第6話それはこれから...かな?

前回確固たる決意を黒に告げた私はデパートの帰り道黒によって路地裏に連れ込まれてしまう...そしてそこで告白まじりの土下座をされるのだった。


〜***〜


こんにちは私は今双子の妹から告白まじりの土下座されています。

正直現在めちゃくちゃ動揺しています


「ちょっちょっと落ち着いて、ちゃんと、ちゃんと考えるからー!」

「あっ逃げた」


私は思わず逃げ出してしまうその...あまりにも突然で逃げるしかなかった...


〜***〜


結局あの後1回も黒と話す機会はなかった。

だって当たり前じゃん!なんか告白みたいなこと言ってきたんだし!気まずくて話せないよ!いやわかってる多分アレは感情が高ぶっててついでた言葉っていうのはわかってるしどちらかと言うと譲歩の方が本題だって言うのもわかってるんだけど...

やっぱり乙女的には意識せざる負えないのだ。

あと中学高校大学と今のところ一切告白されたことがなかったから分からん


「とりあえず今日は元々配信する日じゃないしな...」


私はなんとなく下向きながらドアノブに手をかけ扉を開く...それが間違いだった...


「ふぇ?ここどこ?」


目の前には女の子同士がイチャイチャしてるタペストリーがあちこちに貼られており1件まとめられて置かれていたぬいぐるみもよく見ればちゃんと手が繋がれている。そしてベットには...


「はくあと髪の黒いはくあ?どういうこと?」


というか床を見てみれば布団が敷いてある。もしかしてこっちで寝ている?

抱き枕自体は前に見た事あるし色んな人の体験談なんかも聞いたことがあるのだが、枕をベッドに2つ並べて自分は布団に寝るやつは見たことない意味がわからない...それに黒髪のはくあは誰?


「一体なんなんだ?」

「えっ白姉さん?」

「え?」


振り返るとそこには驚いた顔をしているさとこが...

もしかしてここってさとこの部屋?


「迂闊だった...まさか監視用のタブレットを忘れでそれを回収しようとしたこのタイミングで...(ボソッ)」

「今なんかやばいこと言わなかった?」

「言ってない言ってない」

「そう...」

「てかこの抱き枕何?なんではくあと黒髪のはくあがならべられてるの?」

「あーそれねまずその黒髪のはくあは黒姉さんだよ」

「は?...いやまぁ...納得はまぁ...できなくもないか」


確かにはくあ=私、黒と私は双子、黒髪のはくあ=黒っていうのはまあ納得できなくはないところかなぁ?


「うんそれはわかったんだけどじゃあなんでそれを二人並べてるの?」

「そりゃあ私が百合ヲタだからよ」

「ん?百合ヲタ?」

「はぁー白姉さんこの話もう1回したのでやめていい?」

「え?」

「同じ話を2回したって何も面白くないの」

「えっあ、うんそう?だね?」

「とりあえずここに座って」

「え?」

「え?じゃない!Sit down!」

「はっはい!」


とりあえず座る。

だがなぜだろう私の知らない理不尽がちょくちょく襲いかかって来るのは


「白姉さんは最低な行為をしました」

「はい...お部屋に入ってごめんなさい」

「違う!黒姉さんの決死の土下座から逃げたことだよ!」

「あっそっちか」

「いいかい!いつもいつも白姉さんへの想いを募らせていた黒姉さんが自分の想いを伝える最後の手段を守る為に頭を下げたんだよ!自分の想い全部ぶちまけたんだよ?それに対する対応は逃げるなのはあんまりだよ!」

「はい反省しています...ん?まってさとこなんでその事知ってるの?」

「そんなことはどうでもいい!」

「はいい!」

「私は2人の恋路を応援する者だし生まれながら良妻賢母だからなんでも知ってて当然なの!それより白姉さんの話!白姉さんはいいの?もしこのまま配信を辞めれば黒姉さんとの関係はギクシャクする、それにこうやって簡単に辞めるって言えるほど白姉さんにとってのはくあは軽いものなの?」

「それは...」

「結局のところどこまで行っても私は部外者だから助言以上のことは出来ない、最後に決めるのは白姉さんの役目なんだよ...だからちゃんと考えて1度決めたからってその道しかないなんて思い込まないでね」


そう言うとさとこは部屋から去っていく...

