IX.冒険者ギルドに行くのに冒険者を殺さないといけないなんて、理不尽すぎるよ
「ほんの数回の戦いでそれほどの実力とは、放っておけねぇな」
「ライバルとかいらないよ。競争とかそういうの嫌いだから」
「ライバル? 競争? 何言ってんだ、こいつ。お前はここで死ぬんだ」
コロは逢兎を斬り裂こうとする。
「
逢兎はコロの大剣を奇麗に切断してのけた。
コロ達は言葉を失った。
「これって殺し合いだったんだね」
逢兎はそう言ってコロの胸を貫いた。コロは大量に吐血し、倒れた。
「マルオの方が強かったな。うん、四人一緒においでよ。これは“殺し合い”なんでしょ?」
逢兎はロノン達の方を睨みながら言った。
「コロをあんなにも容易く…」
「ヤバいよ。あいつ余裕そうだよ」
「あいつ、俺より早かった。逃げられない」
「ここでやるしかないのかな」
四人ともやる気だ。
「あ、そうだ。このコロってやつ、死んじゃったけど、ギルドの場所教えてよ。俺が勝ったら教えてくれるって言ってたのに死んじゃってさ」
逢兎は思い出したかのように聞く。
「だれが、」
「貴様なんかに」
「教えるかーーー!!!」
ヒヨノ以外の三人が突っ込んでくる。逢兎は全ての攻撃を捌ききっている。ヒヨノが強化魔法を施しても捌ききっている。
「ねぇ、飽きて来たんだけど、教えてくれないの? 約束破るの?」
「お前と約束した覚えないぞ」
「は?」
逢兎が死んだ魚を見るような目で三人を見る。
次の瞬間、
「「・・・・・・」」
ロノンとアーシュの両腕、首、両足が斬り
落とされていた。ヒヨノは息を吞んだ。
「よく
「人でなしの行く末は地獄だ」
「そうだな。地獄で待ってろ。『
逢兎は後ろにいたリシェウスの腹に大きな穴を空けた。ヒヨノは腰を抜かして後ずさりしている。逢兎はヒヨノの元へ歩み寄る。
「こ、来ないで」
ヒヨノの声はかなり震えている。
「じゃあ早く教えてよ。ギルドって
「そ、それは...」
ヒヨリはコロの方を見て言った。
「り、『
すると、コロが転がっている地面に魔法陣が描かれた。
「一度俺に勝ったところで、図に乗るなよ」
コロは立ち上がる。しかし、胸の傷が完全には癒えていない。
「あ、生きてたの? 約束通り教えてよ」
「ああ、このまま道を真直ぐ行った先にあるさ。お前が行けるとは限らないけどな」
コロは折れた大剣で斬りかかる。胸元から血を垂らしながら。逢兎はその攻撃をかわす。反撃は出来なかった。
「『
「ああ、さっきみたいに油断したりしねぇから大丈夫だ」
コロはそう言いながら首をポキポキ鳴らす。
「『
コロの大剣が元に戻った。さらに、強度が増している。
「ちょっと戦えるからって調子に乗ってんじゃねぇぞ。殺してやる」
コロはさっきまでと比べ物にならない速さで動く。さっきまでよりも重い攻撃を逢兎は防いでいる。しかし、逢兎は少しずつ押されている。反撃の隙を計るも、全くない。それに、少し気を抜けば吹き飛ばされてしまうほど攻撃が思い。
「さっきまでの威勢はどうした」
「そろそろかな」
「何を企んでやがる。お前は今日俺に殺されるんだよ!」
「いや、俺は元の世界に帰る方法を探すから。それに、もうすぐ街の外だ。ここまで追ってくるとは思ってなかったけど、俺より強力な助っ人さんがいるからな。ルナ、あれやって」
「『
コロは魔法で作られた樹木に手足を掴まれて拘束された。
「そんなことないって。だってほら、もう死んだし」
逢兎はコロの首を切断した。ルナはイリの目を覆い隠した。斬られる直前に拘束から自力で抜け出し、頭と体が飛び転がった。
「ルナ姉ちゃん何も見えないんだけど」
