第45話 チュー太の旅 1日目
『あの後、モグリさんの穴を抜けて川沿いを歩いて山の方へ進んでいきました。
荷物も何も持ってなかったので、移動はそんなに苦にはならなかったです。
初めの頃は草の中を進んで行ったんです。いつもと同じような景色だったので、気付いたら走る様に進んでました。
おいら、ワクワクが止められなかったんだと思います。
ある程度進むとやっぱり知らない所があって、川の真ん中に陸地があるのが不思議でした。おいらは岩の上に立って眺めるけど、上手く見えなくて気になったのを覚えてます。
えっ?中州ですか?へぇ〜、川の中に山から流れてきた土が溜まってできてるんですね。
実を言うと、その中州泳いで渡ったんですよ。1回目は流されて失敗したので、2回目は中州より上流から泳ぎ出して何とか辿り着きました。
そこにはカモの夫婦が居て話をしました。
何を話したかな。内容はあんまり覚えてないですね。あっ、思い出した。そうだ。カモって言葉をあまり良い意味で使わない人間に怒ってました。
なんか鴨葱って言葉には怒ってました。
そうです。カモがネギを背負ってくるってやつです。なんか、馬鹿にされてる気がするらしいですよ。
しかも、カモにするとか言うし、餌食にされるイメージなのが嫌らしいです。
おいらもネズミに対する人間のイメージには不服ですからね。話が弾みましたよ。
それから、カモの夫婦に見送られて川を遡って行きました。
結構疲れてたので早めに休む事にしました。
近くの壁に排水用の穴が開いていたので、そこで休む事に決めました。ただ、食べ物を何も持って行って無かったので、食べ物を探しに行こうかとも思ったのですが、諦めました。
自分が思っていたよりも疲れていたらしく、空腹の中早く寝てしまいました。
ただ夜中に目が覚めて、たまたま見上げた夜空の美しさは忘れられません。いつもと変わらないはずなのに、全然違う感じがしたんですよ。
ぼんよりと眺めているといつの間にか、寝てました。
1日目はこんな感じですね。』
「凄いね。大冒険だよ」
コロは目を輝かせている。
「旅のいい所は、目的地に行く事もあるけど、道中での過ごし方よね。今度はそのカモの夫婦とゆっくりと話せたらいいわね。むしろ、カモの夫婦に会いに行くつもりでもいいんじゃない?」
ナナさんの言葉にチュー太は頷く。
「はい。今度はカモの背中に乗ってみたいので」
チュー太は楽しそうに笑う。
「中々な体験ですね。私もそのカモの夫婦と会ってみたいものです」
モグリも楽しそうに髭を揺らす。
「ねぇ、次は?続きが気になる」
コロに促されてチュー太は2日目を話し始めた?
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