簡単に辞められるほどはくあは私にとって軽いものか...


「なんでだろ全然わかんないや...」


軽いのか重いのか全然測れない...

簡単に捨てられると思ってるのに何か気いざ捨てようとすると心にトゲが刺さるような気持ちになる。

まるではくあが宙にぷかぷか浮いてるような感覚だ。


「はぁ私ははくあをどうしたいんだよ〜」


とりあえず今日のところは寝ようと思ってベットを見たら抱き枕が置いてあった。

そういえばここさとこの部屋じゃん自分の部屋に戻らなきゃ。




ーー朝ーー



静かな朝焼けが私を包んでいく...いつも変わらない夜明けだ...


「たしか今日は1時限目から授業あるんだっけ...今の時間が...6時うわぁ〜3時間も早く起きちゃった」


おかげで6時間ぐらいしか寝てない気がする。

まあ昨日は色んなことがあったからしょうがないところはあるかな?


「とりあえず朝ごはんでも食べようか」


私は階段を降りてリビングに向かうと...

 

「あっ黒...」

「あっお姉ちゃん...」


そこには黒がいた。

黒はホットコーヒーをちびちび飲みながらぼーっと朝のニュース番組を見ている。

透き通っている目にはニュース番組のアナウンサーがぼんやり写っている。

そんな黒の姿が妙に愛おしく見えて...って違う違う!そんなことは無い!


「ずいぶんと早く起きたね」

「お姉ちゃんこそ」

「大学は何時間目から?」

「2時間目」

「結構早いね」

「これだけ早く起きる必要はなかったんだけどねちょっと...」

「昨日の事?」

「うん...」


黒は不安げに答える、それはそうだろう黒は一世一代の許しを懇願したのだ結果を待つのだって気が気じゃない、私だって眠れる気が無い


「黒昨日の話だけど...もう少し待ってて欲しい」

「え?」

「私には今すぐ決断を下すことが出来ない...ちゃんと考えて考えた末に決めたいとても大事なことだから」

「わかった...待ってるよ」


その後なんとなく私もホットコーヒーを入れちびちび飲みながらニュースを見ることにした。なんか二度寝する気にもならないからこれしかやることが無いのだ。

この後少し早く起きてきたさとこが困惑していたがまだいつもの朝食の時間までもう少し時間があるということで3人でずっとちびちびホットコーヒーを飲んだ。



ーー2時間後ーー


まああのままちびちびホットコーヒーを飲んでてもしょうがないからちゃんと朝食を食べさとこは高校へ行き、私も

大学へ向かう、その際車庫に置いてあるクロイチェイサーがなんだか無性に欲しくなったが諦めた。私も買おっかな自転車


ーー大学ーー


「よ〜し!今日は遅刻しなかった!」

「それが当たり前なんだけどねえ〜」


大学に着いた私は待っていた友達の要と一緒に校内を回るとはいえ特に行きたい場所とかもなく適当にぶらぶらしてるだけだ


「聞いたよー昨日ライオー行ったんだってね」

「なぜ知っている」

「ちょっと知り合いがいたらしくてねそいつに教えてもらったのさ」

「へぇーだったら私の知ってる人かな?」

「そうだね本人は話したって言ってたから思い出せば誰かわかるかもよ」

「う〜ん誰だろうか」


皆目検討もつかん...そうやってずっと悩んでいると


「そういえば前に言ってたあの作戦まだ実行中なの?1回配信してたけど」

「あーそれについてなんだけどちょっと相談したいことがありまして...」


丁度よくあちらから例の話を持ちかけてくれた...

実は私も相談したかったのだ、この問題は私だけの問題ではないから...

実は...私にVになることを勧めてきたのは要だしなんならはくあのガワを作ってくれたのも要だ。

私は今回のことを説明する


「...ってことがあってね」

「まさかあの問題がここまで大きくなっていたとはね...」

「そう...だからどうしよかって悩んでて...多分パパ活も借金も何とかしたとしてもスパチャを辞めさせないと結局どうしようもないのはわかってるしその為ならはくあだって犠牲にできると思ってたんだけど...」

