第6話 しんじてくれよ
こんな文章を綴っていながら、本当に言えたことでは無いのだが、僕は誰よりも「死にたくない」と思っているし、死を恐れている。
学生時代には死にたくないあまり、「死」について研究を行ったくらいだ。最終的に、「死を恐れることはない、次がある」という自分に都合のいい研究結果を導き出した。さながら宗教の成り立ちのようで、笑ってしまうが。
死にたくない癖に死にたくなるって、矛盾してね?と思われるだろうが、この矛盾こそが感情と環境の影響を際立たせている。自分って誰よりも死ぬことを恐れているはずなのに、今はそれがどうでもいいくらいに線路に飛び込みたい。そういった乖離が、この事象の異常性をより高めているような気がしてしまう。心が強い人間だと思っていた。なのに、こんなにも簡単にひっくり返ってしまった。
僕にとって真夜中は、「死んでしまったら記憶も何も残らなくなるのかな」という得体の知れない恐怖に苛まれる時間だった。それが今はどうだろう。「死んだ方が楽なのかな」という逃避とも取りがたい思いが夜に満ちている。
しんじてくれ、僕は誰よりも死にたくないと思っているんだ。
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