なんでみんなで助け合わないの?

私は協調性がほとんど無い。

そのせいもあって、学校の先生に煙たがられてきた学生時代だった。


 でも、あの時は、私とあの子以外のクラスメイトがおかしかったんだと思ってる。

それは小学6年生の頃だった。




 クラスメイトに知的障害の男子がいた。

その子のことをみんなと私も、ダダと呼んでいた。


 駄々をこねるから、ダダ。

今思うと、私はなんでダダって呼んでいたんだろうと思う。


 ある日の朝礼の時、担任の林先生は言った。


「今日、ダダは遅れてきます。足を骨折したからです」

そこまで言うと一旦、間を置いて。

「バカだねーーー!!!」


 どっ!!!

教室中が笑いで溢れた。


 私はそれにとても驚いた。

「え? なんで? そこ笑うとこ?」

私は笑えずに、呆然としていた。


 そして、それから少し遅れてダダは松葉杖をつきながら教室に入る。


「遅刻だよー! 駄目だよ、そんなんじゃ!」

林先生はダダに向けて言い放った。

どっ!!!

教室はまた、笑いに溢れた。




 一時間目はちょうど移動教室だった。

クラスメイト達がどんどん移動教室へ向かう中。


「ダダ、大変でしょ?教科書持ってあげる」

私はダダに話しかけに行った。


 すると後方から声が聞こえた。

「糸石に荷物持ってもらうなんて、ずりーなーーー!!!」

「それなら俺も骨折してーよ!」


 それを聞いたからなのか、ダダは、

「いい、自分で持って行く」

と、一人で移動教室へ向かって行った。


私はダダが心配になり、荷物は持っていってあげられなかったが、せめて無事、移動教室まで行けるか付き添うことにした。


 すごく遅い足取りだった。

それはそうだ。

松葉杖をつき、荷物を持ちながら移動しているのだから。




 そして、私達は遅れて移動教室についた。


 林先生はそれを見て、

「ダダ、糸石、何をしてたの! 遅刻なんてサイテーだよ!」

と怒鳴った。


 すると、

「糸石は怒らないでやってください」

と言う複数の男子達の子が上がる。

林先生は仕方なさそうにして、

「分かった、糸石は無罪放免にしてやる」

と言って、授業の続きを再開した。


 なんだか、女子達が睨んできてる気がする、と思いつつ、授業を受けていた。


 私はその日、一日中、ダダのサポートに回った。

何か骨折したことにより、不自由そうにしていたら、サポートしていたのだ。

男子達はその度に、「俺にも優しくしてほしいんだけど」と話し、

女子達はそれを聞くと、私を睨む。


 そして、終わりの会、すべての授業が終わり、明日の日程や学校へ持って行くもの、連絡事項などを伝える会が終わり、ダダのもとには保護者が来るまで待っているとのことで安心して、家路に着こうとした所、林先生に呼び止められた。




  林先生は嫌そうな顔をしながら、私に言葉をぶつけた。


「他の女子のことも考えて、行動しなさい」

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