第1話

「、、、ピッ、、ピピ、ピピピピピ!」

「ッッ!」

機械の乾いた音がする。重い瞼をうっすら開ける。これが夢か現実か区別がつかず、ボーッと天井を見つめたまま、時が過ぎる。段々と騒々しくなるアラームを、少々の殺意とともに、叩くようにして止める。重い体を起こし、ぐっしょりと手汗で濡れた手を見つめる。また「あの夢」を見た。少し息切れしているような気がするが、寝ていたのだから気のせいなのだろう。寝汗で背中にぺったりとひっついた寝巻きを風を送るようにしてはたく。

「美琴ー?起きてるの?遅刻するわよー。」

「起きてるー。」

遥さんは、朝バタバタしていると小言がうるさい。まあ、世話焼きな所も嫌いじゃないけど。

体にムチを打って立ち上がり、学校へ行く準備を始める。ああ、また一日が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る