第5話これが私の最終手段だから

前回世界一頭の良い方法でさとこから自由を取り戻した私はさとこから衝撃の事実を聞くのだった...


「えっあっどうすれば?どうすればいいの?ああああああああプシューバタッ」

「あっ倒れた。そして倒れる時の効果音喋る人初めて見た。」


天井の電気がやけに明るく感じる...そうかあれがお姉ちゃんかそう考えたらなんか遠く思えてくるな。

ふと私は手を伸ばし口ずさむように小声で喋る


「お姉ちゃん(ボソッ)」



〜***〜


「二人ともおっそいなー」


私はフードコートで届いたラーメンをすすりながら2人を待っている。

ほんとは三人で食べたかったのだがちょっと胃がそれを許してくれなかった。あとラーメンは伸びるし(言い訳)


「はぁせっかく今日は楽しいショッピングだってのに...」


そうして色々と考えていると...


「ただいま白姉さん!」


さとこが気絶した黒を引っ張って来た...ってなにがあった!?


「ちょっちょっと!これどういう状況!?」

「言っとくけどこれ白姉さんのせいだからね」

「え!?」

「白姉さんが黒姉さんがスパチャやめないと配信をやめないなんて言うから」

「だってそれぐらいしか選択肢は無いし...てかなんでそれを!?」

「誰だってわかるよそれぐらい...夜な夜なぶっ殺してやる!とかはい雑魚乙ざま〜とか聞こえるからある夜こっそり覗いたの」

「あっホントごめんなさい」


すいませんでした私はFPSをしたら性格が変わるタイプの人種です。でも煽り行為とかはしてないんだからその点は褒めて欲しいてか褒めろ


「それでズルズル調べたら黒姉さんははくあのファンってこともわかったし」

「ありゃま黒のことまで...」

「って、本題はここじゃなくていつまで強情張る気なのかってこと...これは両姉さんの問題だから深くは言わないけど」

「強情って...別にそういう訳じゃないし」

「そうかな〜私には2人とも意地っ張りになりすぎてる節があると思うけど」

「んっは!」

「あっ起きた」

「もしかして気絶してた?」

「黒姉さんにしては把握が早いね」

「にしてはってなによにしてはって」

「別に深い意味はないよ、ほらしろ姉さんがもう食べ終わりそうなんだから私たちも急いで食べるよ」

「あいや気を遣わなくても」

「分かった!」


そう言うと2人はガツガツ食べ始めた、なんかさっきまでの話お流れになっちゃったな...まぁいいか


〜***〜


こうして昼食を終えた私たちは午後のショッピングを始める。とりあえずさっきの話は忘れて今は楽しもう。


「次どこ行きたい?」

「ゲーセン!」

「私も行きたーい!」

「んーじゃあ行こっか」


食い気味に主張するさとことそれに便乗する黒、私たちはゲームセンターへと向かって行った。


「うわああああ!掴めない!」

「黒姉さんは間抜けだなぁこういうのはね、こう!」


そう言うとさとこはドヤ顔で台を操作し始める。

まずは掴みのパートこれは完璧だったアームで見事にぬいぐるみの首根っこを掴む、しかし


「さあここからがハイラ...あ...」


アームが弱すぎて落とした


「あああああああああああぁぁぁやっちゃったああああ」

「こういうのはなんだっけ?」

「うっちゃい!」

〜***〜

「3...2...1...GO!!」

「イケイケイケイケ!」

「お姉ちゃんごめん!」


そう言うと黒は私におじゃまアイテムを投げてくる


「うわぁ!やったな〜」

「やっと一人抜かせたー!」

「ほい」

「あっ抜かし返された」

「さとこが3人の中じゃ最下位かー」

「白姉さん...余裕の態度を撮ってられるのは今のうちだよ」


こうして戦いが白熱していき


「いえーい!私の勝ち!」


黒が勝利した


「レースゲーム上手いなぁ黒は」

「くっ最後アイテムで大逆転狙えてたのに...」

「負け惜しみだね」

「くぅぅぅ黒姉さんめ!」


〜***〜

「次は音ゲーでもする?」

「いいねぇ」

「じゃあ私はパスしよっかな」


さとこが若干苦笑いしながらすたこらさっさと逃げていく


「どっかいっちゃった」

「とりあえずやろっか」

「うん」


〜***〜


「お姉ちゃん...なんでそこまでして私のスパチャを辞めさせたいの?」

「はははいきなりぶっ込んでくるねぇ清めの鬼人(音ゲー)だって始めたばっかだってのに」

「ここぐらいしか話せる機会ないかーって多分さとこもそう言う計らいでどっか行ったんだと思う」

「確かにそういうところは気が聞くからなぁーさとこはさすが生まれながらの良妻賢母だ」

「今何してるんだろ」


〜さとこサイド〜


「ふふふゲーセンには高確率であると聞いていたんだ!」

「私は!私は行くぞ!いざパチンコ!」


トントン!