「黒ちゃんの懇願兼告白で迷いが生まれちゃったと...」

「そう...それで今はしっかり考えていこうかと」

「なるほどねぇ〜」


そういうと要は手を顎にかけ考え込むようなポーズをとりうーんとうなる。


「そーだね私的にはやめて欲しくないかなって思ってる、もちろん白が辞めるって決めたなら止めはしないけど」


そういうと要は言葉を続けていく


「白はさ?配信してて楽しい?」

「うん...楽しいは楽しいけど」


配信は楽しい...最初の頃は全然伸びなくて辛かったし何度もやめたくなった...でも要がせっかく作ってくれたはくあのアバターを見る度にもっと頑張って見ようと自分を奮い立たせてた。そして今はもうチャンネル登録者が9万人を超えて収入も馬鹿みたいに入ってくるようになったし色んな人が来てくれて話すのが楽しくなっていた。


「これは白に配信を辞めさせたくない悪い悪い魔女の囁きなんだけど...」


そういうと要は1拍置いてから告げる


「黒ちゃんのためとか小難しいこと考えないで自分が配信を見続けたいから続けるでいいんじゃないかな?」

「自分ガ続けたいから続ける?」

「そうそもそも白は初っ端から全力すぎるの配信さえしなければ赤スパも出来まい!なんて手段2回目から使うようなもんじゃないよ!もう少しやりようとかさ色々考えてみなかったの?生まれながらの謹厳実直もそこまで行けば思い切りのよすぎるただの馬鹿だよ!」

「う...ごめん」

「あとは自分でちゃんと考えることちゃんと妥協点を作って黒ちゃんと話つけてくるんだよ!」

「うん、分かった!」


決意した私は今すぐ家へ戻ろうと走り出すのだが


「ちょっと待て!授業あるから!」

「あ」


すっごい恥ずかしい...穴があったら入りたいとはこのことである。

私は顔を赤らめながら1時間目の授業へ向かう。



ーー夜ーー


私達は今仲良く鍋を囲んでいる。

そう今日は鍋なのだ...なのだが


「お姉ちゃん...なんで野菜しかないの?」

「ごめん...昨日買うの忘れてて」

「じゃあなんで鍋なんて強行しちゃったのさ」

「お野菜いっぱい残ってるなーって思ったから」

「白姉さん...」

「ごめんってー!」


だってしょうがないでしょ!ほんと野菜ばっか残ってたんだもん、私達は当番制なんだから誰かがこの手段を行わなければならないんだよ!

肉買えばよかったのには目を瞑るんだけど...


「んっ玉ねぎが甘い!ほら案外に野菜のみでも行けるよ!」

「確かに...行けないこともないな...」

「ただお肉があればもっと美味しかった気がする...」

「まあ...それはまたのお楽しみということで、いやでもあれはあるんだよ?乾麺!」

「なんで乾麺はあるの...」


そんなこんなで私達は楽しく(?)鍋を楽しんだ。


「そうだ黒...」

「ん?」

「えっとさ...寝る時にそっちの部屋言っていいかな?私達2人の将来に関する大事な話があるから...」

「えっそれって...」

「言わせないでよ恥ずかしいじゃん...察してよ...」

「う...うん」


答えが決まったから伝える、なんていざ言おうとすると恥ずかしくなってくるし無粋と言ったものだ。

黒も顔を赤くして緊張している。当然だ黒にとっては一世一代の大博打、緊張するなという方が無理な話だ。


「ふへえ...お姉ちゃん、唐突だよぉそんな急にぃ、ふへへへぇ」

「勘違いさせる達人と勘違いする達人かよ...両姉さんは」



ーー深夜ーー


お風呂に入り終わり時刻は11時過ぎ配信のない日ならだいたいもう寝る時間なのだが、今日は大事な用事がある...私は黒の部屋の前に立つ...

扉は相変わらず半開きだった


「あの時もこんな感じだったな」


ふと初めて黒の部屋に入った時のこと思い出す。


「あの時はほんと驚いたなー、でもあの日から始まったドタバタも今から全部終わるんだ」


私は意を決して扉を開ける...そこには

えろ漫画でよく見るほぼ下着みたいなパジャマを着た黒が顔を赤らめながら座っていた...

黒はモジモジして少しにやけながら告げる


「ふへぇ別に...お姉ちゃんが好きって訳では無いけど...お姉ちゃんがどうしてもって言うなら良いよ...来


ダン!


やべ、つい扉を閉めちゃった。

なんで?なんであんなことに?何が起こったんだ?

いやなにかの夢か?とにかく私はもう一度扉を開ける...


