第五章 幽霊の論理

 翌十二月十九日日曜日の正午頃、警察を通じた榊原の要請により、今回の事件の関係者たちが現場となった「ホテル・ミラージュ」の一階ロビーに集められていた。ロビーは警察により持ち込まれた照明器具により明かりがともされ、集められた関係者たちは刑事たちに囲まれながら不安そうな面持ちで辺りを見回している。

 そんな中、この集まりを招集した張本人である榊原は関係者全員が集まっているのを確認するとおもむろに彼らの前に出て、その注意がこちらに向いた瞬間を見計らって小さく一礼し、今回の事件の「推理劇」の口火を切った。

「さて……そろったようですし、始めるとしましょうか。改めまして、今回警察の要請でこの事件のアドバイザーをしています、私立探偵の榊原恵一と言います。以後、お見知りおきを」

 そう言って挨拶する榊原に対し、関係者たちは互いに顔を見合わせながら突然現れた「探偵」を名乗る人物に困惑の表情を浮かべる。が、榊原はその反応を気にする事なく話を続けた。

「私について各々思うところはあるかと思いますが、先も言ったように、今回、私は警察からの正式な依頼に基づいてこの事件……すなわち、この『ホテル・ミラージュ』で発生した大量殺人事件の捜査に関与しています。そして捜査の結果、この事件について一応の考察ができましたので、こうして皆さんにお集まり頂いた上でその結果をご報告しようと考えた次第です」

「そ、それはつまり……犯人がわかったという事ですか?」

 関係者の一人である早応大学探検サークルメンバーの一人……大室貴政は恐る恐る尋ねた。大室に限らず、生き残ったサークルメンバー四人は全員この場に集まっており、全員が不安そうな視線を榊原に向けていた。

「そう解釈して頂いて構いません」

「だ、誰なんですか! 誰が先輩たちを……」

「それを明らかにするには順序立てて話をする必要があります。今からそれをさせて頂きますが……構いませんね?」

 そう榊原に言われて、関係者たちは様々な反応を示したが、最終的に全員がそれを了承するように頷いた。

「結構。では、時間もありませんので、始めさせてもらいましょうか」

 そう言って、榊原はこの事件の推理を本格的に開始した。

「推理を語る前に、この事件について簡単な復習をしておきましょう。今から四日前の十二月十五日の正午頃、このホテルを訪れた解体業者の方々がホテル内で他殺体を発見し、警察の捜査の結果全部で四つの遺体が発見される事態となりました。犠牲者のうち三名は早応大学探検サークルのメンバー三人で、もう一人はこのホテルに住んでいたホームレス。死亡推定時刻は遺体発見の四日前である十二月十一日の深夜。そして、犠牲者の一人である竹倉未可子さんが所持していたハンディカメラに、事件当時のものと思しき映像が残されていました。まず、話をする前にその映像を皆さんに一度ご覧いただきましょう。そうしないとこの先の推理に進む事ができませんのでね」

 そう言うと、榊原の合図で瑞穂があらかじめセッティングされた持ち運び式のスクリーンに問題の映像を映し出した。スクリーンには例の「幽霊」が映った気味の悪い映像が映し出され、初めてそれを見た関係者たちは誰もが絶句してその映像を見つめている。

「……ここまでにしておきましょう。さて、見て頂ければわかるように、このハンディカメラ映像は大きく四つの映像に分割されています。メンバー三人がこのホテルに訪れた瞬間を映した『映像A』、メンバーたちが九階で女性の幽霊と思しき存在に遭遇した『映像B』、何者かから逃れようとする椎木好次郎と竹倉未可子の音声のみが収録された『映像C』、そして竹倉未可子が殺害される音声のみを記録した『映像D』です。なお、映像CとDについては彼女がカメラをバッグに入れて逃げている時に衝撃か何かで偶然録画スイッチが入った結果音声だけが記録されたものと見られています」

 そう前置きしてから、榊原は改めて関係者たちに向き直った。

「さて、この四種類の中で事件を解決するにあたって一番問題となるのは、やはり巷で噂のこのホテルに出ると言われている『幽霊』らしきものが映った映像Bという事になるでしょう。実際、映像の状況的に考えて映像Cに音声が残っている二人はこの謎の人物から逃げていると考えれば不自然さがなく、そうなるとやはりこの映像Bに移っていた『幽霊』の正体を明らかにするところから始めるのが妥当かと思われます。しかしながら、現実にいるかどうかは別問題として、警察や捜査関係者としては殺人事件の捜査をしている過程で『幽霊』などというものの存在を信じる事はできません。まぁ、実際に幽霊がいるという決定的証拠でもあれば個人的に信じる事もやぶさかではありませんが……少なくとも今回、映像Bに映っているこれは、幽霊などではなくれっきとした『人間』であると仮定するところから推理を始めたいと考えます。では、具体的にこの『幽霊』は何者なのか?」

