「あの夢」の続きを、

@Piyopii

プロローグ

 子供の頃から、よく見る夢がある。

 誰1人いない街。赤レンガでできた家が見えないところまで立ち並んでいる。どの家もあかりがついていて、電灯が光り輝いているのに、どこか暗い。私は1人で重たい足を引きづりながら何とか1歩1歩前へ進む。

「誰かいませんかー?誰かいませんかー?」

 白い息を吐き、冷たくなった使い捨てカイロを握りしめながら、誰かを必死に探す。誰を探しているかなんて、もう覚えてない。でも、あの頼りがいのある、逞しいあの手を探して、1人、歩き続ける。


 ・


 子供の頃から、よく見る夢がある。

冷たく凍った街で、誰かを探す。

「誰かー。誰かいないのかー?」

 無情にも俺が発した声は行き場をなくして目の前で霞んで消える。誰にも伝わることを許されていないかのように。でも、諦める訳にはいかないのだ。守らなくてはいけない。華奢で、人を安心させる温かさを持っている、あの手を。再び握ることができるその時まで、探し続ける。

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