第6話
孫策は、一応は軍を立て直して来た。
期待していた袁胤は、敗走したとのこと。
袁術は……、献帝というか曹操の命令で潰されるだろう。
滅亡が決まっているのを知っている。
それと、河北の情報が入って来ない。
俺には、そこまで使える手駒がいない。
唯一の軍師は、虞翻ぐらいだ。
陳瑀と王朗は、元の領地に帰って行った。孫策が荒したので復興からだな。
それと、俺を盟主……古い制度だが"覇者"として認めてくれた。
江南江東の半分を、取り返したからだ。
戦況は、こちらが有利。
揚州の未来は……、俺が本気を出せば、すでに決まっている。
「唯一の懸念点は、孫策の配下だな。俺には脳筋の配下しかいない」
できれば、吸収して配下に置きたい。
俺の配下は、山賊上りが殆どだ。治水や開墾、城壁修理など誰もできない。
少しずつ孫策を削って行くか。
孫策は、まだ軍を完全には立て直せていない。基盤となる曲阿城で反乱を起こされたからだ。
その間に、手薄の城を奪って行く。空き巣戦法だな。盗賊の得意とするとこだ。
収穫の時期が来ても、孫策は動けなかった。
そして、兵士が逃げ出して行った。
「ふっ……。徳が違うんだよ」――キラン
◇
まず、蔣欽、周泰、陳武、凌操といった武将が降って来た。これで、孫策は、まともな軍事行動を起こせなくなっただろう。だが、良将はまだいる。油断は禁物だな。
後は……、文官だな。俺の知る限り、周瑜、魯粛、張紘、張昭、秦松、陳端あたりか? 決してw〇kiから引用ではないとだけ言っておこう。もっと、知将はいるのだし。
一年を過ぎる頃には、曲阿城で大規模な反乱が起きたとか。
ふっ……。税が高すぎたんだな。内政がなっていない。
結局孫策は、孫堅の元領地の長沙に向かった。
人材の得られない孫策……。恐れるに足りない。
俺は、曲阿城に入り、民衆に食料を施した。そして、丹陽郡を手中に収めた。
もう、民心爆上がりだったな。
当たり前すぎて、驚くに値しない。これが、徳というものだ。
「さて江南江東は手中に収めたな」――キラン
「徳王様。押さえておくべき城があります」
虞翻からだった。
「何処だ?」
「柴桑にございます。今の内に難攻不落にしておけば、孫策も劉表も攻めて来ることはないでしょう」
……なるほど。忘れてた。
◇
柴桑は、俺が向かっただけで降伏して来た。
まあ、王威だな。
こいつらは、分っている。優遇してやろう。
柴桑の城と周辺を固める様に指示を出す。ここは、川が多く守に易く、攻めるに難しい。
それと、江南江東の各城の城主たちだ。貢物を持って来た。
見ているか孫策……。これが徳というものだ。
虐殺を繰り返して、平定した土地では、人口を戻すのに大幅な時間を要するのだぞ。
ふっ……。覇者との差を見せつけてしまったか。
そんな時だった。
「河北からの使者だと?」
「献帝の名を出しておりますが、追い返しますか?」
……この時期だと、あれか。
一応、礼儀作法の為、膝をついて、話を聞く。
「袁術を討てとの御下命だ。曹操・呂布・劉備と連合を組むように」
「……承知」
使者はもてなさない。どうせ、酒も食い物にも文句を言うだろうから。
即日帰って貰った。
「兄者……。どうするんだ?」
「まあ、任せておけ」
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