美少女≠誘導尋問

 放課後、女子に囲まれファミレスにいる僕。羨ましいと皆が言うけど、決してそんなにニコやかな現場ではない。今から僕は、彼女達にとって食われる。そりゃもう、その後は言うまでもなく見るも無残な姿になる。

 社会的死。

 イジメの対象。

 美少女と付き合ったの刑で死刑。

 最後には吊るし上げられて炙られる。

「瀬戸君何頼む?」

 横にいる紫苑は何故か楽しそう。こいつが羨ましい。ちなみに紫苑は、ここにいるメンバーの半分も名前が言えないという。よく喜んでついてきたよな。

「ドリンクバーで」

「何か食べようよ」

「いきなりアツアツだね〜、お二人共!」

 Bちゃん(紫苑がそう呼んでた)が、いきなり尋問を開始した。もうちょっとなんかこう、前フリがあってもいいだろ!

「別に、そんなじゃないよ」

「アツアツらしいし、ドリア半分こしようよ」

 Aちゃん達が(これまた紫苑が〜)キャー!なんて言う。ちなみに、僕と紫苑含めて6人で来てる。A〜Dちゃんって読んでるらしいけど、どう考えても、今あだ名をつけてる。明日になったら変わってそう。4!だから24通りあるけど大丈夫かな。

「それで本題だけど、瀬戸君と白川さんは付き合ってるの?」

 5人が興味津々!みたいな感じで見てくる。いやいや、ひとり多いって。

「瀬戸君、答えてよ!私も知りたいんだけど!」

 目をキラキラさせるなよ!!

「付き合って……」

「るよね!」

「もう認めよう!」

「私達、付き合ってるんだから!」

 一人うるさいのがいる。

「付き合ってるよ」

 キャーー!なんて悲鳴。僕も叫びたい。ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ。なんか僕だけ汚いな。

「いつから、いつからぁ!?」

 ひぃぃぃぃぃぃ。やっぱりとって食われる!

「バレンタインぐらい」

 きゃーーーー!

「どこまでやったの?」

 紫苑が食いつくように聞いてくる。連れてこなきゃ良かった。

「いやそれは、言いたくない」

「皆!キスまでしたって!」

 きゃーーーーーー!

 もういいだろこの件!さっさと解放してくれよ。

「白川さんのどこが好きなの!?」

「外面よりも内面の方が可愛いところ」

「え!?え!?え!?白川さんは瀬戸君のどこが好きなの?」

 うーん、と天井を見る紫苑。

「1時間くらいかかるけど、いい?」

 きゃーーーー!

 以下略。


「二人ってさ、秘密にしてるの?」

 ドリアが来て、紫苑と半分に分けながら器用に食べてると、Bちゃんに聞かれた。

「瀬戸君が秘密がいいって言うんだよ。私は別に公表してもいいんだけど」

「公表したら、男性陣にボコボコにされるから嫌なんだよ」

「皆、現実を認めてないだけだから大丈夫でしょ。なんとなく察してるって、きっと」

「そんなにわかりやすい?」

「瀬戸君はわかりにくいけど、女の子からすると白川さんが瀬戸君を好きなのはわかりやい」

 あーーーーーー。

 言われてみれば、委員長にも紫苑はバレてたし。

 紫苑の方を見ると、美味しそうにドリアを食べていた。僕の視線に気づき、口にドリアを押し込んでくる。

「確かに、死ぬほどわかりやすいな」

 押し付けられたドリアを食べながら言う。

 バレてなんだかスッキリした僕は、なんかもう、隠す意味がわからなくなってきた。

 男子陣にはきっとボコボコにされるだろうけど、女性陣にはいいのかも。いや、だめだ。そういう油断が、破滅を招く。

 気を引き締めて生きていかないと。

 現実は絶対に、簡単に行くことを許してくれないしそれに、他のクラスにまで広まるとまずいから。今いるメンバーには厳重に注意しておくことにしよう、と決めたところで僕が話す機会は全くなかった。ずっと、質問詰めで。

 それなのに質問はまだまだ続きそうで、僕にさらなる地獄をもたらしてくれそう。

 早く、早く解放してほしい。

 それなのに、さらに紫苑が足を引っ張るという無限ループ。

 だめだ、これは。






※終わりと言いましたが、なにげに後期入試があるので更新が現在しんどい状況です。遅くなっても1日1話は更新すると約束します。申し訳ありません。

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