trio≪3人≫
trio1
えーっと……
どうやって始めればいいんだろう。
やっぱり自己紹介からかな……?
こんにちは。
スノーって言います。
新米のそうじ屋です。
そうじ屋というのは、裏社会では名の知れた暗殺組織だそうです。
表社会の規律を乱そうとしたり、裏社会でも逸脱な行為を働く人たちに正義の鉄槌を下します。
時には贔屓にしているお金持ちや偉い人から仕事を請け負ったりもしていて、ちょっとした老舗のような感じです。
そうじ屋の当主は代々、表向きはとある町の名家として通っているリプトン家が務めており、現在は七代目が……と言いたいところですが。
七代目は若くしてお亡くなりになられ、今は一度は隠居された六代目が、次の当主が決まるまでの間、そうじ屋全体の指揮を執っておられます。
そんなそうじ屋に、俺は今から一年ほど前に拾われました。
路頭に迷う俺に、手を差し伸べたのは、キャロル・オールディス様。
かのオールディス財閥の跡取り息子で、そうじ屋八代目当主候補の一人。
つまり、六代目のお孫さんになります。
そんなお方の下で、俺はお守り兼付き人として働くことになってしまいました。
キャロル様と俺は、同年齢です。
六代目曰く、共に切磋琢磨し、成長していくために年の近い者を傍に置くそうです。
キャロル様は、とても頭の良い方で、大人に引けを取らないほど堂々としておられます。
学校にもきちんと通い、そうじ屋の仕事もこなしています。
また、オールディス財閥を継ぐための勉強もされていて、とても立派です。
そんなキャロル様を俺なんかが守れるか心配……なのですが、俺には先輩がいます。
俺の先輩、ラン先輩は俺よりもずっと長くキャロル様のお世話をしているので、色々教えてくれます。
先輩は明るくて、優しいし、とてもいい人なのですが……
一つ欠点があります。
それは、女性関係にだらしないこと。
いつまでも帰ってこないなと思いきや、朝方にふらっと帰ってきたり。
町を一緒に歩いていれば、突然女の人に殴られたり……
(どうやら、俺を浮気相手だと勘違いして、殴られたみたいです。俺、よく女の子と間違えられるんですよね……)
とにかく、女性絡みのトラブルが絶えません。
これにはさすがのキャロル様も大きなため息をついています。
「楽しければねーそれでいいんだよー」
平手打ちをされても、先輩は笑ってそう言います。
……俺には理解できません。
このままでいいのかと、キャロル様に言ったことも、もちろんあります。
ですが。
「注意して直るのなら、とっくに直っているだろう」
と、言われてしまいました。
……仰る通りです。
そんな性格も考え方もバラバラな俺たちですが、仕事のときはこれでも真面目です。
どうぞよろしくお願いいたします。
……こんな感じでいいかな?
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