 榊原がそう言うと同時に、瑞穂がカメラを操作して問題の『幽霊』が映っている場面をスクリーンに映し出す。画像は暗い上にぼやけており、『幽霊』自体も小さく映っているため、映像だけでは相変わらずこれが誰なのかを判別する事は難しい。

「まず、この映像に映っている『幽霊』についてわかっている事を挙げていきましょう。第一に、この『幽霊』らしき何かは明らかに女性であるという事。これは見た目が女性っぽいからとか曖昧な話ではなく、生物学的、運動学的観点から見た場合の結論で、歩き方や体形が女性のものであると専門家が断定しています。つまり、男性が女性に化けていたなどという話ではなく、これが仮に人間であるならその正体は正真正銘の女性であるという事です」

 そう言われた瞬間、全員の視線がこの場にいる女性……福倉哀奈と吉永明日子の方へと向く。本当にこの『幽霊』が女性だとするなら、該当するのはこの場にこの二人しかいない。もちろん、当の二人はその視線を受けて必死に否定した。

「ちょ、待ってよ! 私、そんなの知らないわよ!」

「わ、私もです! 全く身に覚えがありません!」

 そんな二人に対し、榊原は静かに語りかける。

「えぇ、仮にこの幽霊が女性だとすれば、事件関係者の中でそれに該当するのはあなた方二人しかいません。しかし、あなた方がこの幽霊の正体だとするならば、そこには大きな問題が発生するのです」

 そう言うと、榊原は最初に明日子の方へ視線を向けた。

「まず吉永さん、あなたは事件当夜、亡くなった叔母の通夜に出るために名古屋の実家に帰っていたそうですね。警察が通夜の参加者に話を聞いたところ、あなたはちゃんと一晩中通夜の席にいたという証言が取れました。つまり、あなたがこの幽霊の正体だとするならこの完璧なアリバイを突破する必要に迫られるわけです」

 次に榊原は哀奈の方へ眼を向ける。

「次に福倉さん、あなたには事件当夜のアリバイらしいアリバイはありませんが、ある点から幽霊の正体であるという事を否定できてしまいます。この映像ですが、問題の幽霊が映っているのはこのホテルの九階にある九一〇号室の辺りで、その背景に部屋のドアが映っています。このドアと幽霊の位置関係から、実際のドアの大きささえわかればこの幽霊の実際の大きさも実測できるのですが、それによると幽霊の大きさは一六〇センチメートル前後。女性としては大柄で身長一七〇センチメートルほどある福倉さんとは矛盾します。これが逆に幽霊の方が高いというなら靴なりなんなりで背を誤魔化す事ができなくもありませんが、逆では中腰になるなどしない限り不可能で、映像では幽霊がそのような不自然な体勢をしているとは思えません。つまり、あなたがこの幽霊なら、どうやって身長を誤魔化したのかという点が問題になるわけです」

 この辺りの話はすでに捜査段階で問題になっていた。それに対し、榊原がどういう結論を出したのか……瑞穂が固唾を飲んで見守っていると、榊原はこう告げた。

「いずれの場合でも、一筋縄ではいかない問題なのは確かです。吉永さんのアリバイは付け入る隙がないほど完璧ですし、福倉さんについても身長の矛盾を解決する手段があるかと言われれば難しいと言わざるを得ず、そもそもの話としてなぜ幽霊が身長を誤魔化さなければならないのかという根本的な疑問まで発生してしまいます。仮に福倉さんが幽霊の正体だったとして、あの場で身長を低く見せるメリットが全く想像できないからです。だからと言って、あなた方以外の無関係の第三者が幽霊の正体だったという推理も考えにくい。正直、この考えをどれだけ突き詰めても堂々巡りになってしまって論理を構築する事は不可能となってしまいます」

 が、そこで榊原は鋭くこう告げた。

「どれだけ考えても論理の筋道が立たない場合、考えられる事は一つだけです。すなわち、その論理の基準となる前提条件が何か間違っているという場合です。数学的に言うならば背理法というやつですが、では、それが本当なら今までの論理の何が間違っているのか? そう考えた時、私にはたった一つの……しかしそれでいながら無意識に除外してしまっていたある可能性が浮かび上がってきました。それはすなわち、『幽霊の可能性がある事件関係者の女性が福倉さんと吉永さんの二人だけである』というこの前提条件自体が間違っている可能性です」

 思わぬことを言い始めた榊原に、誰もが思わず顔を見合わせた。

「いや……間違っているも何も……この中の女性はこの二人しかいないのは間違いないはずじゃ……」

 大室が困惑気味に反論する。が、榊原は即座にこう切り返した。

「確かにこの場に事件関係者の女性は福倉さんと吉永さんの二人しかいません。ですが私が言ったのは、一見すると可能性が絶対になさそうに見えるがゆえに『無意識に除外してしまっていた』女性の事です」

