えっ!? 学校ではマリー・フォン・フランソワって名乗ってるの!? お前の名前、小松茉莉子じゃん!! ~同居し始めた田舎育ち女子は見栄っ張り拗らせてて、テレパシーが使える~
第110話 【レアぴっぴエンド】小松秀亀と山森幻桃のあったかもしれない未来
第110話 【レアぴっぴエンド】小松秀亀と山森幻桃のあったかもしれない未来
とんでもない世界に来てしまった気がする。
俺は大学を卒業して無事に教員免許も取得。
喜津音女学院の採用試験に挑むも、筆記試験が免除されて面談は教頭先生とクッキー食いながら紅茶飲んで「最近どうですか? 体調の悪いところはありませんか? とりあえず、体調にだけは気を付けてください。もう、健康で毎日出勤して頂きさえすれば、あとは私が何とでもします!!」と言う、熱い気持ちを伝えられたら終わった。
そして現在。
教員生活も3年目に入ると、さすがに慣れて来る。
「ヒジキ先生、ごきげんよう」
「はい。ごきげんよう。気を付けて帰るんだぞ。お迎えのリムジンまでの道中!!」
喜津音女学院では「小松」と名乗ると教職員をはじめ、守衛さんや事務職員、学食のマダムに至るまでが右に倣えで膝をつき「ジーク! 絹子!!」と崇め奉り始めるため、ヒジキと名乗っている。
小松ってヴォルデモート卿の親戚なの?
そもそも、ロッテン事変として語られるロッテンマイヤー侯爵夫人の良くない私的な横領を暴いて裁いたのが俺ということになっているため、秀亀と名乗っても「はあ。そうですか」と乾いた反応しかくれないご令嬢たちが「ヒジキだよ!」と名乗るだけで「まあ! あの伝説の!!」と、イチロー選手を見つけた野球少年のように目を輝かせてくる。
秀亀はヒジキの下剋上によって、喜津音女学院でも霊圧が消えた。
「すみません。教頭先生。今日は定時で失礼します」
「ああ、もちろん! もちろん!! 婚約者のお宅でご挨拶でしたね!! ジーク! 絹子!! ジーク!! ヒジキ!!」
自己紹介でちゃんと秀亀って名乗れるか心配になって来るね!!
校門を出たところで、赤茶色の髪をショートボブで纏めた可愛いギャルが待ち構えていた。
「ちょりっすー!! 秀亀さん、おつヒデー!!」
「おう。レアぴっぴ。出迎えサンキュー!」
茉莉子がばあちゃんと一緒に東京進出してしまったため、俺は再び我が家でぼっちに。
新菜も実家に帰ってニート始めるし、萌乃さんは国を動かすのに忙しいし。
そんな寂しい日常を埋めてくれたのがこちらのレアぴっぴ。
毎日のように「おじゃーす! ウーバーレアピーチっす!!」と遊びに来てくれるギャル。
恋に落ちるのにそれ以上の理由は必要だろうか。
無事に喜津音大学に入学したレアぴっぴは経済学部でバリバリと得意分野を伸ばしつつ、せっせと嫁力も高めており、現在四年生だがお年頃のパリピがギャリーオンしたいけど踏み出せないギャールズに向けてぃーすなはじめの一歩セレクトショップ作りてぃーすらしいので、俺も婚約者として協力する事にしている。
何言ってるか分からない?
またまた! ご冗談を!!
レアピーチ語ってもう、俺の中では公用語だから!!
喜津音女学院はどうするのかって?
ああ、副業オッケーどころか、教職員の方を副業にして良いから、籍だけでも置いといて!! って教頭先生が言ってくれたから、何の問題もない!!
ただ、デカい、マジでデカい問題が1つそびえ立っている。
「つか、秀亀さん。ウチのパパピとママピに挨拶キメっとか。正気っすか?」
「君が言うな。俺だってできればキメたくないけど、大事なお嬢さんと一緒に店やろうってんだから、もうレアピーチさんください! って言うしかないだろ!!」
「ヤババっすね。今日、ついにレアピーチに桃はじめの時が来るんすか? ティークビのとこに穴空いたブラジャーつけて来てねーんすけど? 大丈夫っすか?」
「ヤメてくれ。レアぴっぴがまず先鋒として俺を攻撃しないで!? 足が重くなるんだよ!! ねぇ、お土産に村越堂のお漬物セット買ったけどさ。コンドームとかの方が良かった!?」
「秀亀さんはウチのうちを何だと思ってぃーんすか?」
「口に出すのも憚られる性のアミューズメントパークだと思ってるけど!?」
よく分からないけど、色々な可能性の秀亀の中でも、今の俺はかなりハードな秀亀な気がしてならない。
◆◇◆◇◆◇◆◇
山森家には何度か来たことがある。
「今日、パパピとママピ、ラブホキメてて朝までいねーんすよ」とかいう、和訳すると「今晩、両親いないんだ。えへへ」的なお誘いでお邪魔させて頂いた。
だが、今日はパパピもママピもいらっしゃる。
漬物と皮のヒデキを装備して、大魔王と戦おうとしている事は分かる。
1回セーブさせて?