「え?」

「ごめんね君、今パチンコ行こうとしてたよね?ここのパチンココーナーちゃんと未成年禁止って書いるからね?」

「してません」

「してたよね、なんなら私は行くぞ!って宣言してたよね?」

「してません!」

「いい加減認めてくれないかなぁ?」

「してません!てか仮にしてたとしてお兄さんに何か問題が?」

「俺ね、桃井悠人って言うんだけど一応警官なんだよね」

「あっあっあっ(絶望)」


〜***〜


「悪いけど私の方が意見を曲げることは決してないよ黒」

「それだったら私もないよ」

「だったら私は配信を辞めるだけ配信を辞めて別の稼ぎ方を考える」

「それはダメ!」

「あれはヤダそれはダメそんなに駄々捏ねてばかりじゃ成長できないよ?」

「いや...それは...」

「とにかく私はそれくらい本気なの、私にとって黒はかけがえのない存在なの...そんな黒が破滅するようなことがあれば私はどんな手を使ってでも止めるから」

「うっ...破滅するとは限らないじゃん」

「借金500万してる人はねだいたい破滅してる人なんだよ?それに加えてパパ活も...」

「ぐっ...」

「ほんとにぐうの音もでないっぽいね」

「いや...でも...」

「そもそも黒がスパチャしなければOKな話なんだから、黒はいや黒羽さんは私のファンなんでしょ?だったらどっちがはくあのためになるか...ちゃんと考えてね」

「ふへぇ...その言い方はズルいってぇぇぇ」

「はいフルコンボでお仕事完了!」

「ぇぇえええええ!なんでこんな会話に会話しながらこんな難曲フルコンボできるのさ」

「まあ、鍛えてますから」


〜***〜


お姉ちゃんの決意は固かった...いや逆だむしろ自分の考えが甘えだったのだそんなことを考えながら私はいまクレープ屋の行列に並んでいる。なんか清めの鬼人で負けたからクレープ勝手来いと言われた...ちなみにお姉ちゃんは私服警官に捕まったさとこの回収に行ってる。どうやらよくゲーセンに置いてあるパチンコに行こうとしたらしい、確かここのって未成年はやっちゃダメなんだっけ


「はぁーさとこ今回は別に犯罪って訳じゃなかったけどもう二度とこんなことしちゃダメだから」

「うぅ分かりました」


そんなこんな言ってると2人が帰ってきた


「クレープは...まだ並んでるか」

「ぷぷ、黒姉さん負けたんだってねぇ」


ゴン!


「そうやって笑わない」

「痛!体罰だー」

「違います愛の拳ですなんだそれ」

「それでもう少しかかるけどどうする?」

「うーん私たちはそこのテーブルで待ってるかな、もう少しさとこ話したしねぇ」


そう言うとお姉ちゃんはさとこをギロっと睨む


「さっきの態度は何かなぁ?ほんとに反省したのかなぁ?」

「ひっ助けて黒姉さん」

「行ってらっしゃい〜」

「姉〜さ〜ん!」


あっ引きずられて行った...達者でな


「もう少しだし気合い入れますか」


とはいえこうも暇だとなんか色々と考えてしまう。

少なくともお姉ちゃんは正真正銘のガチ中のガチでやってる、本気で私にスパチャをやめさせる気なのだ。

その為に...自分の生活の支柱である配信をやめようとしているのだ。

果たして私にそれだけの覚悟が強さがあるのか?スパチャでしか気持ちを伝えられないのだってただ自分に勇気がないだけだし、そんな勇気がないならそもそも伝えようと思う資格はないだけの話だ。

結局これは自分の臆病が招いた結果なのだ。それに私が大人しく引けばまたはくあの活動は続く...だったら


「もうスパチャはやめてただ見てるだけにしようって?」

「え?」


後ろから聞こえた声にふと後ろを向く


「何で巴がここに...」


目の前にいたのは私の親友...柊巴だった


「もーびっくりしたよ偶然前に黒がいたんだから、あとさっきから話しかけてたのに気づいてくれなかったんだから...」

「あ...それはごめん」

「それでどんな悩み?この巴ちゃんに言ってみなさい!」


私の前でばっと手を広げる巴は背こそ小さいものの謎の包容力を感じた


「えっと...実は」

「しゃっせ〜何にしますか〜?」

「「あ」」

「とりあえずなんか頼むか」

「そうだね」


私たちはそれぞれクレープを頼み同じテーブルに座るお姉ちゃん達には先に友達と食べることは伝えておいた。

私達は食べ始めながらこれまでの経緯を巴に話す。


「ほ〜うそんなことが...それは大変だったねぇ〜」

「なんか...あんま驚いてないね、元から知ってたみたい」

「そんなことないよちゃんと驚いておりますよ」

「それでやっぱり私が折れるべきなのかな」

「それはどうだろう...」

「え?」

「私は黒の覚悟が全然ないなんて思えないな、だって黒は赤スパの金を稼ぐために私から借金したりパパ活したり必死にお金稼いでる訳でしょその身を滅ぼしてでも、私はそれを覚悟がないとかただ何も考えていないだけなんて思わない。」

