disguise5
「あれ? 女の子が一人増えてる」
アビーがやって来て初の仕事。
ミリアルの所へ行くと、まずやつは首を傾げた。
「新しく入ったアビーだよ!」
「そっかぁ。よろしくね。つまり、ソフィアちゃんは先輩になるんだ。君も成長したねぇ」
「エヘヘ」
そう言われると照れる。
「じゃあ後輩ちゃんも一緒に聞いてね。こちらはアルセウス・カスケードさん。僕が何度かお世話になっている社長さんだよ」
おじさんがいるなと思いきや、ミリアルの知り合いだったようだ。
社長さん。なるほど。
……待てよ。
「も、もしかして……」
あたしは気づいてしまった。
「カスタード・カスタードの社長さんー!?」
「よくわかったね、ソフィアちゃん」
何言ってんのさ! 当たり前だよ!
「あたし、お菓子いつも食べてるよ! 美味しいから大好きなんだ! ねぇ、先輩!」
先輩は何も言わなかったが、好きに決まっている。
まぁ、いい。
「ありがとう。お土産に持ってきたから、良かったら」
「本当に!?」
アルセウスさんは、あたしにクッキーの缶を手渡してくれた。
やったー!
カスタード・カスタードと言えば、手作りケーキやクッキーなんかを販売している製菓会社だ。
この町にもお店があるので、よくクッキーやビスケットを購入している。
そんな超有名な会社の社長さんと知り合いだなんて、ミリアルもやるね。
――あ、ミリアルの会社も超有名だっけ。
「今回の仕事は、アルセウスさんからの依頼?」
「そういうこと。簡単に言ってしまうと、彼の警護を頼みたいんだ」
なんだ。結構楽ちんな仕事だね。
警護だから神経は使うけど……
「誰かに狙われているの?」
「ここ一ヶ月程脅迫状のようなものが不定期に届いていたらしいんだ。だから、それなりに警戒はしていたみたいだけど、実際のところ何もなくて」
ミリアルの説明にアルセウスさんは頷き、途中からバトンタッチした。
「きっとイタズラだろうと思っていたが……今朝、これが」
テーブルの上に一通の手紙が置かれる。
消印も何もない。
「……普通に触っていいの?」
「どうぞ。指紋や付着物はすでに調べ済みなので」
ふむふむ。やることが早いね。
あたしは手紙を手に取り、封筒の中から一枚の紙を取りだした。
お前のしていることは悪だ
先ずは娘の命を頂戴する
「娘さんがいるんだ?」
「ちょうど君と同じ年くらいのね……。さすがに娘のことを言われると無視するわけにもいかなくて、彼に相談したんだ」
……どうして警察じゃなくてミリアルなんだろう?
ま、いっか。
「というわけでね、ソフィアちゃんには折り入ってお願いがあるんだ」
「ん? アルセウスさんの警護だよね?」
それはわかってるってば。
「そうなんだけど、彼の娘さんのフリをしてほしいんだ」
「え……」
何だって?
「えーっ!? あたし!?」
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