20万PV記念特別編〜瀬戸と白川の温泉物語〜その1

「キャーーーーー!!」


 ある夕方。

 学校から帰ってくると、シャワーを真っ先に浴びる紫苑から、叫び声が聞こえた。

 勿論、無視。


「ねぇ!シャワーから水出てくるんだけど!」

 慌てて出てきてもいいけど、裸で出てくるなよ。

 顔しか出してないからまだいいけど。


「温度調整ミスってるんじゃない?」

「ミスってないよ!私がそんなことするわけ無いじゃん!」

「温度調整ミスってるんじゃない?」

「?」


 紫苑には非常に申し訳ないけど、僕はそんなシャワーの温度より、ちょっとだけ見えてる白い肩が気になって仕方がなかった。

 肩しか見えないのが逆に……。

 うん。


「ねぇちょっと来てよ!」

「わかったよ」


 そう言われて行くと、確かに水しか出なかった。

 紫苑はドヤ顔で僕を見る。

 タオル一枚で。

 ある意味、尊敬する。



 結果的に、ガスが壊れていた。

 どうあがいても水らしく、僕達に為す術はない。

 とりあえず紫苑に風邪を引かれても困るし、服を着せて髪を乾かさせて、今後どうするかの会議がはじまった。

 と言っても、父親が帰ってないから4人でだけど。


「紫苑ちゃんはとりあえず、自分の家で入る?」

「私だけじゃなくて、皆、私の家で入ってもいいですよ」

「それは迷惑だから、カオルと宗次郎の二人で……」

「え!?私が白川先輩の家に……緊張するからやだ」


 というわけで結局、僕と紫苑の二人で紫苑の家に泊まることになった。

 別にお風呂だけ入って帰ってもいいのだけれど「湯冷めして風邪引くからだめ!」と紫苑がニヤニヤしながら言うから、泊まることになっている。


「ねね、今日は私の家で泊まるけどさ、明日からも同じなわけじゃん?」

「そうな」

「それならさ、二人でどこか温泉入りに行こうよ」

「1泊2日で?」

「そうそう!絶対楽しいよ!」

 あ、もう目がキラキラしてる。

 そういえば、温泉は二人で行ったことなかったっけ。

 なら、別に行ってもいいかも。

 どうせ明日は土曜日だし。


「いいよ」

「Nice boat」

「はいはい」



 というわけで今日から、紫苑とのお泊り大作戦が決行されることになった。

 紫苑のテンションはMax.

 楽しみじゃないわけではないけど、なんだか疲れそう。

 温泉旅行なのに。













※あとがき

ほぼ毎日の更新についてきていただき、ありがとうございます。皆様のおかげで、20万PVを達成することが出来ました。

正直、連載を始めた頃には想像もしていなかったです。

ので、何かできることはないかと思ったときに特別編くらいしか思いつかなかったので、何話か特別編を書くことにします。

また、皆様のご要望もこの期間であれば聞くことが出来ると思いますので、「こういうのが読みたい!」とかあれば応援コメントに残してください。

最後になりますが、これからもよろしくお願い致します。

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