「無意識に除外って……」

「いるじゃないですか。確実に女性なのにもかかわらず、『ある理由』から幽霊の正体である可能性を無意識に除外してしまっていた人物……すなわち、この映像そのものの撮影者であったがゆえに、その被写体であるはずがないという先入観を抱いてしまっていた人物が!」

 その瞬間、全員が呆気にとられたような表情を浮かべた。

「そ、そんなまさか……」

「そのまさかです。この幽霊の正体……それは、この映像の『撮影者』である、被害者の竹倉未可子さんだったのです!」


 突然とんでもない事を言い始めた榊原に、誰もが二の句を告げないでいる。

「いや、だって……そんなわけ、ないじゃないですか」

 大室の言葉に、榊原はすました表情で聞く。

「なぜあり得ないのですか?」

「だ、だって、撮影していたのは間違いなく竹倉先輩じゃないですか! 最初に二階堂部長から呼びかけられてちゃんと返事をして、実際に自分の姿を映していたし……」

「それはあくまで『映像A』での話です」

 大室の反論を榊原は真正面から打ち砕いた。

「え……」

「この映像、よく見ると妙な部分があるのです。確かに、映像Aでは二階堂さんから『撮影者が竹倉さんである』事が明言されていますし、竹倉さん自身も二階堂さんからの呼びかけにちゃんと答え、実際に自分の姿を映してさえいます。ゆえに、映像Aにおいて撮影者が竹倉さんだった事を否定するつもりは私にもありません。また、映像Cや映像Dについても竹倉さんの声が至近距離から入っている以上、カメラがあったのが竹倉さんのバッグの中だったのは確実だと思います。ところが……映像Bについては他の映像と明らかに様子が違うのです。なぜなら、映像内で話しているのは二階堂さんと椎木さんの二人だけで、撮影者であるはずの竹倉さんは一言も……それこそ問題の幽霊が出現した場面でさえ、何も言葉を発していないからです。撮影者だったからと言われればそれまでですが……目の前に予想もしていなかった幽霊のような何かが現れた場合、いくら撮影者でも悲鳴の一つや、そうでなくとも何か声くらい上げるのが普通ではないでしょうか」

 そう言われて、誰もが目を見開いた。確かに、今までは撮影者だから無言なのは当たり前だとスルーしてしまっていたが、言われてみればあまりにも不自然な状況だった。

「考えてみれば当たり前ですが、ハンディカメラで何かを撮影した場合、通常、撮影者の姿が映像の中に残される事はありません。しかし、にもかかわらず我々は今まで『すべての映像で撮影者は竹倉未可子だった』と信じ切っていました。これは映像Aで彼女が撮影者である旨が明示されていたため、実際は彼女の声すら入っていない映像Bについても自然と『映像Bも彼女がそのまま撮影していたんだろう』と錯覚してしまっていたからです。その後の映像Cと映像Dに彼女の声が入っていて、明らかにカメラを彼女が持っていることが明らかだったのもその錯覚を補強する大きな要因になったとは思いますが」

 そこで榊原は鋭く言葉を紡ぐ。

「しかし、実際に声が入っておらず、どころか姿さえ映っていなかった以上、映像Bに限っては『撮影者』が竹倉未可子である必然性などどこにも存在しないわけです。そして、仮に撮影者が竹倉未可子ではなかった場合、女性である彼女はあの現場で幽霊に化ける事ができる唯一の存在になりうるのです!」

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

 思わず哀奈がそう言って榊原を止めた。

「あなたが言っている事は無茶苦茶よ! 何で未可子がそんな事をしないといけないのよ! しかも、それが本当なら二階堂部長と椎木先輩もまるで未可子が撮影を続けているように振る舞っていたって事よね。そうじゃなきゃ、撮影者が変わっているのに何事もなく振る舞うなんておかしいもの! 何でそんな事をする必要があるのよ!」

 その言葉を聞いた上で、榊原は静かに切り出した。

「あなたの言う通り、この幽霊が竹倉未可子だとするなら、今まで考えられてきた状況に矛盾が発生してしまいます。ならば、こう考えるべきです。あの幽霊の正体は竹倉未可子で、その事は二階堂亮馬と椎木好次郎も了承していた。その上で、彼らはカメラの前であたかも幽霊に驚くような演技をしていた……とすれば、結論は一つです」

 榊原は結論を告げる。

「本人たちが死んでしまったがゆえに怪談めいた不気味な映像と化してしまったこの『映像B』……本来は、死亡した三人が仕組んだいわゆる『ドッキリ映像』……悪く言えば他人を驚かすための作り物のようなものだったのではないでしょうか」

