第6話 血塗られた微睡み

 身体が、重い。

 自分の身体のはずなのに、動かすことが出来ない…。

 とても…眠い………。


 ぱりん。

 何かが砕ける。

 私のなかで、何かが砕けていく…。






 ここはどこなのだろう。


 子供が、泣いている。

 女の人が、短剣を何度も何度も何度も子供を刺している。

『…!………!』

 何を言っているのか聞こえない。

 子供は動かなくなった。

 女の人は、自分の首を持っていた短剣で掻き切った。


『…あれは私』


 女の人は誰なのか

 きっと思い出さなくていい…。


『……このあと、大神官さま達に発見されたんでしたっけ…』


 細かいことは覚えていない…

 思い出さなくていいと言ったのは誰でしたっけ……?






──意識が沈む

──深く、深く沈んで行く






 やさしいひとがいた。

 いなくなったのは少女。

 少女のために泣いたその人は、忽然と消えてしまった。

 すべての痕跡を消して、から消えた。


『…誰の、夢……?』



──再び、沈む。

──ぱりん。ぱりん。

──何かが壊れ、沈んでいく…。

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