第30話 第4章 少女冒険者 嵐の前の恋と戦いと5
ハンスさんは、恭しくノルデイッヒのギルドマスターであるトマスさんからの返信の手紙を
一度、深呼吸をしてから返信の手紙を開いた
「みんな聞いてくれ。わしは直接ノルデイッヒに行って、トマスと直に話すことにした。ついては、わしの護衛をお願いしたい。もちろん、わしから報酬は出す」
「それは僕らをご指名ですか?」
「いや、今回はわしが長期間
「…… 分かりました。では、
「六人の臨時編成のパーティーを組んで、それに護衛してもらいたい。メンバーはわしから指名する」
ギルドはしんと静まり返る。ハンスさんに留守の守りを頼む以上、ナターリエさんも留守番の方だろう。なら、誰が行くのだろう?
メモの中身がゆっくりと読みあげられる。
「
「……」
「クルト」
クルト君が指名された! 思わずクルト君の方を見ると、「え?」という顔をしている。ちょっとー、クルト君! クルト君!
◇◇◇
「クルトッ! 呼ばれたら返事をしろっ!」
「はっ、はい……]
クルト君は返事はするが、「え? 僕なの?」という表情は変わらない。
擁護すると「自分なんかまだまだ」という考え方が骨の髄まで染みついている人なのだ。私的にはそこがいいというのもあるのだけれど……
「次に他の
「はいっ!」
「はいっ!」
クルト君のことがあったので、次に呼ばれた二人は元気よく返事をする。この二人は夜にクルト君に
「そして、
「はいっ!」
一際、元気な声がギルドを席捲する。自信満々の表情のカトリナちゃん。むむむっ。
「
「はいっ!」
レベルではカトリナちゃんに及ばないけど、元気の良さでは負けるもんかっ!
チラリとカトリナちゃんの方を覗うと、何とドヤ顔!
くっそー、今は後塵を拝していますが、追い付いてやりますよ。そのうちに……
「
「はい……」
うーん。ちょっと元気なかったかな? まあ、私とカトリナちゃんが威勢良すぎるという見解もある。現に
「以上の六名に『護衛クエスト』を発注するっ! 出発は明朝。各自準備おこたりなきように」
「はいっ!」
◇◇◇
「ふーん。十年後に僕らに肩を並べそうな有望株で固めてきましたね」
腕組をしてしきりに頷くハンスさん。
「それもあるけどね。もう一つ理由があるようだよ」
そんなハンスさんに声をかけるナターリエさん。
「ほう。何か気づいたの?」
「六人の出身地さ。クルト君は
「この辺の各都市、村の出身者を出来るだけ漏れのないよう選抜した。つまりこれは……」
「恐らく
「つまりそれは?」
「今回のことをこの地方全体の将来のことと
「ふーむ」
◇◇◇
今回は私とカトリナちゃんが一緒にクエストに参加する初めてのケース。
ギルドの受付はラーラちゃんとメラニーちゃんに託した。この二人、シモーネさんがオーベルタールから『武者修行』のため、送り出してきた子の中でも際立って、会計事務が優秀だ。
私とカトリナちゃん抜きで独り立ちできるようになるチャンスである。それにいざとなれば、クラーラさんがいる。うーん。
かくて、ハンスさんの言うところの「十年後の最強パーティー」はノルデイッヒに向かって出発した。
どうかなとも思ったが、
戦闘の方だけど、正直、ロスハイムの周辺にいるような「
私とカトリナちゃん、パウラちゃんは全くもって出番なし。
何でって、
少し知恵のある「
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