「……え?」

「つまりあの夜、彼らは肝試しと同時に、このドッキリ映像を撮影するためにこのホテルに侵入した……そう考えるとすべてに辻褄が合うのです」

 そう言うと、榊原は自分の推理を説明し始めた。

「そもそも映像Aからして、このドッキリを仕込むための伏線だった。入口から入ったところでこれ見よがしに撮影者が竹倉未可子であると強調し、あまつさえ本人の映像を撮影したのは、先程説明したように、この後映す予定の映像Bを撮影しているのも竹倉未可子であると錯覚させる事で、幽霊が竹倉未可子であるという可能性を無意識に排除させるためだった。つまり、この映像に発生していた錯誤は、被害者たち自らが仕込んだ意図的なものだったのです。大体、本当に肝試し目的で映像を撮影していたのなら、入ってすぐに撮影した後すぐにカメラを止めて九階まで何も撮影しないなどという事は普通しません。いつどこで怪奇現象が映るかわからない以上、こういう場合、カメラを回しっぱなしにして目に入るものすべてを映そうとするのが普通のはずです。意に反して鞄の中で録画ボタンが押されてしまった映像CとDはまだしも、AとBについてはそれをしていない時点で、何か違和感があったのは事実です」

 榊原はさらに事件当夜の被害者たちの行動を推理していく。

「ドッキリの撮影そのものは非常に簡単です。九階に到達した時点で竹倉未可子が幽霊の格好に扮し、あとは打ち合わせ通りに三人でビデオの前で演技をするだけでいい。タネがわかればトリックとも言えない陳腐な仕掛けですが、映像Aの仕込みでビデオを撮影しているのが竹倉未可子だという先入観があるがゆえに、見ている人間はなかなかその事実に気付く事ができない。ドッキリとしてはなかなかうまい撮り方だと思います。もっとも……被害者たち自身が行ったその紛らわしい工作のせいで図らずもこの事件が複雑化してしまった事を考えれば、素直にほめる事はできませんがね」

 榊原の少し皮肉を込めた言葉に、何人かの警察関係者が複雑そうな表情を浮かべるが、当人たちにとってはそれどころではなかった。

「しょ、証拠は……あの幽霊が未可子だっていう証拠はどこにあるのよ!」

 哀奈の反論に対し、榊原は冷静に答えた。

「幽霊の正体が竹倉未可子ではないかという予測さえ立てば、実の所、それを証明するのは非常に簡単です。この推測を考え付いた後、私は警察に頼んで、彼女がアルバイトをしていたコンビニの防犯カメラ映像を取り寄せました」

「防犯カメラの映像って……そんなものを取り寄せてどうするつもりなの?」

「簡単な話です。映像Bに映っていた幽霊とコンビニの防犯カメラに映っていた被害者の映像の歩容解析を行ったんです」

「ほ、歩容解析?」

 聞きなれない言葉に学生たちは戸惑う。

「映像に映った人物の歩き方などから運動力学的に個人を特定するという手法です。パッと見ただけでは識別できませんが人間の歩き方には少しずつ違いがあり、その違いを解析する事で、サンプルさえあれば映像に映っている人物の個人識別が可能となるんです。実の所、警察も幽霊の正体が問題になっていた昨日の時点で最終手段としてこの歩容解析を行って幽霊の正体を特定する事が検討されていて、そのサンプルとするためにあなた方の歩く姿が映った映像を防犯カメラなりから入手する事まで考えられていたそうです。まぁ、実際の所は幽霊の映像自体が不鮮明だったのでちゃんとした結果が出るか微妙でしたし、その捜査をする前に竹倉未可子が幽霊の正体であるという可能性が浮上して、結局そこまではしなかったようですが」

 自分たちの知らないところでそんな捜査が行われかけていたと聞いて、誰もが呆気にとられている。そんな彼らに構わず、榊原はこう告げた。

「結果はもうわかりますね。映像Bに映っていた幽霊と防犯カメラの被害者の歩き方を鑑識が比較検証した結果、幽霊側の画像は不鮮明であったものの、両者は八割近い確率で同一人物であると鑑識は結論付けました。百パーセントでなかったのは残念ですが、八割なら充分及第点といえるでしょう」

「で、でも、それでも可能性は八割なんですよね。だったら……」

「決定的なのは、幽霊もそうですが、手前で恐怖に駆られている『ように見える』二階堂亮馬と椎木好次郎の反応です」

 榊原は哀奈の反論を封じるように言う。

「反応って……」

「一見するといきなり現れた幽霊を見て恐怖でパニックになっているように見えますが、これが先程推理したようにドッキリだったとすれば、当然この反応は演技という事になります。確かに迫真の演技ではありますが所詮彼らは素人。見る人が見れば、これが素の反応なのか演技なのかどうかは、声色、表情、何気ない仕草などから充分にわかるものなんです」

