そんな要素でダサいと言うのは損ですよ

 私はよく女子からキモいと言われている中学二年生。

本当によく、キモい、ああはなりたくない、最低、酷い、性格悪い、色々言われている。


 教室では女子が、化粧など美容の話をしている。

私はメイクアップはしないが、基礎化粧品や日焼け止めなどを使っている。


 昔から今もこれ、これがコスパよくて品質が良い。

あと、プロテインも愛飲している。


 ある日、こんなふうに話しかけられた。


「糸石さん、あんたみたいにはなりたくないから、あんたの美容法教えて」

私は即答した。

「意識しなければならないから、大丈夫だよ」

すると、女子が激怒した。

「だから、教えてって言ってんでしょ!?」


意味が分からないなと思いつつ、普段心がけていることを話す。


「まず、筋トレのメニューは……」

これは本当に気をつけていた。筋トレすることによって、美しい体型をキープするのだ。


「そんなこと訊いてない」

と即断した。

「いや、美容法って言うから……」

「それ美容法じゃないでしょ?」

うーん、と思いつつ次の話をした。


「化粧品は、ちふれん、って言うブランドで……」

これはコスパも品質もいいブランド。

「そんなダサいの使ってるの?……本当の話をして」

ダサい、と言ってもちふれんと筆で書いたような文字がパッケージに少し載っているだけで、品質とコスパは抜群。


「本当だよ、ほら、日焼け止めもこれ」

ちふれんの日焼け止めを鞄から取り出して見せた。

「カモフラージュにわざわざ買ったのね、性格悪い」

なんのカモフラージュだろう、と思いつつ、次の話題へ移る。


「あんたの私服、可愛いってよく見かけた人が言ってるけど、どこのブランド?」

見かけた人とは誰のことだろう? と思いつつ答える。

「しまむらん」

流行ってなかった頃の、しまむらん。


「あんなダサいとこの着てるの!? ウケるー!!! ……本当のことを話して」

大笑い、と言うか嘲笑したと思ったら、こんなことを言い出す。

「いや、本当だよ、結構可愛いの安く買えて良いんだよ」

「あんなおばさんくさいところの安物着てて、可愛いって言われるはずないでしょ!?」

断言された。


「いや、この髪飾り、可愛いよね。しまむらんで買ったんだよ」

髪飾りを見せる。

「それはダサいけど、……カモフラージュよね」

また出た! カモフラージュ疑惑! と思いつつ続ける。


「本当だよ、しまむらんってファッソンセンターって言うけど、服は安くて可愛いよ。流行に敏感な人におすすめしたい」

「そんなダサいところの服で評判いいはずないでしょ!?」

キレた。


女子は怒って、自分と仲のいいグループに戻った。

「糸石が本当のこと話してくれない!!!」

なんか凄く怒鳴ってる。

「へぇ、それってサイテー」

「うちらがもっと可愛くなると困るからだよ」


そんなこんなで何かと伝わらなかった。




 現在。

「糸石さん、シャンプーとかオイルとか、化粧品とかどこの使ってるの?」

と訊かれることがあり、正直に答える。

「ダイアーン、とちふれんと、オイルはアースハートン、あとプロテインとか飲むと良いですよ」

なんかいつも答えているのに。


「また、正直に話してくれないのね。タチ悪い」

いっつもこの反応だ。


意外に感じるのだろうが、本当の話で、プロテインは美容に良いし、太る原因ではないのに。

その話をする前に、いつも「タチ悪い」と言われてしまう。

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