「うっうう」

「それに、私的にはどちらかを犠牲にするなんてそんな選択する必要ないと思ってるしね、もっと貪欲になってもいいんだよ?」

「巴ぇ!」


私は思わず巴の胸に飛び込んでしまう。つい感極まってしまった、胸はなくてまな板だけどすごく安心するまな板だ。自分の思いを理解されていることがなによりも嬉しかった。そしてそれを肯定してくれるのがとてもありがたかった。


「おお、よしよし辛かったねぇ誰にも相談できなくて」

「うん!どっちかを私犠牲にしなきゃ行けないんだって勝手に思ってた!」

「大丈夫、大丈夫、そんなことないよ、それに遊んでた時は全然言い返せ出なかったんでしょだったらちゃんと向き合って来い!ちゃんと向き合って姉妹喧嘩して和解して来い!互いに譲れないもんがあるんだから!」

「うん!」

「ほら落ち着いた?」

「落ち着いた」

「じゃあ頑張って来い!」


そう言うと巴は私を笑顔で送り出す。

ありがとうおかげで目が覚めた。


〜***〜


今考えると少し厳しいことしたかなと思う。もしかしたら黒にもどうしても赤スパ投げたい事情とかがあったのかもしれない、どうしても譲れないものだってあるのかもしれない。それでもだそれでも私はやらなきゃ行けない、だって私は長女だから例えそれがたった数秒偶然私の方が早く引き上げられただけだとしても私が長女なのだ私がしっかりしていなければならない。


「黒姉さんそうとう話し込んでたねー」

「うんちょっと色々とね」


帰り道...私の前で黒とさとこがクレープの時のことを話してる。二人とも可愛い私の妹だ。

この二人には生涯幸せに過ごしてもらいたいし私はその為なら手段を惜しまない、それが例え自分の生活を切り詰めるものになろうともそれが例えその妹自身に最低の二択を強いる形となっても、絶対に曲げる訳には行かない

これが私の最終手段だから


「お姉ちゃんお姉ちゃん!ちょっと来て」

「ん?」


ふと気づけば黒が私の事をすごい勢いで引っ張っていく

いや引っ張りすぎ痛い痛い痛い


「ちょっ痛いんだけど」

「ごめん!こんなところまで引っ張って来ちゃって!」

「うん、でここどこ?」

「ここは路地裏だよ誰にもみられないし声も届かないつまり助けも来ないよ」

「何私連れ去られたの?」

「うん」

「誰も来ない路地裏に?」


私は急いで黒から離れる


「ああまってまって落ち着いて別に変なことしないから」

「ほんと?」

「ほんとほんと私変なことしない」

「信じるよ?」

「信じていいよ?」

「ふぅ」


とりあえず落ち着いた


「それでなんでここに連れてきたの?」

「それは...これから決して人に見られたくないようなするからなの」

「え?」


えっ何を言ってもしかしてそういうこと!?


「待って待って私は白であってはくあじゃないんだよ?それに私初めてだしそういうのはちゃんとこころ準備を決めてから」

「お願いします!!どうか勘弁してください!!」


〜***〜


私はものすごい勢いで土下座を繰り出した


「いい子にするから!いい子にするから!」


こんな姿さとこにでも見られたら恥ずかしいだからこんな路地裏まで連れて行った。


「赤スパ辞めなきゃV辞めるって話...なしにしてくれませんか!」

「なんだその話か(ボソッ)ダメに決まってるよ!」

「そこをなんとか!そこをなんとか!私には赤スパしかないんです!お姉ちゃんに好きって言えるのは赤スパしかないんです!」

「いまいえ」

「お姉ちゃんはかっこよくて可愛くてすっごい真っ直ぐでキラキラしてて到底私なんかと釣り合わなくて釣り合わせるにはスパチャしかなくて!それでも冗談交じりなんです!お姉ちゃんに愛してるを伝えられる最後の手段なんです!」

「言えてるってぇ///」

「わかってるんです、十分わかってるんですそれなら直接言えるようになれってのはわかってるんです、でも言えないから!言えるようになるまでまだ赤スパ投げさせてください!」

「うう///」


今下を見てるから白の顔が分からないし心臓のバクバクがうるさくて白が何を言ってたかももはや自分がなんて言ったかすら覚えてない、でも私にはこれしか無かった。土下座して全力で譲歩してもらうこれぐらいしか無かった。

でもやり通した以上後悔はない

これが私の最終手段だから

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