「イリは見ちゃだめです。アイトさんが首を斬ったのでグロすぎます」
「え⁈ アイト兄ちゃん死んじゃったの? 嫌だよ~!!」
イリが泣き出した。
「え、俺死んだの? じゃあこれ霊体? そんなことないでしょ? だってどこにも俺の体がないんだし」
「うわ~~~ん、アイト兄ちゃんの体がなくなったんだ~」
「アイトさん、誤解を生むようなこと言わないで下さい。ちゃんと生きてるじゃないですか。イリも、アイトさんが、人間の首を
「そ、そうなんだ。よかったぁ~」
イリは安どのあまり崩れ落ちた。その目の前にコロの生首が転がっていた。
「ぎぃゃぁぁぁ~~~~」
イリの悲鳴が響き渡る。ルナは慌ててイリを抱きかかえる。逢兎はとりあえずコロの頭と体を持ってヒヨリの元に行った。
「はい、これプレゼント? いらないから上げる」
逢兎はコロの頭をヒヨリの足元に投げ転がす。体は面倒なのでガヤの方に投げておいた。
「一番苦しい死に方って知ってる?」
ヒヨリは何も言わずに首を横に振る。
「知らないなら体験したらいいと思うよ。俺が居た世界だと、焼死ってのが一番苦しいらしいよ。燃えるんだよ。骨は残す? 残さない?」
ヒヨリは目を見開いたまま動かなくなった。恐怖のあまり震えている。
「じゃあ、多分残す方が苦しみそうだから残すね。火力わかんないけど、ゆっくりじわじわの方が苦しいのかな? あ、殺さない選択肢はないよ?先に手を出したのはそっちなんだから。敵に情けは掛けるなって言われてるから」
ヒヨリはあまりの恐怖に逃げ出そうとする。しかし、腰が抜けて走れず、
「動けるくらいだけど、ちゃんと焼死できるくらいの温度で、燃えろー」
逢兎がそう言うと、ヒヨリの二の腕の辺りと脇腹の辺り、太股の辺りから火が付いた。
「いやだぁぁぁ、死にだくないよぉ」
「この世界に来てから理不尽な事しか起きてない気がするんだけど? 理不尽の世界で理不尽呼ばわりは辞めてよ」
逢兎はそう言ってまた街の外に向かって歩き出した。つもりだった。しかし、目の前には『冒険者ギルド』と書かれた看板があった。
「これが異世界の文字なの? 何で普通に読めるんだろ? ラノベの補正みたいなやつかな? これだったら勉強しなくて済むじゃん。てか、俺道間違えてたのか。誰か教えてくれてもいいじゃん」
そう言いながら逢兎は来た道を戻る。
「んー、んー」
街の住人が突然逢兎に唸りだした。
「あ、そうか。みんな口が開かないのか。喋っていいよ。
逢兎はそう言って街の外に出て、ルナたちと一緒に冒険者ギルドに向かった。一本道だから迷うことはない。
イリは目隠しをされている。血だらけの死体と、燃えて唸っている女とか見せるモノじゃいという、逢兎なりの優しさなのだろう。ルナも「珍しく意見が同じだ」と言ってイリに目隠しをして抱えている。血だまりに突っ込むのを防止するためだ。
「僕も普通に歩きたいんだけど」
街に入って少ししたくらいにイリが呟く。
「さっきよりひどいのが転がってるからダメだよ」
「あれくらいもう大丈夫だもん」
イリは頬を膨らませながら言った。
「ダメですよ。イリちゃんはまだ幼いんですからトラウマになるかもしれません」
「僕もう八つだよ! そんなに子供じゃない」
イリは無理やりルナから飛び降り目隠しを外した。目の前に広がる悲惨な光景に思わずルナに抱き着いた。
「だから言ったのに」
「だ、大丈夫だもん。ちょ、ちょこっと
イリはルナにしがみついたまま言う。
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