Oh〜lala〜!!

 何はともあれ、一向に事態が進展しないまま、ゴールデンウィークまで3日となった。


「いい?瀬戸君。受験までの日数は限られてるの。こうしてるうちに他の人は勉強して〜」

 とか紫苑は言ってたのに、今日になると

「今年のゴールデンウィークどこ行く?」

 とか言ってる始末。

 落ちるぞ、ホントに。


「ねね、瀬戸君。ホントに時間ないよ。どこ行くか決めないと」

「バンジージャンプ」

「縁起でもないね!」

 紫苑はやけにテンションが高かった。

 今は18時で特に深夜テンションって時間でもないのに。

 お酒でも飲んだ?

「どこもないなら、去年と同じでいいんじゃない?」

「良くない。京都は割と遊び尽くした」

 京都の一部しか行ってないのに。

 あれだ。

 ちょっと京都に行っただけで京都を理解した気になってるやつだ。


「海外は?」

 寝る前、突然紫苑がボヤいた。

「前に行っただろ。それに、ゴールデンウィークに飛行機乗ろうとすると、とんでもない程混雑してるぞ」

「人間多いのはやだね」

 言い方が最悪だ。



 ➝家で仲良くイチャイチャ♡

 近くにいるのに、メッセージで来た。

 ←口で直接言えないことを言うもんじゃないよ

 ➝早く寝ろよハゲタコ

 いるよね、メッセージで話すときだけやたら話し方変わるやつ。



「人間多くなくて、二人になれて、そこそこ楽しめる場所ってどこ?」

 翌朝、最悪の起こされ方をした。

 疑問文で起こされる人、僕以外いないんじゃないか?

 多分、ガンジーでも嫌な顔をする。僕もガンジーみたいに独立運動しようかな。

「キャンプとか?」

「ありよりのあり」

「僕は嫌だよ。流行りに乗ったみたいで」

 そう言うと紫苑が急に不機嫌になり、やっと開放してくれた。

 何だったんだろう。



「というわけで、キャンプへ行きまぁす!」

 夕方、そんなことを言い出した。

 開いた口が塞がらないとはこのこと。

 何しろ、雑なんだよ!やることなすこと!

 嫌だって行ったのに連れて行かれる僕が可哀想でならない。

 可哀想でちょっと自分を好きになる。

「行きたくないよ!」

「なら代わりのところ発案してよ!」

「遊びに行かなくても別にいいだろ!」

「嫌だ!行きたい!」

 駄々をこねだした紫苑には何を言っても無駄。

 割り切ってしまう自分がとても嫌い。

 誰だよさっき自分がちょっと好きとかホザいた野郎は。


 というわけで、キャンプへ行くことになった。

 地獄そのもの。

 妹も受験だし、紫苑がいるとうるさいからちょうどいいかもしれないけど。

 どこのキャンプ場に行くとか何も知らないけど、全部任せることにした。


 当日行って発狂することになるのは目に見えてるのに、全部託す自分が愚かでならない。

 いっそのこと、宮川大輔みたいに叫んでやろうかな。





「着いたぞ瀬戸!ここが今回のキャンプ場だ!」

「え〜〜〜〜〜〜!!!!!」

そこで瀬戸が目にした物とは!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る