なんだか胃の調子が悪い

 中学生二年生のある日、学校には登校したものの、胃の調子が悪い気がした。


 そんな私を美形コンビと謳われている二人の男子が私を見ていった。


「なあ、なんか糸石の様子、おかしくねーか?」

「糸石の様子はいつもおかしいだろ」

「そうだけど、そう言うことじゃねーよ」

「ホントだ、声かけてみよーぜ」


 なんて酷いこと言っているんだ、様子がいつもおかしいだと?

私は窓際で静かに、暗く目立たずに、存在してるのに、厄介な二人に声をかけられそうだ。


 なんて思ってはいたが、胃の調子が悪く、あまり動きたくなかった。




「おい、糸石、どうしたんだ?」

「どっか具合でも悪いのか?」


 声をかけられてしまった。


「ほんのちょっとだけ、胃の調子が……」

物事を小さく見せるように話す。いわゆる、矮小化と言うやつだ。


「ほんとだ!糸石さん、調子悪いのー?」

「大丈夫ー?」


 今度は女子が来た。


 机に突っ伏している私に対して、膝を曲げて話しかけているようだ。


 さっきまで、

「あの人調子悪そー!」

「放っておこーよ」

とか話していた女子四人組。


 この美形男子二人組が私に話しかけると、後から話しかけに来るのはいつものこと。


「大丈夫……」

そう答えると。


「糸石さん大丈夫だって!行こーよ!」

と女子が美形男子コンビに話しかけると、

「俺らは、糸石が大丈夫だとは思わない」

と苦々しく言う。


 なんだか厄介なことになってきた。

私はこの状況を打破したくなった。

いや、そうしなければ嫌だと言うか、なんと言うか。


 気持ち悪いのを我慢して、私は立ち上がった。

気持ち悪いのを我慢して、教室の空いているスペースに移動し、

気持ち悪いのを我慢して、3周ほどその場で回転した。


 そして、女子四人組にウィンクをしながら、

右手を突き出し、人差し指をむけ、


「胃腸、胃腸、胃腸〜、もーみじー!!!」


 歌ってみせた。


「うっ、気持ち悪い……」

それはそうだった。

私はふらついた。


 美形男子コンビが私の体を支える。


「ほら、保健室行こーぜ、糸石」

「大丈夫じゃないだろ? な?」

「歩けるか?俺らが支えてやるから」


 なんか私は美形男子コンビに保健室に連れられ、美形男子コンビは保健の先生に事情を話す。

保健室に向かっている途中の視線が痛すぎて辛かったことを思う。

美形コンビのキリッとした方に、「大事にしろよ」と頭をポンポンとされると、心底から、


「女子がいなくて良かった」


 と思った。

良い人達なんだけど、女子の嫉妬心を煽ることしてくるから、厄介なんだよな。


 1時間ほど休んだら、授業の全過程は終わった。

保健の先生から、部活は休みなさいと言われたので、帰ることにした。


 保健室に、私の荷物を女子の保健係のクラスメイトが持ってきた。

「あんた、覚悟しなさいよ」

と言うので、何かと思っていた。




 次の日、教室に行くと。

「糸石!お前、ガンタム好きなんだな!」

「下敷き落ちたの見たぞ!!」


 とても厄介でしかない、美形男子コンビが話しかけて来た。


 ガンタムが好きなのがバレてしまったようだ。

「じゃあ、こんなアニメオタクの私の相手してないで、他の人と話してきたら?」


「俺らもアニメオタクなんだ!」

「今度、アニメイドに行かねー?」

と二人が言い出して、クラス中の女子の視線が痛かったので。

「いや、いいや……」

と断った。


 厄介だ、と私は頭を抱えた。

これじゃあ、また女子から嫌われてしまうじゃないか、と。

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