01 名誉

※注意 必ず先に本編を読んでね!



〜『 名誉 』選択篇〜



「名誉?そんなものでいいのか?ほら、莫大な領土とか、美しい我が娘たちとか、そんなもんじゃなくて?」


「ええ、名誉で」


 これで、この世界での地位は獲得した…

 しばらくは生きていけるだろう。

「ふーん…お前らは皆、欲がないな…物をあげても、つまらんわい」

「まあよい、魔王を倒し、役職は…今週中に届けさせる。これで勇者団の役目も終わりだ。これまでの任務ご苦労だった。以上、解散!」


「はっ!」

4人の応答が重なった。

6年という月日はバラバラだった心すらも一つにまとめ上げる。


そのことを実感して、4人は王城を後にした。


中央広場

噴水前


「これまでありがとう、みんな。また、会える日まで…」

ハムはそう言うと宿屋のほうに歩いていった。


「あ、ハム…待って…あ、じゃあね…」

ガムもそう言ってハムを追いかけて行った。


(あいつら、いつの間にリア充になったんだ…?)


「私たちが最後に残りました…ね…シュウさん…これまで、ありがとうございました。あなたがいなければ、魔王は倒せなかった…」


「いや、あなたがいたからですよ、ロムさん。こちらこそ、感謝してます。じゃあ、いつか…また会える日まで…」


「はい…」


ロムーリはすぐそばの酒屋に入っていった。

彼女はかなりの酒豪である。


中央広場に一人残ったシュウ。


「さて、家に戻りまs…」

と一歩を踏み出したその途端、体が落ちる感覚を覚えた。

闇に呑み込まれ、視覚が効かない。

音もなく、光、時間すらない世界へ堕ちていく。


何もできない、そう思った彼は目を閉じる。

スッーと、眠るかのように意識が消えてゆく…



ピカッ!闇に走る閃光。

(んん…眩しい…)



突然の光に思わず目を開くと……



暗い空に明るいネオン。

そして行き交う人々が目に飛びつく。


その人々はスーツを身に纏っている。

その中にたった一人、ボロ布の男。


「えっ…?」

困惑、困惑、困惑。

周りの人の数。

(いち、に、さん、し…)

そんなこんなしてる間に人とぶつかった。

「チッ、あぶねぇな」

誰かに舌打ちされる。


「す、すみません」



勇者シュウがいるのは______東京の中心、渋谷だった。


戻ってこれたのだ。日本に。

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