第48話 チュー太の旅 4日目

『この日は朝から気合いが入ってました。

やっぱりこの日までに辿り着けないと、という焦りはありました。

目を覚ましてから、周りの景色を眺める事もなく、ただひたすら直走りました。

脇目も振らずに進んだので、景色なんか覚えてないです。

覚えているのは、はやる気持ちと荒い息、そして心臓の鼓動です。

息苦しい中、草を掻き分けて現れた森に言葉を失って少しの間眺めてました。あの時の気持ちは言葉にするのが難しいです。

ぼんやりとしているとヤタさんが飛んで来たんです。

で、色々話しました。4日であそこまで行くのは厳しかったとか、色んな出会いがあったとか。ナナさんに言われた様にヤタさんにも言われました。折角なら出会った動物ともっとゆっくり話して情報を手に入れろと言われました。

後、ヤタさんの足に捕まって空を飛んだのが最高に気持ちよかったです。空高くから見下ろすと、おいらが歩いてきた距離はそんなに無かったですけど、でもちゃんと自分の力で辿り着けたという実感もあって、凄い万能感ってやつですかね。気付いたら大声で叫んでましたよ。

その日は夜までヤタさんと話してました。』




「辿り着いたんだね。よかったね」

 コロが嬉しそうに笑う。

「ヤタも粋な事するじゃない。チュー太を連れて空を飛ぶなんて」

 ナナさんの言葉にチュー太がこたえる。

「そうですよね。ヤタさんって、見た目と違ってキザなタイプですよね。でも、おいらあの景色を見せて貰えて良かったです。自分の進むスピードがどんなものか理解できました」

「と、言う事は次の旅はもっと余裕を持った予定にするんですか?」

 モグリが尋ねる。

「そのつもりです。一週間ぐらいで山の麓に行って、そこで一週間程サバイバルをするつもりで考えてます」

「いつ行くの?」

「明後日くらいには出るつもりです」

 コロの疑問に答える。

「案外早いわね」

「何度か繰り返してから、遠くに行きたいですから」

「ナナさんもチュー太も次の話してるけど、帰ってくる時の話は終わってないよ」

「そうでした。帰りは雨が続いて、動けずに7日目に亀の背中に乗って帰って来たんです」

「それそれ、大きな亀の話が聞きたかったんだ」

 コロがうずうずと尻尾を振る。

「それじゃぁ、最終日の話をします」

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