べんきょー≠美少女

 学生の本分は勉強だ!

 学生は勉強しろ!

 共通テストまであと〇〇日!

 そんなんじゃ大学生になれないぞ!



 半分イジメだと思う。


 私は勉強が苦手。

 美少女なのに。


 だいたい漫画とかラブコメで出てくる可愛い女の子は勉強も出来て運動も出来て片付けもして……。


 そんな完璧超人おるかい!


 私は全部瀬戸君にやらせてる。


「ねぇ瀬戸君。片付けして?」

「嫌だよ」

「え〜?」

「え〜?」

 真似すんなし。

 でも私は知ってる。

 彼は私を甘やかすのが好き。

 ちょっと可愛い子ぶればだいたいやってくれる。

「瀬戸君にやってほしいな〜?」

「……」

 ほら来た。

「わかったよ」

 Game Set!!

 Shion,win!!

 でもなんだろう。こうやってすると、瀬戸君はたまに私を見る目が怖い。

 性的に見られてるとかじゃなくて人を見る目じゃない気がする。

 ま、いっか。

 やってくれるなら何でもいいし。



 そんなこんなで、兎にも角にも、美少女だからってなんでも出来るわけじゃない。

 なのに皆、私に期待してる。


「白川どこ受けんの?」

「俺も白川と同じ大学受けたいな〜」

「白川ならどこでも余裕だろ」

「白川推薦使う?」

 こっちはガチで怖い。

 目が性的。


 特に怖いのはクラス上がってきた人。

 私に全力で構ってほしそうだから全力で遊んでやってる。

 早く告白してこないかな。

 無惨な振り方を私は1024通りも持ってるのに。



 で、だ。

 何が言いたいかと言うと、勉強したくない。

 でも、暇。


 つまり、瀬戸君をからかう。

 からかい上手の白川さん。

 最近漫画終わっちゃって悲しいね。




「瀬戸君、勝負しようよ」

 授業中、ふと振り向いて言ってみた。

 火曜日とかいう存在しないほうがいい曜日で私も嫌だったから。

「え、なんの?」

「勝負は勝負だよ」

 すっごい嫌そうな顔してる。

「やったら前向いてくれる?」

「わかった。じゃあ、勝負開始ね?」

「え、何すんだよ」

「ほわちゃぁぁぁぁぁ!!あたたたたたた」

 私は瀬戸君を指先で攻撃してクルッと前を向いた。

 我存ぜぬの顔で。

「何すんだよ!」

 ちょっと声が大きくなる彼。

 まだだ、まだ笑うな。堪えるんだ。

 うっ、くっ。

 笑いを堪えるのがこんなにも難しいなんて。

「お前授業中に何してんのや?」

 あ、キレられた。

「瀬戸君急に大きな声だしてどーしたのー?」

 私も便乗して大きな声で笑いながら瀬戸君の方を向いた。

「ちょ、前の……」

「私が何さ!酷くないですか先生!この人私に押しつけようとしてますー!」

 そうして彼は怒鳴られた。



「紫苑、家帰ったら覚えとけよ」

 掃除中、彼が何か言い出した。

 やめなやめな。私には勝てっこないって。


「え、ヤダ。怖い」

 怯えたような顔をしておく。

 それを見た彼はバツの悪そうな顔をした。


「朝の目覚まし、4時半にセットして叩き起こしてやる」

「もぅやだ。マヂ無理。瀬戸君に嫌われた」

「なんだよ」

「どぉせゥチゎ遊ばれてたってコト、ぃま手首灼ぃた。 身が焦げ、燻ってぃる」

「?」

「 一死 以て大悪を誅す。」

「なんだよ急に」

「それこそが護廷十三隊の意気と知れ。 破道の九十六『一刀火葬』」

 そう言って私はほうきで彼を切った。

 DX日輪刀、買っとけばよかった。

「何それ」

 瀬戸君の反応に私は尻もちをついた。

 私の彼氏がBLEACHを知らないなんて……。

 はわわ……非国民や……。

「勉強不足だよ瀬戸君。恥を知りたまへ」

「紫苑に言われたくないよ。こないだの学期末テスト、クラスの下から2番目でしょ」

 え?

 なんで私の順位しってんの?

 怖い。

 ストーカー?

 私のストーカー瀬戸君とか幸せすぎる。

「チガウヨ」

「勉強しろ」

「いじめだ!」

「勉強しろ」

「嫌だ!」


 言っても瀬戸君は聞かなかった。

 泣く泣く机の中に手を入れると、何か紙が入っていた。

「死ね」

 だけ書いてあった。

 普通に瀬戸君の机の中に入れておいた。


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