第53話 集会に憧れる

「ねえ、ナナさん。僕達も集会を開こうよ」

 午後の時間をゆったりと寛いでいる中、コ   ロが急に思い付いたように言う。

 ソファーで寝ていたナナさんが不思議そうに顔を上げた。

「何よ、急に。そんな面倒な事私はしないわよ」

 ナナさんの尻尾が揺れる。

「皆んなを集めてさ」

 コロが不満そうに身体を譲る。

「それだったら、今の感じでいいんじゃない?今でも、十分知り合いが来るじゃ無い。ヤタにモグリにレオにチュー太でしょ。結構多いし、気が向いた時に来るのがあの子達に合ってると思うわよ」

「うーん、でもさー」

 コロはウロウロと落ち着きなく歩き回る。

「何?どうしたの?」

 ぶっきらぼうな言い方だが、ナナさんなりに心配しているらしい。

「チュー太は旅に出るし、レオは行動範囲が広がってるしさ…」

「何?置いて行かれてるみたいに感じてるの?」

「そう!そんな感じなんだ。僕も何かしないとって」

 コロの不安を聞いてナナさんは鼻で笑う。

「何言ってるのよ。何もしなくても、みんな来るんだから、それで良いのよ。ヤタも言ってたでしょ、帰れる場所つまり安心する所が必要なのよ。家の庭がみんなにとってそうなのよ。なのに知らない動物ばかり居たら来にくくなるでしょ。今のままで十分」

「そうかな〜」

「そうよ」

 ナナさんはキッパリと言い切る。

「個人的に何かしたいのなら、お散歩する時にもっとゆっくり歩いて周りの動物と話すようにすれば?」

「分かった。ナナさんがそう言うならやってみる」

 コロの表情はキラキラしている。

 ナナさんは欠伸をしなが考える。皆んなが来るのはコロに話をしたいからだと思うけど、当の本人は気付いてない。何だかそれが可笑しかった。

「もしかしたら、来年にはもっと沢山の動物が来るようになってるかもね」

 ナナさんは笑うとキャットタワーに飛び乗り丸くなる。

 コロはリビングを出てご主人の部屋に向かう。

「ご主人。遊んで〜」

 コロの声に気付いたご主人がコロを部屋に招き入れる音がした。どうやら、コロは遊んで貰えるようだ。

 ナナさんは何となく新しい出会いがありそうな気がしながら眠りについた。

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