「お姉ちゃん?なんで閉めたの?いまさら恥ずかしくなったとか?」


目の前に黒が立っていた...怖!軽いホラーだよこれ!

びっくりした私は思わず扉を再び閉めようとするが


「させない!」


占めるのを阻止される...そして部屋に引き込まれそのまま床に押し倒され両手をガッチリ拘束される。


「お姉ちゃんから誘ったくせに!私とは遊びだったの?身体だけが目的だったの!?」

「落ち着け黒!そもそも私は身体を弄んでいない!」

「でも心は弄んだ!」

「え?」

「だって2人の将来に関する大事な話とか、恥ずかしいから言わせないでとか、もうこういうことじゃないかって思うじゃん」

「あ...」


なんか言われて見ればそれっぽいこと言ったな私...言葉足らずが過ぎる


「あって言った!やっぱり私とは遊びだったんだ」

「ちょっそういうことじゃないんだけど」

「うわあああん!この特殊性癖ビッチ!」

「待ってそれは聞き捨てならなってそういう話じゃない」


なんとか両手を振りほどこうとしながら私は告げる


「とりあえず落ち着いて!!!」


ホラゲの実況で喉が鍛えられてて良かった...


「ふうふう...」

「落ち着いた?」

「うん、それでホントの用事なんなの?」

「それはね」


私は黒に押し倒されたまま息を整えて自分の答えを告げる


「私、配信を続けるよ...」

「ほんと?」

「ほんと」


今度は勘違いさせずに伝えることができた...ほんとに良かった。


「今回は私は最初からやりすぎた...それを黒は教えてくれたんだ。」

「じゃあ...また赤スパ投げていい?」

「んっまぁとりあえずはね...でも今度は無理のない範囲で私が渡すお小遣いでの範囲でだよ?」

「うん」

「それとパパ活はもうやめなさい、そして真っ当にバイトして借金を返しなさい」

「分かりました...」

「そして...借金全部返し終わったら私に告白しに来てね...」

「それはやだ」

「は?」


最後の私からの告白とも言えるような発言に黒はまさかのNoを宣言した。


「別に私お姉ちゃんのこと好きな訳じゃないし、あくまで"はくあ"が好きなの!」

「嘘つけ!今の自分の格好見てから言いなさいよそういうことはだいたい黒がさっさと私に告白する勇気があれば赤スパなんてしなくてもいいじゃん」

「だ〜か〜ら〜別に好きじゃないもんね!べ〜!」


最後の最後でこのオチか...結局私達はその夜2時間ほど喧嘩した末気がついたら2人とも床で寝ていたしなんなら遅刻していた。




〜エピローグ〜


「まあ色々ありましたがこれからもはくあとしての活動は続けていくから!応援よろしく!」


スパッ


「『黒羽』復活おめでとう!これからも応援していきます!(¥10000)」

「くろはねさん応援ありがとー!頑張ってくよ!」


当事者中の当事者が何ほざいているんのだろうかと言いたくなったが直前で抑えた、はくあはそんな事言わないキャラをしっかり守るのは大切なこと。


「復活そうそう夜食取りに行きます」


コメ欄で食いしん坊、今何時だと、太るぞなどと来てはいるが関係ない私は夜食を食べる!

そう決意して私は階段をかけ下りる


「姉塩♪姉塩♪あっるかなー?」


私は戸棚をあさり姉塩を探す。


「あっれー切らしてたか?」

「お姉ちゃんそこに置いてあるよ」

「あっほんとだ...って黒?」

「勘違いしないであくまではくあとお揃いのもの食べに来たの!」

「あははは急にツンデレ化してきたね?」

「ふへぇーうっさい!」

「ごめんごめん一緒に食べる」

「ううん!はくあと食べる!だから早く配信再開してー!」


そういうと黒はお湯を入れ猛ダッシュでかけていく...


「捨て台詞可愛かったなぁーはぁー」


何気にまた断られた...どうやら前の1件を通してうちの妹はかなりツンデレ化してしまったらしい...ホントなんででしょうか、これじゃ妹に告白されるなんて夢のまた夢かもしれない...

まぁ今はいいかとりあえず


「それはこれから...かな?」


そういうと私は極姉塩を抱えて自分の部屋に戻るさてさてはくあとして妹と一緒に食べてあげますか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る