淑女≠美少女
おはようございますこんにちはこんばんは。
どうも、お久しぶり。
白川紫苑です。
だぁー。
今は英国にいます。所謂、小旅行。ちなみに彼も一緒で、横でベッドでゴロゴロしてる。ダイブしてくっつきたいけど、怒りそうだし、前に拒否されてなかなかに傷ついたので、流石の私も躊躇してます。有象無象共にどうこう言われるのは構わないのだけれど、彼に言われると会心の一撃を食らったように吹っ飛ぶ。ノーダメージで、バースト圏内。ちなみに最近の悩みは、彼が私に女性的魅力を感じてくれてない可能性があること。
「瀬戸君、触ってもいいんだよ?」
なんて言っても知らぬ存ぜぬ僕は触らぬと、一点張り。私が押し付けてやっと、触ってくれる程度。正直、ホントに男なのか怪しんでる。他の男の子達にやればきっともっと、反応してくるっていうか襲ってくるのに。
「まだあと今日入れて6日あるけど、瀬戸君やりたいことある?」
携帯を見ながら、彼が固まる。こういうときは、無視してるんじゃなくて何か考えてるとき。
「マック食べたい」
「あはははははは!」
彼って面白いよね。たまに、とんでもないことを言い出す。多分、彼は私よりぶっ飛んでる。
「なんでマックなのさ!」
「スタバも飲みたい」
海外 スタバ マック 飲みたい彼氏 検索
検索結果:別れた方がいい
「日本でも行けるじゃん!」
「サイズが見たいんだよ!海外初めてだから!」
必死の形相。笑けて仕方ない。そんな形相で私の身体も求めてほしいんだよ。
「一番おっきいの頼んでね」
「二人で食べるならいいよ」
私、少食なのにいいのかな。絶対全部食べれないのに。彼が靴を履いて外に出て行こうとするから、私もついていった。私より前を歩く姿を見るのは珍しいから、マックを買いに行くだけなのに、妙にかっこよく見えた。
「デカすぎるだろ」
ハンバーガーを半分食べたところで、ギブアップの彼。私はポテトをつまみながら、暇すぎて踊れない芸人の踊っていた曲を、一人で踊っていた。自分も踊れないんじゃないかと思ってやってみたけど、案外簡単に出来た。
「そこに置いといてよ。あとは私が食べるからさ」
「ポテトどうするんだよ」
彼が買ってきたのに、不満そうに彼が言う。おかしいよねこれ、絶対。フィッシュ&チップスの食べ過ぎで、チップスを特に食べたくない私達がポテト残すのは、必然だけど。
→夜ご飯、4人でディナーの予約してるんだけど、どうかな?
踊り狂って頭が逝ってしまっていた私に、メッセージ。お父さんからだった。
→わかった!何時?
→19時20分に、部屋から出ておいで
今の時間は16時50分。あと、2時間半あった。退屈。テレビつけても、英語のニュースばっかり。何言ってるかはわかるけど、興味なんてまるで無かった。
「夜、19時20分に食べに行くけど、それでいい?」
と言って彼のベッドの方を見ると、誰いない。突如、不安になる。心臓の音が、よく聞こえだした。
「瀬戸君?」
「瀬戸君?返事してよ!」
「なんだよ」
トイレの方から声がした。見に行くと、鍵が閉まってて、電気がついているのを確認する。これだけで不安になる自分って末期だな、なんて思いつつ、彼の存在を認識出来て安堵する。いやいや、この病的なまでの彼依存には安堵しちゃいけないんだけどね。
「ちゃんと返事してよ!」
「トイレから返事するの、なんか嫌だろ!」
鍵はガバガバで、爪を入れて回せばいいだけだから開けてやろうかと思ったけど、そういうのは本気で怒りそうだからやめとく。
「なら、聞こえてたのは聞こえてたの?」
「聞こえたよ。19:20に外な」
「That's right!」
その後も暇で暇で、結局彼のベッドにイチャイチャしに行くことにした私。出来るのは、キスまでだけど。それから先は、どうやっても拒否される。で、暇だから踊り狂う。
お父さんにはよく、淑女のようにしてる方が紫苑は可愛い、なんて言われるけど私には到底無理な話。私のどこをどうしたら淑女になるのだろう。黙ってれば、行けるかな。いや、絶対喋っちゃうな。
「私に淑女って、似合うと思う?」
上を見て、私を想像する彼。
「似合うは似合うけど、別人みたいに見える」
「だよね!というか、淑女のイメージってロングヘアーだから、私、絶対無理」
自分の髪を触ってみる。肩あたりで止まってるこの髪が、背中まで来るところを想像して、身震いがした。私は白のワンピースに、夏なら麦わら帽子とか被ってるから、身長のない八尺様みたいになる。
「紫苑って、不思議だよな」
「何がさ」
「幼馴染系の元気でコミュ力抜群キャラとも違って、クール系で不器用なキャラとも違う。ならどのジャンルかと言われるとミステリアスに含まれそうだと僕は思うのに、人によって言うキャラが違う。どこにも属してないキャラ」
というより、私は白川紫苑という人間を、自分自身でも使い分けてるから、違う気がする。彼に見せてるのが素だから、彼の感じてることが一番正しいのだろうけど、ミステリアスかと聞かれると、難しい。私って、なんなんだろ。全ての複合体?
フュージョン!はっ!白と紫が合体して、白川紫苑!
そしてさらに
ちゃっ!!!!
こいつがスーパー白川!
「私は私って言うオリジナルキャラクターだからね。何かに模倣して生きてくっていうのは、好きじゃないんだよ」
だから私は、君に愛されたい。
複合体といえど、これが私で、世界でたった、一人だけ。
そんな私を、愛してほしい。
彼に認められたい。
私は存在していいって。
「それが紫苑らしいし、それが好きだよ。僕は」
「そうだね!」
何故か私が納得してる。理論なんてない。
人間誰だってきっと、自分に疑問を持ってる。自分がなんで生きてるのか、わかんないと思う。それでもこれでも、私達は生きていかないと行けないんだから、仕方ない。だから私は、自分を持って、強く生きてく。イギリスという、私達の生きる日本とは少し違った世界でも。
「ねね、キスしていい?」
「ちょっとだけな」
照れたように言うから、一瞬だけで我慢してあげた。私、優しい!
それからそれなりにいい服に着替えて、準備をした。結局、ホテルのディナーが一番美味しいってわけ。
彼と私の家族と、4人で食事を楽しめることが、なんとなく楽しみ。家族が特に好きってわけでもないけど、彼の魅力が伝わると思って。
これからも、一緒に生きていける証だと思って。
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