 榊原がそう言うと、それまで後ろで控えていた新庄が前に出て専門的な事を解説し始めた。

「榊原さんに言われて、この映像を心理学や音響の専門家に鑑定してもらいました。詳しい専門的な話は省略しますが、例えば映像Bに映っている椎木好次郎の悲鳴やリアクションを映像Cに残っていた椎木好次郎の悲鳴やリアクションと科学的に比較検証したところ、映像Cの声に含まれていた緊張感を示す声色や微妙な声の震えが映像Bの声からは一切確認できなかったそうです。一見同じように聞こえても、その声を上げた時に本人が緊張しているかどうかは声色や声の震えの微妙な変化でわかるものだそうです。つまり、少なくとも映像Bの椎木好次郎は見かけに反して全く緊張していない。これは映像Bの時点で椎木好次郎が演技をしていた事を示す有力な証拠であり、逆に言えば緊張が確認される映像Cが正真正銘の襲撃の瞬間であった事を示す事にもなります」

 一度言葉を切って相手の反応を確認すると、なおも新庄は続ける。

「さらに映像を解析したところ、幽霊が現れてパニックに襲われているはずの所で、二階堂亮馬の視線が時折チラチラとカメラの方に向いていた事がわかりました。おそらく無意識の行動でしょうが、これは表面上幽霊に驚きながらも、実際は幽霊よりも背後にあるカメラの事をしきりに気にしていた証拠です。本当に目の前に幽霊や、そうでなくとも見知らぬ何かがいきなり現れたのだとすれば、その状況でカメラの方を何度も気にするというのは心理的にも不自然な話です。にもかかわらずカメラを気にするとすれば……それは幽霊がちゃんとカメラに映っているか気にするだけの余裕があったという事に他なりません」

 まさかオカルト映像を警察やその筋の専門家に真剣に分析される事になるとは思っていなかったのだろう。新庄の説明をサークルメンバーはただ茫然と聞いている。

「他にもちゃんと調べてみれば、怪しい部分はたくさんありました。例えば、椎木好次郎は二階堂亮馬に言われてから幽霊の方を見ていますが、その少し前の彼の視線を確認してみると、二階堂亮馬が指摘する前からチラチラと幽霊がいる方向に何度か視線を向けていた事もわかりました。つまり、椎木さんは二階堂さんに指摘される前からそちらに何があるのか知っていて、何度もそちらを気にしていたという事がわかるんです。わかっているだけでもこの状況ですから、今後、専門家がもっと詳細に調べればまだまだボロは出てくると思います」

 と、ここで榊原がバトンタッチする。

「それともう一つ。現場に残されていた竹倉未可子の遺留品にも違和感がありました。問題のハンディカメラは大きめのトートバッグに入っていたのですが、逆に言えば、このバッグの中に入っていたのは懐中電灯などを除くとハンディカメラとコンパクトケースに入った化粧品程度だったのです。それだけの物しか持ってきていないのにわざわざこんなに大きなトートバッグを使うというのは、ないとは言いませんが不自然な話だとは思いませんか?」

「持っている鞄がそれだけしかなかった、とか」

 哀奈がささやかな反論をするが、これについては新庄が否定した。

「女子大生の鞄がトートバッグだけというのは考えにくいですし、家宅捜索をした結果、手持ち式のハンドバッグや女性用のリュックサックがあるのを確認しました。それらを差し置いてこのトートバッグを選ぶ理由がありません」

「ですが、もしあの幽霊の正体が竹倉未可子なら、この不自然なトートバッグの意味も解決します」

 榊原の言葉に反応したのは明日子だった。

「……もしかして、幽霊に変装するための道具が入っていたって事ですか?」

 その言葉に誰もがハッとし、榊原は大きく頷く。

「えぇ。映像Bに映っていた幽霊に変装する場合、映像で幽霊が着ていた白い服とカツラは必須用品です。少なくとも映像に移されている幽霊の髪形と竹倉未可子の髪形は長さからして全く別ですからね。そしてそれらの物品を持ち込むとなれば、あの大きさのトートバッグは最適なものでしょう。さらに言えば、バッグに残っていた化粧のコンパクトケースも幽霊のメイクをするために使った可能性があります」

「で、でも、本当にその考えが正しいかは……」

 大室がなおも反論しようとするが榊原が首を振る。

「残念ながら、これについてはちゃんとした物的証拠もあります。鑑識の記録によれば、問題のバッグの中や現場の九階から、衣類のものとは違う正体不明の人工繊維が何本か見つかっているそうです。もし今までの推理が正しかったとすれば、おそらくその人工繊維は竹倉未可子がバッグ内に入れていたカツラの人工毛髪である可能性が高い。正体の目安さえつけば、鑑識がちゃんと調べればこの繊維がカツラの人工毛髪かどうかはすぐにわかる。そして、竹倉未可子があの場にカツラを持ち込む理由は一つしか考えられない。幽霊に変装するため、です」

 もはや状況は明らかだった。ここまで複数の証拠がそろっている以上、幽霊の正体が未可子だった事は認めざるを得ない状況だった。

「以上の証拠により、映像Bが本来被害者たちの仕組んでいたドッキリ映像であった事と、あの幽霊の正体が撮影者と思われていた竹倉未可子である事は証明されました。さて……そうなると、ある『恐ろしい事実』が浮かび上がってくるのは自明です」

「『恐ろしい事実』ですか?」

「えぇ、映像Bにおいて撮影者だと思われていた竹倉未可子は幽霊としてこの映像に映っている。そして、二階堂亮馬と椎木好次郎はこの映像に映っているので撮影者ではあり得ません。ならば、次の問題はただ一つ」

 そして、榊原は低い声で告げる。


「この映像Bを撮影していた正体不明の『撮影者』とは一体何者なのか?」


 その瞬間、瑞穂の背筋に寒気が走った。そしてそれは、他の面々も同じようだった。

「そ、そうよ……未可子があの幽霊の正体なら……一体このビデオ、誰が撮影していたのよ!」

 哀奈が悲鳴に近い叫びをあげる。幽霊が映っていた映像B……今まではその幽霊の存在がこの映像を恐怖映像に仕立て上げていた。だが、幽霊の正体が明らかになった今、別の恐怖がこの場に降臨していた。すなわち……今までその存在自体浮かび上がっていなかった、無言のままに被害者たちを撮影している姿の見えぬ謎の『撮影者』が、突如としてその存在をこの場に知らしめたのである。その事実は、関係者たちを別の意味で震え上がらせるのに充分なものだった。

「さ、三脚か何かにカメラを固定して撮影していたんじゃ……」

 大室が必死に反論の糸口を見つけようとするが、ロバートがそれを遮った。

「無理デス! この映像、二階堂サンたちと一緒に歩いていマスし、少しデスけど手ぶれもしていマス! 間違いなく誰かが手に持って撮影していマス!」

「じゃ、じゃあ誰なのよ! 誰がこれを撮っているのよ!」

 半狂乱状態の哀奈であるが、榊原はさらに追い打ちをかけるようにこう言った。

「状況から考えて、映像Bを撮影した現場に被害者たち三人以外の誰かがいたのは間違いありません。しかも、恐ろしい事に発見されたハンディビデオからは竹倉未可子の指紋は検出されていますが、それ以外の指紋は検出されていません。というより、そんなものがあったら警察もすぐにその謎の『撮影者』の存在に気が付いています。竹倉未可子の指紋が残っていた以上、謎の『撮影者』が後からカメラを拭いたわけではない。そうなれば、可能性としては手袋のような指紋対策をした上で撮影をしていた事になります。季節が冬なのでその行為自体が怪しまれる事はないとはいえ……この時点で指紋対策をしているというのは、何とも不穏な話です。まるで……最初から指紋が付着しないように細心の注意を払っていたかのような」

「ま、待ってください! じゃあ……」

 すっかり青ざめた表情の明日子の榊原ははっきり告げた。

「謎の『撮影者』が指紋対策をしていた理由……それは、この後自分が何をしようとしているか理解していたからとしか思えません。つまり、この撮影者はこの映像を撮影している時点で決意していた事になります。すなわち……目の前でドッキリ撮影の演技をしている三人を皆殺しにする事を!」

「ひ、ヒィッ!」

 哀奈が絶叫した。

「つ、つまり……」

「えぇ……この映像Bを撮影した謎の『撮影者』……それが今回の事件の真犯人です! この映像Bは、殺人鬼がこの後殺す自分の標的を撮影していた映像だったんですよ!」

「い、イヤァァァァッ!」

 哀奈が再度叫び、他の面々も声が出ない様子だった。

「だ、誰なんです! 誰がこの映像を……」

 榊原に詰め寄ろうとする大室に対し、榊原は冷静に告げた。

「それについても推理する事が可能です。ただし、幽霊ではなく撮影者が犯人だとわかった時点で、犯人の条件が今までと大きく変化します」

「条件?」

「まず、今までは犯人はこの幽霊らしき何かを演じていた人物であると思われ、すなわち女性だと思われていました。そうであるがゆえに犯人は福倉哀奈と吉永明日子のいずれかと考えられ、しかし彼女たちに犯行が不可能であるがゆえに推理が行き詰っていたわけです。しかし、実際の犯人は正体不明、性別どころか声も姿もわからぬ謎の人物です。となれば……その犯人が女性でなければならない事情など全く存在しなくなります」

 その目が、鋭く残る男性関係者たちを射抜く。

「つまり、犯人が男性である可能性が浮上するのです!」

「っ!」

 その告発に、今まで容疑者圏外だった大室やロバートの顔も引きつる。が、榊原は止まらない。

「それを踏まえた上で、事件の容疑者を絞っていきましょう。まず、条件が変わったとはいえ犯人が事件当時現場となったこのホテルにいなければならないという事情は変わっていません。となれば、事件当夜に確実なアリバイがある人間は容疑者から除外できます。この時点で、先述したように事件当夜のアリバイがある吉永明日子さんは犯人と考える事は極めて難しいと考えます。ゆえに、あなたは犯人ではない」

 それを聞いて明日子はホッと息を吐く。

「次に、容疑者を男性まで広げたとしても、アリバイ絡みで犯行が不可能な人物がいます。言うまでもなく、事件当夜イギリスへ旅行中だった大室貴政君です。彼が事件当日日本にいなかった事はパスポートの記録などでも明らかで、吉永さん以上にアリバイは完璧です。犯人である可能性はないと考えても問題ないでしょう」

 大室も大きく息を吐いて安堵する。が、残り二人は心中穏やかではないようだった。

「さて、話は変わりますが、犯人を特定するための新たな情報が問題の映像Bの中に眠っています。この映像B、撮影者の姿こそ映っていませんが、映しているのが撮影者本人である以上、そこにある手がかりが残ってしまいます」

「手懸り、と言うと?」

「言うまでもなく、撮影者……すなわち真犯人の『身長』です」

 その言葉に、誰もが息を飲む。

「何度も言うように、この映像を見ていた我々は、最初この映像が別人によって撮影されていた事に気付けませんでした。それはもちろん、先程も言ったような被害者たちによる仕込みがあったからですが、それ以前の話として映像Aと映像Bの『視線の高さ』……つまりカメラの撮影位置の高さに大きな変化がなかったからです。言うまでもなく、ハンディカメラはその撮影の都合上、撮影者の身長によって撮影位置が変動します。例えばある人物が身長一七〇センチの人物を撮影するとして、撮影者が一五〇センチの子供である場合と一八〇センチの長身男性である場合では、同じ場所から撮ったとしてもその映像は明らかに違ってくるはずなのです。にもかかわらず、撮影者が違う映像AとBではその撮影の高さがほぼ同一だった。それはすなわち……問題の撮影者と竹倉未可子の身長がほぼ同じくらいだという事の証明に他なりません!」

 そう言ってから、榊原はロバートを見据えた。

「この点からロバート君、長身の君が犯人である可能性は完全に排除できます。あなたと竹倉未可子の身長が全然違う事は、君たち二人が一緒に並んで撮影した写真で両者の身長差が三十センチ以上あった事で充分に証明できるでしょう。また、同じく身長の理由から福倉哀奈さんも犯人である可能性はあり得ません。今の今まで幽霊……すなわち竹倉未可子と君の身長が映像で一致しない事が問題だった事からもそれは自明です」

 そして榊原は告げる。

「以上より、ここにいる四人が撮影者である可能性は完全に排除されました。ゆえに結論は一つです。今回の事件を引き起こした謎の『撮影者』……それは早応大学探検サークルのメンバーではないという事。すなわち……犯人を追い詰めるためには、他の関係者にまで捜査の目を広げる必要があるという事です」

 その上で、と榊原は続ける。

「ここでさらに犯人の条件を絞る事ができないかを検討してみます。今証明したように、探検サークルメンバーは犯人=撮影者ではなかった。しかし、そうなると今度は被害者たちの行動に疑問が生じてしまいます。すなわち、被害者たちは『ドッキリ映像』を撮るための撮影者としてサークル関係者以外の人間を引きずり込んだ事になってしまうからです。少なくとも、全く面識のない人間にいきなりそんな事を頼む事はできないでしょう。そこから考えられる事は一つ。撮影者は、少なくとも被害者三人のいずれかと顔見知りで、しかも『ドッキリ映像の撮影者の身代わり』などという無茶な頼みをされるほど信頼されている間柄だった、という事です」

 榊原は続けざまに推論を展開していく。

「しかし、そうなると不思議な事があります。この事件は三人が同時に殺されたわけではなく、まず真っ先に二階堂亮馬が殺され、その後逃げる過程で椎木好次郎と竹倉未可子が殺されたという流れになっています。ところが、そうなると犯人としては懸念しなければならない事があります。すなわち、逃げた二人が逃走中に自分の正体に関わる何か……例えばダイイングメッセージめいたものを残す可能性があるという事です。例えば、竹倉未可子だったらそれこそ持っているハンディカメラに犯人の名前を吹き込んでおくというような事をやってもいいわけですし、それが駄目なら極端な話、ホテル内のどこかに犯人の名前を刻んでおくだけでもいい。この暗闇では犯人がそのダイイングメッセージを見つける事は不可能ですし、実際にそんな事を彼らがしなかったとしても、『メッセージを残すかもしれない』という恐れは通常犯人側に必ず発生するはずです」

 ところが、と榊原は続けた。

「にもかかわらず、犯人はそんな可能性を全く考慮していないような動きをしています。例えば、竹倉未可子殺害後に彼女が持っているであろうハンディカメラをチェックするような素振りを見せていません。それは映像Dを見ればすぐにわかる話で、犯人は殺害後、荷物を確認する事もなくすぐにその場を離れてしまっています。映像Bの撮影者が犯人であった以上、彼女がカメラを持っていた事を犯人が知っているのは当然。にもかかわらず、犯人はカメラをチェックするような事をしていません。また、そもそもの話として、ダイイングメッセージを心配するならそもそも被害者たちをホテル内で逃走させていたぶるように殺すというような、メッセージを残す余地がある犯行形態を許容するとは思えません。犯人は自分の犯行に人生を賭けていますから、そういう無駄な事は本来しないはずなんです。しかし、今回犯人はあえてその犯行を行いましたし、また被害者側もダイイングメッセージのようなものを残そうとした気配が全くありません。カメラの映像にもそのようなものは残っていませんし、警察がホテル内を徹底的に捜索しても、そうしたメッセージ的なものは一切見つかりませんでした。これらは一体なぜなのか?」

 榊原は自分の質問に即座に自分で答える。

「結論は明らかでしょう。すなわち、犯人は椎木好次郎と竹倉未可子がホテル内を逃げ回ったとしても、そうしたダイイングメッセージを残される可能性がない事を知っていた。だからこそ、犯人はあえてこの犯行形態を選んだんです。では、なぜダイイングメッセージを残される危険性がないと犯人にはわかっていたのか? ……もうおわかりでしょう。それはすなわち、少なくとも椎木好次郎と竹倉未可子は、犯人がどのような人物なのか、名前も含めてまったく知らなかったからという事になるのです。正体を知らない人間を告発するメッセージなんか残せるわけがない……だからこそ犯人は、こんないたぶるような殺害方法を採用する事ができたのです」

「ま、待ってください! さっき、あなたは犯人が被害者たちと顔見知りだったと言っていたじゃないですか!」

 当惑気味に大室が尋ねるが、榊原は動じない。

「正確には、『被害者たちのうち一人と』顔見知りだったです。そして今、椎木好次郎と竹倉未可子と犯人は顔見知りではなかったと結論付けられました。となれば、残る可能性は一つしかありません。そう……『犯人は、最初に殺された二階堂亮馬と知り合いだった』という可能性です」

 その結論に全員が息を飲んだ。

「だからこそ二階堂亮馬は真っ先に殺されたんです。あの幽霊動画が被害者たちの自作自演だったとわかった今、おそらく撮影が終わってホッとしていた被害者たちを不意打ち的に襲ったと考えるのが妥当でしょう。その最初のターゲットが二階堂亮馬で、だからこそ彼は撮影現場となる九階に倒れていた。ではなぜ彼を最初に襲ったのか? それは、自分の素性を知る彼を不意打ちで最初に殺しておかないと、それこそダイイングメッセージを残されてしまう可能性があったからです。そう考えないと今回犯人がこのような犯行形態を採用した理由が説明できません」

 榊原はそこで一度言葉を切ると、すぐにこんな結論を導き出した。

「……以上より、犯人=撮影者の条件ははっきりしました。すなわち『二階堂亮馬と知り合いかつ他の二人とは初対面で、竹倉未可子と同じくらいの身長であり、なおかつ事件当夜のアリバイがない』人物です。そして、それに該当する人間は関係者の中に一人しかいません」

 そして、榊原は探検サークル四人組のさらに奥に控えていた『他の事件関係者』の前に出ると、おもむろにその人物の前に立って宣告した。

「以上の論理より、私はあなたを犯人と告発します。何か言う事がありますか? 今回、この廃ホテルで大量殺人を引き起こした真犯人の……」

 直後、榊原はその名を鋭く告げた。


「杉並区役所職員、青田雄二!」


 その瞬間、告発された当人……遺体の第一発見者の一人である杉並区役所の青田雄二は、覇気がなく虚ろな……しかしそれでいながら深い闇を抱えた視線を無言のままに榊原に向けた。

「あなたが、この事件の犯人です! 反論があるなら聞きましょうか!」

「……」

 ……そしてそれは、このホテル・ミラージュを舞台とする榊原と殺人犯との二度目の推理対決が幕を上げた瞬間だったのである……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る