顔からして60代半ばくらいかな?


「それで、寿命を伸ばす魔術をかけるんだったか?」


「ええ、お願いします」


「よし、それではいまから、そこにいる魔術師が貴様に魔術をかける。」

魔術師がこちらへ近づいてきた。

シュウの頭へと手を当てて、何やら呟いている。


 あ、なんか頭が軽くなってきた。

 すごい、身体がラクになってきてる。

 うわー、ヤバい、中毒性あるぞ。

 ____________________________________________________________________。


「終わりました」

突然、魔術師が話しかけてきた。

「え?」


 もう?始まって1分も経ってないぞ…

 まさか、意識を失ってたのか?

 ま、いいか…


「貴方の寿命を200年ほど伸ばしておきました。」


「200年…そんなに……あ、ありがとうございます。」


「いえ、上様からのご命令ですので。」

と言って、玉座へ目配せした。


玉座の方を見ると、王様はいなくなっていた。



王城にいてもすることがないので、しばらくして王城を後にすることにした。


王城を出ると、辺りは暗い。

 もう夕暮れ時なのか?

 王城に着いたのが昼前だから、どのくらい気を失っていたんだ…?


しばらく歩いて、中央広場までやってくると、

「あっ、勇者様だ。」

気付いた一人が声を上げる。

すると、すぐに人が集まった。


「勇者様〜」

「勇者様、ありがとう」

「ありがとう」

ロリからジジイまでいろんな世代が俺を褒め称えた。


近くの食堂に入ると、勇者ってことで、食事がタダになり、宿屋の宿泊料もタダになった。 


 結構いい気分だ。


思わず笑みをこぼす。



タダってことなので、飯は『霜降り牛のローストビーフ丼』、泊まり部屋は『高級スイートルーム』といった、最高級のものを手にすることができた。


向こうの世界では考えられないことだ。


 いやぁ、『霜降り牛のローストビーフ丼』美味しかったなぁ。


【肉は濃いめのピンクで、霜降りが入っているのでかなり味がさっぱりしそうな印象です。


丼の具はメンマに半熟卵、青々とした大盛りのネギが乗っかっています。ちょっと変わったところといえば、ニンニクチップがあるところで、味に同影響するのか楽しみですね。モクモクと立ち上っていく湯気がすごい。


醤油ベースの濃厚そうなソースですが、そこまで醤油の香りが主張してこないのはニンニクチップが入っているからですかね?】


『高級スイートルーム』は入った瞬間すごかった。


 …嘘…やろ?


入った瞬間にベットにダイブ。 

ベットは柔らかくて、よく寝られそうだ。


日付を見るともう21時すぎ。


 眠いな…


そのまま夢の世界へと入っていった。



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