第41話 最終章 一つの物語の終わり そして……2
二十人ほど来たそのメンバーは後ろに頭がつくのではないかと思えたくらいふんぞり返っていた。
だが、幾多の戦闘経験がある僕には、その中の多くの者の足が小刻みに震えていることが容易に見て取れた。
他のギルドメンバーにも分かっていただろう。
彼らは虚勢を張っているのだ。
「三日後の朝をもって、ロスハイムとノルデイッヒの間に居座る
二十名の最前列中央に陣取る一際体の大きなその男はそう言い放った。体の大きさは鍛えられたからではない。美食の果てだろう。
「それはそれは」
こちら側で対応するのは、もちろん
「で、三日後でよろしいので?」
「なっ、なっ、何だ? 三日後では早いと言うのか?」
あからさまに焦りを見せる相手方の男。
「いえいえ、三日後とは随分悠長だなと思いましてな。
「ちいっ!」
相手方の男は大きな舌打ちをした。だが、我らが
「冒険者風情と違って、我ら警備隊は礼に則った装備も要るのだ。貴様らなどと一緒にするなっ!」
「それはそれは、大変なことで……」
「で、報酬は? こちらの相場からするとギルドメンバー一人につき銀貨十枚と言ったところですが、他ならぬ
「なっ、何を言うのだ。貴様っ!」
警備隊の男は苛立ちを見せた。
「金を取る気だと? ロスハイムとノルデイッヒの間に
「それは異なことを」
「『ギルド』とは報酬を受けて初めて仕事するもの。
「ふん。では貴様ら『ギルド』の者は今のまま
「ふっ」
「そう、確かに
「貴様あっ!」
警備隊の男は語気を荒げるが、
警備隊の目的は
かと言って、警備隊のみで
「ちいっ!」
警備隊の男はまたも大きな舌打ちをすると続けた。
「仕方がない。一人につき銀貨五枚で手を打とう。だがな、金は
「そのようなことはありますまい。ノルデイッヒの交易を独占していたファーレンハイト商会の一大
「それがそうでもないんだよっ! おいっ! あのガキを出せっ!」
! 警備隊の男たちの後ろから、前に突き飛ばされたのはデリアの弟、ファーレンハイト家の次男エルンストだった。
「エルンストッ!」
デリアが前に飛び出し、転びそうになった
「何ですっ? あなたたち。
警備隊の男はぶっきらぼうに答える。
「何もしてねえよ。当主が殺されたと知れ渡ってから、ファーレンハイト商会に売掛金やら貸付金の取立人が山ほど来て、
「でたらめ言うなっ!」
エルンストが警備隊の男を怒鳴る。
「
「それは
デリアが冷静に付け加える。
「私はここのギルドの受付嬢をやっているので、会計は多少分かります。
「ふん」
警備隊の男は鼻を鳴らした。
「だったら、
なっ、言ってることがおかしいぞ。もともと、警備隊はファーレンハイト商会やギルドを含む全市民から警備料を徴収して成り立っているじゃないかっ! なのに、その場で手数料を払った取立人に加担する? 金が取れれば何でもいいのかっ?
僕の右手は自然に後ろにある
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます