星屑、降る場所で
真上を見上げると星の光、遠くを航行する船の識別信号が点滅していた。
手を伸ばしてみて、届くだろうかと俺は指先を開く。
当然、届くはずもない。
俺はゆっくり、ヘルメット内で息をはく。
一瞬、内側が曇るがすぐに防曇剤(ぼうどんざい)のお陰で綺麗になる。
視線を前に戻し、無重力空間を歩き始めた。
今日も星が降った。
工業惑星であるここではよく「スターストーン」が降る。
俺はそれを取るのが仕事だ。
「スターストーン」は何百年も前に発見されそれ以来、重要な資源の一つだ。
今、俺の真上で航行してる船の推進にも使われてるし、なんだったら俺か今履いている宇宙服の中にも使われてる。
宇宙連合の間でかなりの高値で取引されている。
金になることはいいことだ。
廃れた工業生活コロニーじゃ、娯楽なんてものはほとんどない。
楽しんでいくとしたら火星クルーズかな?
テラフォーミングされた海はどんな感じなのか体験してみたいところではある。
とにかく妄想をしながら先を急ぐ。
酸素の消費が早く。
ボンベが持たないかもしれない。
俺は歩き続け、先を急いだ。
すると向こう側にクレーターができているのが見えた。
「スターストーン」が落ちた場所だとわかる。
クレーターはそこそこ大きい。
燃えて散らばってなければそれなりに大きい。
獲物の大きさに期待しながら足を進める。
クレーターのふちにたち、中を覗いてみる。
やっぱり獲物は大きそうだ。
火星への旅行が現実化しそうで胸がたかなってしまう。
クレーターの斜面を降り始めた。
明かりは自身のヘルメットについたライトと星々の僅かな輝きのみ。
クレーターの内部は暗く、気をつけないと足を滑らせてしまう。
気をつけながら進みクレーターの底までつく。
「スターストーン」はどこか。
俺はあたりを見回す。
「スターストーン」は衝撃を与えている間は発光するが何もなければただの石にしか見えない。
ただ一定の周波数の電波を当てると他の鉱石とは違い、反応してくれる。
俺は自分の仕事道具を鞄から取り出した。
発見機を使い、あたりを見回す。
すると反応があり、かなりの大きさだとわかり発見機のモニターに反応があった箇所の推定の大きさがでていた。
「こりゃあ、重機が必要だな」
俺はだれもいない宇宙空間で一人呟く。
すると上空で何かが光った気がした。
俺は真上を見上げる。
かなりの先の方で何かが爆発したのか手持ちのライトぐらいの大きさの光が見えた。
「こりゃあ、また降るな」
「スターストーン」が多く降ることを期待しつつ俺は火星への旅行をまた頭の中で描きながら、コロニーに戻ることに決めた。
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