第4話 訪問者
大神官応接室の扉がゆっくりと3回ノックされる。
本日は来客予定どころではない。
ヴィオスが来客を断ろうと扉を開けると、ある意味頭の痛い者がいた。
「………親父殿何しに来たっていうか、きちんと人間に擬態して下さい」
「細けぇ事言うなよ。
ヴィオスに『親父殿』と呼ばれた、
「
「よぅガゼール。取り込み中で相手出来ないぞ」
「猊下久しぶりですね。取り込み中なのは
イストがヴィオスを見る──その視線に気がついたのかヴィオスはあらぬ方向へ視線を逸らした。
「……面倒臭い所に間違えて伝令送ったな」
思わずイストがため息を漏らした。
取り込み中である。
しかしこちらの手違いがあったので、わざわざ事情を確認しに来た
公にはできないが数百年に渡り神殿と交流がある
「ガゼール、暫く
「却下です。シルビアは帰しません」
「…ちっ」
提案を速攻で却下され、横を向き舌打ちする
「…黒の非常事態通知って『武装通達』だった様な気がしますが」
イストはガゼールの顔を見たまま言葉を発しない。
「戦争でも起こす気ですか?猊下」
「……自分から起こす訳じゃねぇ。売られた喧嘩を買い上げて利子割り増しして叩き返すだけだぞ」
「…親父殿、
もう
「…なんで貴方が大神官なんでしょうね……神がトチ狂ったとしか思えませんよ。…むしろ
「その名前で呼ぶんじゃねぇよガゼール」
聞いてはいけないものを聞いてしまった様な気がヴィオスはしていた。
数百年前の伝説の魔法剣士が……自分の目の前に…いた。
「…まぁある意味トチ狂ってたで正しいんだよな」
イストの微かな呟きは、誰も耳に拾えなかった。
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