「ただいまっするー!!」
「おかえりんこうぇーい!!」
ギャルがギャルに出迎えられた。
ママピとお見受けする。では、お漬物をお納めください。
「マジパナッピストじゃん、ヒデキチー!! レアピーチに聞いてた通りなんだけど!! お入りスプラッシュー!!」
「どしたんすか? 秀亀さん?」
「レアピーチ語を理解して、パリピの全てを知った気になってた自分を恥じてるとこ」
「マジすか。相変わらずの向上心マテリアルっすね。そーゆうとこラビューっすわ」
「お前の母ちゃん何言ってんのか分からねぇ」って言えなかった!!
恐る恐るママピとレアぴっぴの後ろをついていくと、リビングのソファにバスローブ着て濡れた長髪をオールバックにしていらっしゃるパリピな御仁がいらっしゃった。
もう、見紛うことなきパパピだよね!!
既に何人か抱いて来た後みたいな風格だもん!!
俺、口利いた瞬間に乾燥するかもしれん!!
「ユー。ヒデキんぐ、オッケー?」
「えっ、あ、はい。小松秀亀と申します。本日は、私のためにお時間を頂戴しまして」
「ヘイ! ユー! ヒデキはイングしてねーのかい?」
「俺はキングなどという身分では……」
レアぴっぴが耳元でアドバイスを囁いてくれる。
「あーね。パパピは、秀亀さんのヒデキがing系かって聞いてぃーんすよ。つまり、今現在、ヒデキは起きてんのかって」
「マジかよ!? 自己紹介でそれ聞かれてたの!? ダメだ、俺の想定をはるかに上回るパリピで、ちょっとご挨拶キメ切れる自信がマイナス域に突入した!!」
ショッキング過ぎてヒデキは眠りについたから、もう終わりだね!!
こうなれば、俺はヒジキ道を貫き通すまで。
元々、パリピとか言う未知の領域でダンスレボリューションしようってのがおこがましい発想だったんだ。
25年培ってきた、海藻の力で道をこじ開ける!!
「あの。レアピーチさんは、俺の寂しい生活の隙間を埋めてくださったステキな女性で」
「ワーウ!? 寂しい性活で穴を埋めてステキ!?」
挫けそう!! この人、日本人なのかな!?
「最初は価値観と言うか、見えているものが違ったので俺なんかは相応しくないと及び腰にもなりましたが、レアピーチさんはそんな俺でも好いてくれて。ですので、俺も一生を賭けてお嬢さんを守りたいと決意した所存でございます。どうか、お嬢さんの一生を私に預けて頂けないでしょうか」
「いいよ!」
「軽いんだよな!! 俺、頭おかしくなりそうなんだけど!! でも、結婚認めてくださってありがとうございます!!」
じっくりと時間をかけて、魂込めて吐いたご挨拶を1秒で返された。
そして、一休さん(パパピ)とママピは「ラブホキメてクリスマス!!」と言って出て行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
俺は山森家のリビングでレアぴっぴが作ってくれたサバの味噌煮を食べている。
「……俺ね、てっきりさ。パーリーナイッすよ!! とか言って、レアぴっぴが服脱ぐか。もしくは最悪、裸になって体に生クリームでも乗っけて、召し上がうぃーっす!! とか言ってくると思って身構えてたんだけど」
「マジで秀亀さんはウチを何だと思ってぃーんすか?」
「これまでのレアぴっぴの歴史を振り返ったらそういう結論にたどり着いたの!! けど! なんか普通に手の込んだ和食用意してくれてて、夢かしらって思ってる!!」
「やっ。秀亀さんがウチのために頑張るマンしてんのに、何もしねーとかなしっすよ? 好きな料理くらい作っとくのが嫁のマストっす。別にウチ、秀亀さんのペースの人生で全然アリエッティなんで! ついてくっすよ!! ピーチはいつでも出荷可能にとしくっす!」
あ。今ね、ヒデキが立った。
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