第2話 友好度

 「お主ら取り敢えず荷物を部屋に置いてくるんじゃ。自分が何処の部屋かは二人で話し合って決めて良いぞ。毎年良くて二人しか入らんから、多くの部屋が空いておる。」


 「それじゃあ春は何処が良い?」


 「何で最初から呼び捨てなの。藤堂君は相手が同級生だからって礼儀が必要ないと思ってる、教育が行き届いて無さすぎる人なの」


 「ご、ごめん」


 「私は何処でも良い」

 

 「それじゃあ俺は入り口に近い、ここにするよ」


 「あっそ。私はその向かいにする」


 荷物を自室に置き、鈴道先生の所に戻った。


 「二人とも戻ったな。それではまずこの寮について説明するから着いて来るんじゃ」


 一般的なアパートと何も変わり無かった。


 「ここまでは普通のアパートと変わらんと思っておるじゃろ。しかし一つだけ違う場所がある。それは……」


 「それは?」


 「毎回、御飯はわしが作る!!!よってお主らの食費は浮く!!!存分に感謝するんじゃぞ」


 「本当ですか!」


 「うむ。春、下を向いておるがどうかしたのか?」


 「私……誰かが作った物食べたこと無くて……」


 「わしの作るのは嫌か?嫌だったらわしが作るのはやめるが」


 「違います!逆です!物凄い嬉しいんです!!!」


 「そっか。本当か!ならこれから一杯作ろう」


 「はい!よろしくお願いいたします!」


 ちょっと待て、俺が荷物を置いている間になんでこんなに仲良くなってるんだ…。


 俺だけ仲間外れみたいになっている…。


 冷たい桜形さんが誰かと仲良くなっているのは嬉しいことだが、なんか悲しい…。


 「わしは短剣の担当教員だが、この学校の一人の教師じゃ。それ故、短剣以外の知識、警察官として必要な知識も教えるんじゃが、文句言わないでくれると助かる」


 「安心して、楓ちゃんに文句なんて言う訳ないから」


 なんか凄い仲良くなってる。


 初日で先生に対してタメ口……。

 

 「春、ありがとう」


 「蓮はどうじゃ?」


 「僕も文句なんてないですよ」


 「蓮もありがとう」


 「まず、わしら警察官は敵と交戦する際に必ずとある言葉を言う。その言葉とは「3、2、1」じゃ。その言葉を皆で言い、それを合図として交戦するんじゃ。二人とも分かったかの?」


 「はーい」


 「分かりました」


 「それならよろしい。次に街中を巡回する時は出来るだけ多くの人数ですることじゃ。もし強敵の場合、少人数で倒されてしまうと強敵の存在を知らせる者がいなくなってしまうからな。最低二人での巡回が原則じゃ。分かったか?」


 「分かりました」


 「楓ちゃん一つ質問して良い?」


 「どうしたんじゃ春」


 「もしかして私って藤堂君と巡回するの?」


 「そうじゃが何か問題か?」


 「問題って訳じゃないんだけど少し嫌だな~って」


 「長く一緒に過ごして行けば蓮の良い所も見えてくる。蓮のことを春が嫌と思っている性格や行動をした人として見るのではなく、蓮と言う人間として見れば蓮のことを良く見えてくるじゃろう。良いな?」


 「はーい」


 「手始めに次、お互いの名前を呼ぶ時、呼び捨てにしてみると良い」


 そう言われ、お互いに相手の方を見ると目を逸らしてしまった。



 「三つ目に先ほども言ったが巡回中に敵に遭遇した場合、この後二人にも配る通信機で学校か本部に連絡するんじゃ。良いな?」


 俺と春は頷いた。

 

 「それじゃあ、ほれ。これがその通信機じゃ。大事に使うんじゃぞ」


 そう言うと先生は俺たちに耳に掛けて使える通信機を渡した。


 その後一通り通信機の操作説明をしてもらった。


 「最後に練習場以外での学校の敷地内でコンビを使うことはだめじゃ。理由は簡単。危ないからじゃ。以上。警察官としての知識なんてこんなもんじゃ。何か質問あるか?」


 「特にないです」


 「私も~」




 「それじゃあ次に楽しみにしてたであろう。短剣についての説明じゃ」


 「まず、短剣には他のコンビには無い、とある秘密がある」


 


 

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