番外編〜瀬戸君のいない日〜

 どうせ別にそんな囲まれないっしょ!


 私はそう豪語して、瀬戸君と賭けをした。


 瀬戸君は、私が彼のことを好きなことを公表すると、「絶対に尋問に合うから嫌だよ!」と言って学校に行かないと言い出した。


 そんな大げさな。


 てことで私は一人玄関を出た。







 私は驚愕した。


「白川って、瀬戸のどんなとこが好きなの?」

「白川マジで好きなの?」

「白川、瀬戸より俺のほうがお前のこと好きだぞ」

「俺の方がぶっちゃけカッコよくね?」


 ハイハイ私は特別です。


 瀬戸君が嫌な理由がよーくわかる。

 これはもはや渋滞。

 質問攻め。

 新たな尋問。


「セトクンハ、イイコダヨー」

 と適当に私はつぶやいて誤魔化した。

 考え方が違うのに言ったって無駄だし。


 そうして私は朝から囲まれ昼も囲まれ、放課後も囲まれそうだから逃げだした。




 一人になった私は、意外と寂しかった。


 最近瀬戸君がずっと横にいたから、常にベラベラ話しておけばよかったけど、一人なら別に口を開くこともない。


 ぼーっと口を開けて、空を眺める。


 バカになりそうだった。


 なんだか吸い込まれそうだった。


 冷たい風が私を襲うけど、それでも無視して空を見上げた。

 マフラーの隙間から冷たい風が、私を襲う。


 たまーに思う。


 私ってこのままでいいんだろうかって。


 なんだか全てに、縛られてるような。

 私はホントに自由に生きられてるのかって。

 一人旅か二人旅でも、したい気分。


 現実から離れて、色んなことを忘れて。


 そうだ、この春休みはどこか旅行に行こう。

 瀬戸君と二人で、現実を忘れよう。


 なんだか辛いな〜。


 思った以上に、辛いかも。



 ここは私の負けを認めよう。

 やはり私は寂しいのだ。

 可愛く瀬戸君に謝ろ。


 んで、瀬戸君に囲まれてもらお。

 一人じゃつまんないし、今度は一緒に囲まれよ。


 これも、公表したからこそ出来ること。


 私は一歩前進だと思ってるよ、瀬戸君。

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