disguise3

 いつもの道から山へ入り、上を目指して登っていく。

「ここで鍛錬しているッスか!?」

「ま、まぁね」

 ほぼ遊んでるけどね。

「とても静かで空気も綺麗で――。ここはとてもいい所ッスね!」

「でしょ。山は特に誰の私有地ってわけでもないし、人が来ないからいいんだよね……あ」

 彼の姿が見えてきて、あたしは立ち止まった。

「やぁ、ソフィア。……その子は?」

「紹介するよ。彼女はアビー。えっと……今度からあたしの家で住み込みで修行することになったんだ」

 またあたしは適当な嘘をついた。

 これに関しては、アビーとすでに打ち合わせ済みだ。

「ウッス! 初めまして、アビーッス!」

「よろしくね。俺はルイ。最近ここへ越してきたばかりなんだ」

 ルイは特に怪しんだりしていないようだった。

 すぐに打ち解けてくれた。

 嘘や隠し事が嫌いだというアビーには無理なお願いだったけど、ルイに自分たちの正体は隠してもらわないといけない。

 ……あと、先輩に言わないようにもお願いした。

 バレたら絶対叱られる。

 ルイのことも。

 遊んでいるということも――。

「ソフィア? どうしたの。顔色悪いけど」

「な、何でもない。大丈夫」

 心配そうに見てくる二人に、安心させようとあたしは笑顔を向けた。

「さぁ! 今日は何しよっか!」

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